妄想徒然ダイアリー

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雨音はメタルの調べ。BABYMETAL 『10 BABYMETAL BUDOKAN 』DOOMSDAY-X 4/15(木)雑感。

ツアーなどでも2〜3公演行く事はあってもまさか10公演のうち半分来る事になるとは思っていなかったが、公演が発表された瞬間からこれは目撃しておかなくてはいけないと。それこそ狐様のお告げだったのかもしれない。

『10 BABYMETAL BUDOKAN 』DOOMSDAY-X 

そんな訳で、1月、2月、3月と節目節目に参加していよいよこの日がやって来た。泣いても笑ってもついに最終日。新年度何かとバタバタしている中ではあったが、半ば強引に有給を取得してこの日に臨んだ。

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1階席の中央あたり。近い。紅いスポットライトの光とスモークで染まったステージが美しい。レイジやリンプなどの客入れ曲でどんどんと感情が高まってくる。

相変わらず終わってみるとセトリの細かいところは忘れてしまっていて、ただただ「最高だったなー」という言葉だけが身体を駆け巡るけど、少しづつ記憶を手繰るようにして…。

変則的なBABYMETAL DEATHはこの公演でも何度か観ている筈だが、いつも初見のように紅い光に刺激されアドレナリンがドバドバ出てくる。 そして「イジメ…」「ギミチョコ」「ドキモ」という展開に声出している訳でもないのに喉カラカラ状態に。一瞬、音が飛んだのはギミチョコだったか、ドキモだったか。そんなトラブルもLIVEならではだろうか。わたしの目の前にはクレーンカメラが時々ウネウネと蠢いていたが、そんな事も気にならない。この日のステージもレーザーとスモークの演出が素晴らしく、時にド派手に時に幻想的な空間が作り出されていてとても良かったですね。

MOAMETALのGJには、もちろん相変わらず〝不在〟を感じてはしまうけれど、それはこのMETAL RESISTANCE10年の締めくくりに不可欠な感情であって…とこんな事を書いているのは終わったいまだからで、もちろん観ているときはMOAMETALの煽りにバンバン手を叩いていた訳で、つまりはとても楽しかった。

そしてNO RAIN ,NO RAINBOW だ!思い起こせば広島でのSU-METAL聖誕祭。あの日からBABYMETALは〝とてつもなく大きな不在〟を抱えながら進んでいく事になるが、そんな事は知る由もなかったあの夜のNRNRがとにかく素晴らしかった。あの頃は勿論ぎゅうぎゅうのピットで楽しくおしくらまんじゅうが出来たし、声を思い切り出すことも許されていたが、NRNRを聴いている時のわたし達はそれを静かに受けとめていて、とにかく震えるくらい心動かされたし、会場に鳴り響く拍手の音がまるで雨音のように聴こえていた事を今でも思い出す。

個人的にBABYMETAL史上で最高のNRNRがそれだったが、それに匹敵するかあるいはそれ以上のNRNRがこの夜誕生した。止まない雨はない、雨の後には虹が…というメッセージは甘いと言えば甘いかもしれない。しかし、今のわたし達にはこういったシンプルだけど勇気づけられる言葉も必要だ。事実、わたしはSU-METALの歌声に涙腺を刺激されていた。ピアノの話は事前に情報を目にしていたから驚きはなかったが、しかしそんな驚きを超えるパフォーマンスだったし演出だった。途中、鍵盤を弾きながら(なのかな?)歌うSU-METAL(光に照らされた道を歩きながらピアノに向かう演出も良かった)が、暗転と暫しの静寂のあとステージ中央に戻っていたのを見ると、まるでさっきまでピアノを弾いていたのが幻だったようにも感じる。そしてこの夜も鳴り止まない拍手が雨音のように武道館に静かに広がっていました。いやこれだけでお釣りきます。

PAPAYA の祝祭感についてはもはやいう必要もないくらいで、わたしは特に間奏部分というかラップパートのところで伸ばした両手を左右に振りながら、ピョンピョン後ろ向きに飛び跳ねる振り付けのところが大好物です。

さて、NRNR 以外に、もうひとつこの日のセトリでわたしをとびきりに歓喜させた場面がある。KARATE だ。あれは2017?2018?のサマーソニック、マリンステージで(自分にとっては実質ヘッドライナーだったが)珍しく日本語のMCがあったりとエモーショナルな夜でもあったけど、あの時のKARATE で倒れた2人を起こした後にSU-METALが「エビバディジャンプ!」と叫んで、もちろんわたしもその言葉通り汗だくになりながらジャンプをした訳だけど、そのカタルシスが忘れられなくてあれから何度かLIVEに出向いているけれど、同じような場面に出会う事はなかった。この日まで!

いつもKARATEを観るたびに「今日こそは…」と思っていたが、この日は何となくあるじゃないか?という予感があった。というのは気のせいだろうし、後になってそう思っているだけかもしれないけれど、とにかくSU-METALの口から「エビバディジャンプ!!!」と発せられた時、会場が少し揺れた、気がする。多分。

セトリも大して変わらないし、一回観れば良いでしょ。というのもある意味正しいし、わたしだってどちらかと言えば普段はそういうスタンスだったりする。しかし、こういう体験が出来るからLIVEは面白いし、スペシャルなものになる。今回の武道館については可能な限り参加するべきである、という気がしていて、事実5回観に行った訳で。そのそれぞれで近い席遠い席東西南北様々な場所からステージを観ていたけれど、そのどれもが貴重で代え難い体験となったのは言うまでもないこと。

最後の曲、RORでこれまでの10年と武道館公演について感謝を述べるSU-METALの言葉はこれまたシンプルだが、だからこそ力強くわたしの心に届く。もちろん感謝するのはわたしの方だ。この状況でこれだけの規模のLIVEを開催するのも大変な事だったはずで、その決断に至るまでの様々な過程については想像するしかないけれど、とにかくこの10公演はBABYMETALにとっても、その挑戦を見届けようとしているわたし達にも必要なものだった筈だ。

例えばモニターに時折映るYUIMETALの姿はある方面の感情を刺激してしまうが、しかし彼女の存在と不在もMETAL RESISTANCE史のピースだ。そして同時にこれまでのサポートメンバーの事もわたしは思い浮かべていた。彼女達は全員がこのステージに出ていた訳ではないけれど、そういった存在をも想起させる10公演だった気がしてならない。METAL RESISTANCEは終わり、living legendへ、というお告げが何を意味しているかはいつも通りよく分からないし、相変わらずOnly the Fox God Knowsな訳で、とにかく見届けてついて行く事しかわたしには出来ない。

そして、そんなわたしの勝手な御託とは関係なくオクタゴンのステージを一周しながら10の銅鑼を鳴らすSU-METALの表情は凛々しい。何番目かの銅鑼を叩いた後に軽くガッツポーズをしたSU-METALの姿をみると、そんな事はどうでもよくなっているわたしなのでした。