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ザッツ・エンターテイメント。【映画】『ジェントルメン』雑感。

まあエロスとタナトスはギリギリのところで笑いに転化するものでありまして…。

『ジェントルメン』

映画『ジェントルメン』予告編|5.7[Fri] 全国公開 - YouTube

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一瞬「キングスメン」のスピンオフかと思ってしまいそうなビジュアルイメージだけど、マシュー・ヴォーンではなくてガイ・リッチー作品。

イギリスが舞台で各グループのあらゆる思考が絡み合いながら収斂していくという「ガイ・リッチー印」という感じの作りで、楽しい。ヒュー・グラントが信用できない語り手的な立ち位置でストーリーを進めていくスタイルもスッと身体に入ってくる。多くの登場人物の相関図が混乱少なく理解できる仕組みになってるのも好印象。

確かにカジュアルに死んでいく登場人物たちはシニカルな笑いを生んでいて、その点に懐疑的な気持ちを抱く人もいるだろうなというのは想像出来るし理解もできる。タランティーノ作品についても言われているような事だけど、その点も含めて楽しんでいる自分に対してどういうスタンスを取れば良いのかは正直わかっていない。まあ余りそんな事考える必要もないのだろうけれど。

マシュー・マコノヒーチャーリー・ハナムコリン・ファレルヒュー・グラントという面々は勿論のことドライ・アイ役のヘンリー・ゴールディングも良いオーラ出していた。誰かと思ったら「クレイジー・リッチ」の人なんですね。一転して野心溢れる危うい若者感があって良かった。そしてイギリス映画には欠かせないエディ・マーサンも相変わらず素晴らしい存在感。

ストリートのやんちゃなボーイズも退廃に浸ってるアッパーな若者達も良いアクセントになっていたし、特に短い登場ながら憂鬱を全身にまとった姿が印象に残ったのは貴族の娘ローラ役の人。どうも調べてみるとスティングの娘さんなのかな?

そういった様々な人間模様が絡み合いながら、物語はバラバラのピースがはまっていくエンディングへ向かっていく。二転三転しながら迎えるエンディングはカタルシス充分だし、わたしはミッキー役のマシュー・マコノヒーが終盤のある場面でみせた諦観を帯びた虚ろな眼差しにかなりヤラれたのだが、ポール・ウェラーの歌声がさらにまたそれを増幅させるのでした。