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「2チーム用意してくれ」【映画】『モンタナの目撃者』雑感。

冒頭に殺し屋2人が出てきて仕事こなしていく映画に外れ無し。(自分調べ)

『モンタナの目撃者』

映画『モンタナの目撃者』本予告 2021年9月3日(金)公開 - YouTube

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テイラー・シェリダン作品を全部追いかけている訳ではないけれど『ボーダーライン』や『ウインド・リバー』は大好きだし、エイダン・ギレンニコラス・ホルトまでキャスティングされていて自分的にお得作品。

期待に違わず、過酷な環境で繰り広げられる追う者と追われる者の攻防は緊張感もあるし、乾いた銃撃音が身体に響いてくる。主人公ハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)と少年の関係性もウェットになり切らず程よい抑制が効いていてバランスが取れていた。

ハンナのトラウマの描き方もクリシェと言えばそうなんだけど、やはりアンジーが語り過ぎず表情や目で表現されているので自然に引き込まれる。やっぱりアンジーなんだかんだで上手い人なんだな、と。

そしてエイダン・ギレンニコラス・ホルトの2人がまた素晴らしい。ビジネスとして淡々と仕事をこなしながらも、その立ち姿だけで一気に不穏な空気で場を支配している。イーサン(ジョン・バーンサル)やその妻アリソンと対峙している時の緊張感とスリル。この2人を観ているだけで白飯5杯はイケる。

相変わらず赦しと救済の徴を求めるわたしだけれども、そういったストーリーがテンポよく100分にまとまっている事でググっとポイントが上がる。途中、嗚呼これはハンナが『グロリア』的立ち位置になるのか?と思いつつ観ていたけれど、むしろその役割は他者へ割り当てられているようにも思えて、ハンナがあくまでも少年コリーの庇護者として存在する事に焦点が当てられているように思える。と同時に、コリーの存在によってハンナは(否応なく)炎に立ち向かわざるを得ず、それは過去に対峙する事であって、そういう救済のメッセージはわたしの心を撃つ。もうね終盤の森のシーンは素晴らしい場面(アリソン!!!!カッコよすぎ!!)の連続で、涙腺が刺激されっぱなしだった。

ラストもシンプルだけどハンナとコリーのやりとりが素晴らしく、過酷な未来に甘い希望も与えないけれど、現実的に立ち向かうしかないと思わせるもので、ドライだけど誠実なメッセージにも感じられてテイラー・シェリダンなりのジュブナイル小説だったのかもしれない。