妄想徒然ダイアリー

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フィロ(F)の(N)ス(S)歌謡祭。僕らのリモート。11/19(木)フィロソフィーのダンス『World Extension 』雑感。

例えばPerfumeのドーム公演を観ている時、わたしは確かに五万分の一人なのだけど、でもふと三人対わたし、という風にその存在感を感じる時がある。最新のテクノロジーが代名詞のように語られる三人娘だが、実はその底にあるのはあくまでも生身の肉体であって、モニター越しだろうが、遠いスタンド席から観ていようが大事なのは生々しい身体が放つ輝きだ。それなしでは成立するはずもない。

それは眉村さんや新しい学校のリーダーズの配信Liveにも言えることで、例えば眉村さんが画面越しに本当にこちらを覗いてるとかリーダーズとてつもない関節の動きひとつひとつが伝わってくるとか、つまりはそういう事だ。

そしてもちろんフィロソフィーのダンスもまた!

という事で

フィロソフィーのダンス『World Extension 』

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何もないステージに映像を映し出し、いわゆるAR空間で作られたセット。しかしそのテクノロジーの使い方はさりげない。

リリックビデオ風に歌詞がステージの後方や前方に立体的に浮かび上がったり、あるいはチラチラと雪(のようなもの)が降ってきたりといった演出はパフォーマンスの邪魔をしていない。贅沢をいうならカメラの焦点はもっとベタッとパンフォーカス気味の方が良かった気もするし、「あ。ここ全体の踊りが見たいな」と思うようなカットもないわけではなかったけれど、それは小さな話。

例えば前半の「ダンス・ファウンダー」でのラインダンスでは何故か目頭が熱くなるし、初披露の「オプティミスティック・ラブ」のスケール感はド派手な演出の大きなステージで観たい欲求を掻き立てる。(それが実現した時こそ仁王立ちあんぬちゃんがパーカッションを叩く演出をですね…)

緩いインターバルコーナー(こういうところがフィロのスのフィロのスたる所以だ)もまた愛おしい。ベスト4がそれぞれのキャラクターを活かしてわたし達をたのしませる。

そして始まるアコースティックコーナー。これはもう白眉でしたね。

ついさっきまで「お尻プリプリ」とか「やる気卍♪」とかいってはしゃいでいたハルちゃんが、しっとりと歌うソロ曲「いつか大人になって」でわたしはノックアウトされた。自らの名前がその歌詞に織ら込まれたこの曲、この夜のハルちゃんのパフォーマンスはまた格別だった。ゴージャスなセットとドレスアップしたハルちゃん、そして豪華なバックバンド!まさに僕らの音楽かFNS歌謡祭か、というばかり。

春を待ちながら全てをリセットする日が来るのを待ち侘びる、そんな今わたし達がいるのは、まだ寒い冬。そんな内容もまた今の世の中と不思議なシンクロをしているようで…。

続く「シスター」がまた、ね。おとはすは深いスリットの入った黒、ハルちゃんは白、奥津さんはやや紺色?ネイビー?でちょっとキラキラした素材のドレス、そしてあんぬちゃんは白いパンツスタイルが印象的。この曲の4人はどのパートも素晴らしかったけど、個人的にはあんぬちゃんの絞り出すような声に軍配をあげたい。髪型とメイクも良くて、あまりの美しさにスクショを撮ることも出来なかった。アーカイブ観なきゃ。

「シャル・ウィ・スタート」で一旦ベスト4は画面から消え、「アイム・アフター・タイム」のインストが流れてくるが、これがまた至極でしたねぇ。鍵盤とベースとパーカッションが絶妙に絡み合い、とてつもないグルーヴを生み出す。このバンドセットで1時間のライブをやって貰いたい。

再びお馴染みの衣装でステージに戻ってくると「ドント・ストップ・ザ・ダンス」と「ライブ・ライフ」でこの日のライブは締められた。

いや良いライブだった。もちろん、生で観る事の方が良いには決まっている。決まっているが、最後ハルちゃんやおとはすが言ったようにリモートである事、リモートで出来る事を追求しながらそこで高みを目指すという覚悟は、今のこの世界でサバイヴしていく上で必要な事で、その事を改めて実感する。

そして奥津さんの無尽蔵に振りまかれる愛を受け止める為には、あんぬちゃんの言うことを聞いて健康を維持して行かなければならない。いや、本当にそれが大事なんだと思う。

f:id:mousoudance:20201119232444j:image守りたいこの笑顔、ですよ。

そしてこんな素晴らしいライブのおまけについてきたアフタートークコーナーは、ワチャワチャを緩く(いい意味で)ダラダラと続く時間で、こういうところが推せる理由のひとつであったりする。

そしてわたし達は気づくのだ。拡張されたのは世界ではなくて、おとはすのキャラクターではなかったのか、と。