妄想徒然ダイアリー

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大丈夫、私に任せて。【映画】『マローボーン家の掟』雑感。

ホラー映画というのはある程度クリシェに沿っているからこそ怖いというところもあって。

という事で観てきました。

『マローボーン家の掟』

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予告編→ https://youtu.be/fREeG8YE3YQ

ファーストカットの不穏な空気は、その緊張感を保ちながらラストのホラー的終焉とエピローグまで飽きさせる事なく続いていく。

ストーリーやキャラクター設定に穴がない訳でもないがそれを感じさせないのはキャスト陣の瑞々しさにあったのかもしれない。

長男ジャック(ジョージ・マッケイ)、長女ジェーン(ミア・ゴス)、次男(チャーリー・ヒートン)、アリー(アニャ・テイラー=ジョイ)というこれからグイグイ来そうな若手俳優達はそれぞれ内面的でありながら説得力のある演技を見せていたと思う。

ことにミア・ゴス(『サスペリア』)とアニャ・テイラー=ジョイ(『スプリット』、『ミスター・ガラス』)の2人は新たなホラー・クイーンとなるのではないかという期待も抱かせるオーラがあった。

所々に見られるホラー映画のクリシェはそれがクリシェであるが故に観客に恐怖を与える。予めそうなるのではないか、という想像が与えるスリルがとても効果的だったように思える。

「ああ、そんな事したらこんな目にあってしまうよ。やめた方が良いよ」という方向へ敢えて向かう時のドキドキ感。結果が予想通りでもそうでなくともその恐怖は観客に植えつけられる。

個人的に好きなシーンはいくつかあって〝ガイコツ岩〟やモールス信号の場面の空間を感じさせるショットが良い。こういう箇所があるだけでその作品を愛する事が出来る。

ジョージ・マッケイやミア・ゴスの不幸を背負ったような眼差しと時折見せる笑顔も美しいし、チャーリー・ヒートンの内向的でニヒルな上目遣い(どこかで見たことあると思ったら『ストレンジャー・シングス』のあの少年か!)も印象的だが、やはりアニャ・テイラー=ジョイが素晴らしい。

アニャ演じるアリーは存在そのものがストーリーに身を捧げるかのようなキャラクターでクライマックスへ至る彼女の行動は論理性に欠けてはいるがしかし同時に気高い美しさがそこにある。

終盤のアリー覚醒は全く脈略も根拠もないものだったが、しかし説得力はあった。そういう事が大事なんだと思う。ストーリーやキャラクターの整合性をある程度犠牲にしてもアリーのあの行動は作品として正しかったと思う。

エンディングに流れる曲はまるで感動ストーリーを演出するかのようだ。ある種の陳腐さをまとったこの曲がとんでもない皮肉に聴こえたのはわたしだけだろうか。