妄想徒然ダイアリー

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みんな色々あるけど、未来を描け。『私立恵比寿中学 10th Anniversary Tour 2022〜drawer〜@6/17(金)TOKYO DOME CITY HALL』雑感

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本来はツアー2日目となるはずだったLIVEの振替公演。仕事を強引に切り上げて参戦した為、ワイシャツの下にエビ中Tシャツを潜ませるスタイルで入場。これまでのエビ中LIVE参戦史上おそらく最もステージに近い。余りに近くてついつい目の前のメンバーに視線が集中する。

アニバーサリーという冠に相応しく過去のアルバムからピックアップされた曲で構成されたセトリは、大盛り上がり大会的な賑やかさというよりは比較的大人しめのラインアップという印象を受けるが、それこそが今のエビ中の現在地とも感じられて妙に感慨深くなったりもする。

冒頭の『全力ランナー』や終盤に配置された『感情電車』を聴くと、わたしたちの心の中にはある感情が沸き立ってしまう。そして、こう思う。このツアーは、今頃目の前にいる9人とこれまでのエビ中メンバー達が作り上げてきた10年の歴史を振り返るような2時間なのだ、と。

後半、メンバー全員が白い衣装に着替えて来た時、柏木さんが「これから色んな色に染まっていく」(大意)と言っていたけれど、それはエビ中の新しいこれからの事でもあるし、或いは柏木さん(そして、これまでエビ中にいたメンバーたちの)のこれからの新たな未来が白いキャンバスに描かれていく事を言っているようにも思える。確か『イエローライト』の時だったと思うけれど、メンバーが代わる代わる柏木さんと手を繋ぐ場面があって、そんな様子を見ていると「嗚呼…ひなたちゃん、もうすぐいなくなってしまうんだな」というような気持ちになったりもする。

そんな感傷はもちろんあるけれど、もちろんカッコよくて盛り上がる場面も沢山あった。個人的には『愛のレンタル』の始まり方はかなりグッと来た。今回、真山さんは大事を取って生での歌唱は行わず、彼女のパートだけ音源を流すというシステムだったけれど、正直言われなければ判らないくらい違和感がなかったと思う。唄えない分だけ、踊りにいつも以上のキレがあったような気すらしていたけれど、それはともかく、『愛のレンタル』はとても良かったし、続く『ハイタテキ!』も凄く良かった。(段々と語彙力がなくなってきます)

あと『でかどんでん』ですよ!これも良かったですね。風見さんのひとり芝居a.k.a.茶番で始まって柏木・中山・真山チームが合流する展開も楽しいけれど、何より曲の導入部がカッコよすぎる。

ですけれど、この導入のところ『踊るロクデナシ』だとずっと思っていて、そのあと『どかどんでん』になったので、てっきりマッシュアップだと思ってるんですけど、わたしの勘違いだろうか。まあ、カッコよかったから良いんですけど。

『夏だぜジョニー』をLIVEで観た事があっただろうか。ちょっと記憶がない。夏らしいわちゃわちゃした感じが楽しいし、すっかりヤクルトファンおじさん化してる柏木さんを観ているだけで満足したりもする。

『Anytime,Anywhere 』は観る度に魅力がどんどん上がってくる。特に年少3人組が「新メンバー」からエビ中の一員へと成長し、堂々としたパフォーマンスを魅せているように思えて、心の奥の何かが刺激される。伸びやかな歌声とその透明感で末っ子でありながら不思議な安定感のある風見さん、独特のマイペース感や顔芸が汗だくの一生懸命さと混じり合う小久保さん、そして目の前にいる者の視線を全て奪い取ろうとするかのような貪欲さとキレのある頭の動きがれにちゃんの全力感を彷彿とさせる桜木さん。この3人を見ていると、これまで続いできた(決して平坦ではなかった)道のりとこれからの未来が地続きのように感じられる。

そしてたむらぱん曲の〝ズルさ〟に今夜もやられてしまう。

時々涙を隠していることも知ってる

それでもあなたは笑って来てくれたんだ

忘れたふりをしていた思い出の結晶

これからも繋げて行けるような気がした

「ポップコーントーン」

変わらないメンバーで長く続けていくグループの魅力も素晴らしい。メンバーが変わってしまったりそのピースが欠けていったりした事で魔法が解けてしまうグループもある。しかしエビ中の場合は、メンバーが変わり続けていきながらも脈々とバトンを渡すかのようにグループが歴史を紡いでいくその有り様こそに尊さがあるのかもしれない、と思い始める。今目の前にいる9人も、そしてかつてメンバーだった者たちも、そしてこれからエビ中になるかもしれない誰かも、それぞれがこの世界を作り出すピースなのだ。セトリ最後に配置された『COLOR 』で気づけば涙腺が緩んでいた。そうやって、濃密な2時間は終わった。

終演後、スマホを開くとカープがヤクルトに負けていた。しかし、今夜はそれでも良いような気がする。