妄想徒然ダイアリー

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聖なる酔っ払いの宴。わたしもあなたもチャンピオン。3/15(金)『毎日眉村ちあき〜クリトリック・リス編〜』@新宿レッドクロス 雑感。

大好きな映画『シド&ナンシー』にこんなシーンがある。ジドとナンシーが路地裏でキスしてるのだがその背景に壊れたテレビやガラクタ類が降り注いでくる。暗い路地裏でトラッシュだらけの画面だったけど何故だかとても美しい。

映画【シド・アンド・ナンシー 30周年デジタル・リマスター版】予告 - YouTube

という事で行ってきましたよ。

『毎日眉村ちあき最終日〜クリトリック・リス編』

f:id:mousoudance:20190315232855j:image看板撮るの忘れてた。

クリトリック・リス

スギムさんのステージはまるっきり初めてだったけどいや凄かった。

様々なトラックをバックに彼が紡ぎ出すのはマージナル(周辺)にいるような人々の姿だ。

ロシア人女性とたこ焼き屋を開こうとする男、売れないバンドマン、定食屋で焼きめしとライス大を頼んだサラリーマン…etc.といったメインストリームにいない人たち。世界の周辺/縁にいるような人間の哀しい生活を映し出す。それはわたし達の姿でもある。

自分の人生を投影したかと思われる曲もあり、コミカルと同時に非常に哀しくそして美しい。

ルー・リードがニューヨークを描くように東大阪を舞台に人間ドラマを我々にぶつける、といったら流石に褒めすぎだろうか。〝肉が食えない少年とおじい〟をテーマした曲は、猟奇的展開がニック・ケイヴのようでもあり。ってそれは明らかに言い過ぎ!

下品で卑近で生々しくスカムと言われる彼の表現には、しかしそこから立ち昇る文学的美しさがあって気がつけば聴いている者の心をグッと掴む。掴まれて良いのかは分からないけど。

時折フロアに降りてきたその姿は文字通り〝肉体がむき出し〟って感じでその異物感が妙な興奮を産む。

あと見よう見まねでやった「ライス&ライス」のコールの不思議なカタルシスは何なんですかね。

f:id:mousoudance:20190316005954j:imageボケた写真が益々異物感度を増幅させる。

最後は「それではちっちゃん(スギムさん〝ちちゃん〟じゃなくてこう呼んでるように聞こえるけどどう?)に繋ぎまーす!」と叫びながらのクラウドサーフ。

いやー良いものをみせて貰いました!

そして我らが大天使、眉村ちあきさんの登場。

「今日はスギムさんと前にツーマンした時の髪型にしてきたのー」との事。おさげツインという感じで、はい可愛い。

ちなみにスギムさんも後で「俺もあの時とおんなじ髪型にしてきたんやでー」と言っていましたな。

序盤早々に「スクワットブンブン」でフロアの温度を1℃上げる。その時はただだだ楽しいなぁーって思ってたけど後々考えてみるとこれは準備体操だったんだな、と。何しろデカイじじいばっかりですからね。「開国だ」は相変わらずカッコいい。

荻窪選手権」ではスギムさんがお月様に。

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そして「インドのりんご屋さん」。サーフしながらのブンバボンボンはいつも通り楽しいんだけど、

f:id:mousoudance:20190316081224j:imageサーフ真っ只中に自分がいるのはしばらくぶりな気がします。

これが噂のちちゃんが立った!ですか!

f:id:mousoudance:20190316081307j:imageここはもちろん縦長構図で。

その興奮冷めやらぬままに突入した「書き下ろしの主題歌」

わたし自身この曲ライブで聴くの多分初めてのはずなのでよく判ってないのだが、所謂ベタなアイドル的空間になってた。それがパロディとしての振る舞いなのかよくわからなかったけど、まあ曲が最高だったので満足です。最後に皆がケチャでばばばーっと手を差し伸べて行くところは眉村さんも一瞬仰け反ってたな。

MCでも言ってる通り強靭な身体を持つ彼女も、流石にこの5日間はかなりの消耗をもたらしたようで。ってそりゃ当たり前だ。ただでさえ5日連続Liveが大変な上に海千山千、手練手管のツワモノ達を相手にしての対バン。喉も枯れるわ。

という事で途中で水を飲む眉村さんだったが、口に含んだ水をだらーっと出したかと思えば今度は噴き出す準備をする。「さあ、噴き出すのか?」と思えばゴックンと飲み干す。この辺りは何だかんだと品の良さが現れるね。 

「奇跡、神の子、天才犬」ではフロアに降り立ち踊りまくる。なんか写真か映像撮った気がするんだけどマトモなモノは残ってなかった。

f:id:mousoudance:20190316130223j:imageこれでフロアの雰囲気をお察し下さい。

わたしはと言えば、とにかく不恰好に痙攣したかのような踊りをしてだと思う。目の前の眉村さんにドギマギしたんだからしょうがない。

さて「ナックルセンス」です。

どうも昨日あたりからモッシュが起きるというじゃありませんか。まあそうは言っても軽い感じでしょ?と思ったら周りからの圧がそれなりに。「そうか。そういう事なら…」とf:id:mousoudance:20190316160107j:image精神で臨む。まさかこの現場で眼鏡落ちそうになるとは思いませんでした。前や後ろから来る人を背中押して送り出したりしたのも久しぶりな気がします。

嗚呼、脳汁出し過ぎて記憶がごちゃごちゃだけど泣きそうになりながら、というか泣きながら歌ったのは「なんだっけ」だったか「本気のラブソング」だったか。いずれにしても今日はいつにも増して会場のひとりひとりの目を見て歌っていたように思う。この5日間を惜しむように。

最後の「ピッコロ虫」、いつも通りの長い即興前振りからの導入が好き。即興は何言ってたんだったかな、音痴な人の話をしたのはこの時じゃなかったかな?そうそう、教習所全然行ってないって話あったな。いやそんな事はともかく。最近はまた〝小松菜奈になってますよに〟に戻ってきましたね。個人的に〝なってなくてもいい〟バージョン好きなのでまたやって欲しい。

そしてアンコール。

スギムさんも一緒になっての「We are the Champions」がこの夜は一層胸に響いて。声枯らしながらも5日間をやり遂げた眉村さんも、対バン相手の皆さんも、クリトリック・リスの世界で描かれる愛すべきクズたちも、そしてこのフロアにいる皆んな、眉村さんがMCで言うように「誰一人かけても今夜のこの時は成り立たない」そんな夜に参加できたわたし達。みーーーんなチャンピオンだ!

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そして最後はドンルクで大大大大大団円!

f:id:mousoudance:20190316154646j:imageまたこのツーマン観たい!そんな事脳汁出しまくってすっからかんになった頭で考えながら東新宿へ向かうのでした。