妄想徒然ダイアリー

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想い出はいつも綺麗でズルイ。『1/13(祝)神聖かまってちゃん メランコリー×メランコリーツアー 最終日@Zepp ダイバーシティ』

2011年の春以降、呑気な楽観論と過剰な絶望に挟まれてうんざりしていたわたしの心にエネルギーを与えてくれた曲があって、ひとつはももクロの『Z伝説』であり、もう一つが神聖かまってちゃんの『僕は頑張るよっ』だった。

何かはっきりとした指針を求めていたわたしにとって〝絶対諦めない〟というストレートなメッセージと〝みんな死ぬよ あっさり死ぬよ 僕は頑張るよっ〟という宣言は強烈なパワーを与えてくれたと思っている。

という事で行ってきましたよ。

神聖かまってちゃん メランコリー×メランコリーツアー』最終日

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とは言いながら、かまってちゃんのライブに行くのもかなり久しぶりで…8年ぶりくらいかもしれない。今回はちばぎんの最後の姿を見届けるために参戦することにした。

経済的な理由でバンドから離れる決心をしたというちばぎん、トリッキーなの子さんとバランスを取るかのようなその立ち位置はある種の癒しでもあり、このバンドへの貢献度は計り知れない。しかし、かまってちゃんクラスでも生活していくためにバンドを辞めなきゃならないなんて世知辛い話ですね。

LIVEも久しぶりで曲名を忘れていたり、下手したら初見の曲もあったかもしれないが、しかしそんな事は一切関係なく〝怒鳴るゆめ〟から始まったセトリは、その音楽を浴びている間にあっという間に終わってしまった。

何度か繰り返されるの子さんの「お前たちの!衝動をッ…!くれよ!!声を出さなくても良い、棒立ち人間でも体育座りでも良い。でも中にある衝動を!衝動をくれよ!!!」というMCを聴くと、かまってちゃんのライブに来ていると実感する。

〝レッツゴー武道館っ!〟〝夕暮れメモライザ〟といった懐かしい曲を聴くたびに、ちばぎんのいる4人のかまってちゃんも見納めだな、と実感する。

〝夜空の虫とどこまでも〟から始まったレーザー演出はなかなかのもので、音楽と光に包まれているだけでトビそうになる。因みに160万かかっているらしい。

ぺんてるの時はの子さん本人も言っていたようにかなり感情がこもっていたように思えて、ちょっぴり目が潤んでしまった。

アンコールは「ちばぎんコール」で、出てくるなり「主役は俺だ!!!」と主張するの子さん。

〝ロックンロールは鳴り止まないっ〟から〝フロントメモリーの流れは完璧と言ってもよく、これで終わりでもいいような気もしていた。しかし、こんな予定調和的に綺麗にまとまる訳がない。

ダブルアンコールで再び当時すると、「何故ちばぎんが〝怒鳴るゆめ〟を最初の曲に持ってきたのか。多分一番始め、神聖かまってちゃんの始まりの最初のデモテープがこの曲だったから。どう?ちばぎん説明してよ」と無茶振りをするの子さん。でもちょっとこのエピソードだけで涙腺が刺激される。始まりの始まり、神聖かまってちゃんの歴史におけるビッグバン。そんな曲から始まるセトリだったのか。

「ホントに最後の一曲。終わりの終わりの終わりまで、お前たちの衝動をくれよ!」というアジテーションで始まった〝23才の夏休み〟

これで4人のかまってちゃんが終わってしまう…そんなセンチメントに包まれているといきなりの子さんはギターを捨て、ちばぎんの演奏も止めてお立ち台に2人で並ぶ。「あーーーー!もう、ちばぎんに二度と会えないかもしれない!!」といったかと思うと「幼稚園の頃、ちばぎんの家でやった誕生日会。その時にパクったキラカード、見つけてきたよ」と言い始めた。このグダグダも彼ららしいね、なんて思っていたらこの後にとんでもない展開が待っていた。

「幼稚園の頃からずーっとちばぎんから預かっていた魂。それを今日返すッ…!」

と言ってちばぎんの背中にキラカードを貼る場面!!!泣くわ!!!!!(一回失敗したけど…それも含めて)

君が僕にくれたあのキラカード

その背中に貼り付けてやるよ

永い永い伏線を回収するかのようなこの流れ!!の子さんなりのちばぎんへの贈る言葉であり、神聖かまってちゃんの新たなスタートへの儀式のようでもあった。

そのあとは終わるようで終わらない〝怒鳴るゆめ〟のるーるるらーらのコーラスが続く。

まるで終えてしまいたくないようにも思えたのは少しナイーヴ過ぎるだろうか。最後のみさこさんのドラムは殊更大きな音を鳴らしていたような気もしている。

「俺たち、喧嘩もしてきたんだけど、アレだな、想い出ってのはキレイになるから、ズルイよな…」というの子さんが呟くように言ったあと、ちばぎんが「そだね」としみじみ言っていたのもグッとくる。

ちばぎんのシンプルで飾らない感謝の言葉も胸に来たし、それをニコニコと見つめるみさこさん、隣にいて黙ってそれを見つめていたmono君も印象的だった。

そしていつまでもステージに残っていそうなの子さんをちばぎんが肩車してステージを去っていき、この日のライブそして神聖かまってちゃんのひとつのピリオドは終わった。

久しぶりのかまってちゃんのライブは素晴らしいものだった。そしてもっともっと観ていれば良かったな、という後悔も少しだけあった。でも、この夜、この時だけはわたしの衝動をぶつけられたような気がする。今はそれで良いじゃないか。

という事で。ありがとう、ちばぎん。さようなら。