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この国を、守る者だぁ、わたしは。【映画】『シン•ウルトラマン』雑感。

子供心に八つ裂き光輪こそウルトラマン史上最強最凶の最終兵器で、そのフェイタリティ性の高さに恐怖すら感じていたものです。

『シン•ウルトラマン

映画『シン・ウルトラマン』予告【2022年5月13日(金)公開】 - YouTube

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冒頭のタイトルの遊び心は(例えそれがオジサンホイホイであったとしても)やはり自然とテンションが上がってしまうし、ウルトラQのテーマに沿って状況を説明していく流れも良くて、これだけでもう満足している自分がいた。

ここが禍威獣のいる世界だと言う事をサクサクっと説明してくれたのも好印象で、「とにかくこういう世界なのよ」となかば強引に認識させるのは正しかったと思う。ウルトラマンについても早めに呼称が決定したり、その存在が(肯定否定の立場いずれにしても)受け入れられていく展開もスピード感もあって良い。この辺のくだりを妙にロジカルに構築されていくとしたらツラいなぁ、と思っていたので、個人的には加点ポイントです。

わたしはTVシリーズの『ウルトラマン』を子供の頃に再放送で楽しんでいたクチだがエピソードの細かいところの記憶は抜け落ちているし、どんな怪獣•星人がいたかもバルタン星人や最終回のゼットンが強く印象に残っているくらいで、その他の記憶は朧げだ。

だから〝ウルトラマン原理主義〟的な立場からから見た場合本作がどのように映るのかは判らない。もしかしたらウルトラマンの造形や所作のアレやコレやに不満があるのかもしれないけれど、わたしはその辺はそれほどの瑕疵には感じられなかった。

そんなわたしではあるけれど、ラスボスのアレにはちょっと首を傾げざるを得ない。造形も映像もどうにも「うん。コレジャナイ」感がつきまとってしまう。それまでのミニチュア感やあえての古い特撮風味の映像は問題ない。むしろ正しいとさえ思う。けれど、このクライマックスにおいてのスカスカ感は残念であった。だが、逆に言えばわたしが今作にノレなかったところがあるとすれば、その部分くらいだった。

浅見(長澤まさみ)のあのシーンはその後の神永(斎藤工)との例のシーン含めてややセンシティブな描写であるとも言えるので、苦手な人がいるのも理解は出来る。しかし、画面に大写しとなったあの姿は(オリジナルエピソードの再現であると同時に)特撮の異化効果のようなモノが良く感じられて好きな場面のひとつだ。

そして、禍威獣との戦闘シーンもワクワクさせてくれる。山の中、工場といったお馴染みの場所での対決はもちろん、夜のビル群の中での対決も良かった。高層ビルの間を移動していくウルトラマンの疾走感は新鮮でもある。

なぜウルトラマンが地球で闘うのか、という部分をシンプルに〝人類愛〟のようなところへ収めていったのもわかりやすいし、良いテーマだとは思うけれも、やはりウルトラマンの魅力は特撮映画である事だ。もちろん、荒唐無稽な空想ストーリーをシン•ゴジラ的に政治や外交問題へと落とし込んでいていくバランスの良さも評価したい。けれど、やはり特撮としてのワクワク感。禍々しいものと戦っていくヒーローの姿こそが魅力だ。

そう言う意味では、もうちょっとフィジカルコンタクトな闘いも見てみたかった気もするし、夕暮れ時の戦闘シーンも欲しかったなぁ、と思っている。

とするとですよ、やはり大日本人』って優れた特撮映画だったなぁ、という思いが強くなる。そんな気持ちでエンドクレジットを眺めて、帰りにグッズコーナーでシン•ウルトラマンフィギュアを買っていくのでした。