いつもそれほど本数を観ている訳でもないけれど、今年は流石に劇場に行く機会がグッと減った。
それでもまあこの2020年に自分がどんな映画に触れ、どう感じていたかの記録の意味でも10本あげてみる。
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マリッジ・ストーリー
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ロング・ショット
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ナイブズ・アウト
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37セカンズ
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ミッドサマー
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デッド・ドンド・ダイ
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透明人間
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ハーフ・オブ・イット
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ブックスマート
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テネット
(鑑賞順)
このうち、『マリッジ・ストーリー』や『ロング・ショット』『ハーフ・オブ・イット』はNetflixやアマゾンプライムなどの配信で鑑賞している。振り返れば3/下旬に『ハーレイ・クイン』を観に行った後は劇場から遠ざかっていて6月下旬の『デッド・ドンド・ダイ』まで3ヶ月空いている。
流石にそんな経験は今までなかったと思う。
ではその空白期間に配信で映画観まくっていたかというとそうでもなくて、『愛の不時着』や『梨泰院クラス』、『トッケビ』といった韓国ドラマに時間を割いていた気がする。
さて。
10本を振り返ると、期せずして現代的な事柄にリンクしている作品が多いように思える。
『クレイマー、クレイマー』のアップデート版ともいえる『マリッジ・ストーリー』や男女間のラブストーリーの典型を塗り替えるような『ロング・ショット』や『ハーフ・オブ・イット』、『ブックスマート』という作品たち。或いは、良質な探偵モノであると同時にトランプ以降のアメリカの現代を揶揄するようなエッセンスのある『ナイブズ・アウト』や〝多様性〟という言葉のある種の欺瞞や生々しさを突きつけてくるような『37セカンズ』という作品が持つ同時代性がわたしの心を掴んだのかもしれない。
なかでも『ミッドサマー』や『透明人間』は、ホラーというフォーマットを活かしつつ、主人公が自分を強制/矯正してくる社会へリベンジし強烈なカウンターパンチを喰らわしていく様に爽快感があってそれぞれラストに浮かべる表情が印象的だった。
まさに今この時だからこそ産まれた作品であるように思えて仕方がない。
そういう意味で言えば、『デッド・ドンド・ダイ』では世界の緩やかな終焉があって、そこで達観したり悲観的になったり過激な行動に出たり…という人々の姿はまさに今のわたし達であって、意図せずところで世の中とリンクしていくあたりにジャームッシュの非凡さを感じたりもした。
そして『テネット』では〝予め定められた成り行き〟の中で世界の終焉から逃れられるのかと足掻く主人公に、わたしは説明出来ない救済の光を感じているのです。
それから10本の中には上げなかったけど、こんな状況の中でとてつもない大ヒットとなっている『鬼滅の刃』は、もうその存在だけでありがたいわけで、猗窩座登場シーンのゾクゾク感を含め忘れられない作品のひとつだったし、『眉村ちあきのすべて(仮)』で終盤夕暮れの街を駆け出す眉村さんの横顔を捉えたショットの素晴らしさも記しておきたい事のひとつだ。
ともあれ来年はもう少し映画を観られる一年になるといいですね。