妄想徒然ダイアリー

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レペゼン安佐北区の女のルサンチマン。『Perfume 9th TOUR 2022 〝PLASMA 〟9/17(土)広島グリーンアリーナ』雑感。

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Perfume広島遠征も何時ぶりだろうか。確認してみると2018年の〝Perfumeとあなた〟ホールトゥワー以来だった。そもそも広島にも3年以上来ていない。

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駅に降り立つだけでも感慨深い。駅ビルや駅前も含めて街並みはかなり変わってしまっているけれど、それでも高校生の頃に自転車で走っていた頃の風景の面影はあって、上手く説明出来ないけど〝エモい〟何かが身体中に沸き起こる。以前行っていたお好み焼き屋さんに行って肉玉そばを食べるだけで、失われた3年間が戻ってきたような気分にもなる。

有明初日であ〜ちゃんに「マイメンT、少ないっ…!」と怒られたわたし達は当然のようにマイメンTを着てこなければならない。わたしは有明の時にマイメンTシャツをゲットし損なっていたので、この広島でのグッズ販売に賭けていた。なのでグッズ販売の1時間前に列に並び、予想外の強い日差しに耐えながら無事マイメンTシャツを手に入れる事が出来た。洗脳されているわけでもないだろうけど、このマイメンT段々と良く見えてくる。事実、この日広島の街を歩いているとかなりの確率でマイメン同志とすれ違った。わたしは心の中で「グッジョブ!」サインを出しながら、(あ〜ちゃん、今日はマイメン多いけぇね)と心の中で呟きながらラーメンを食べていた。

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ワクドキしながらも、まろやかに入場。何となくそんな予感もあったのだけれど、案内された席はアリーナだった。Perfumeのアリーナ席も久しぶりだ。しかも実質3列目。多分、マイPerfume史上1番近い席ではないだろうか。

オープニングからわたしは泣いていた。有明で1度観ているので、流れは判っている筈なのに目の前で広がるスペクタルな展開に圧倒されていた。80年代から90年代のSF映画サントラのような、個人的にはジョルジオ・モロダー的なスケール感の印象がある音と共に〝降臨〟してくるPerfumeに鳥肌を(比喩でなく実際に)立てていた。

そして数メートル先にいる3人の姿を目にすると、まさに〝眼福〟という言葉が頭に浮かぶ。もちろん、スタンドから観る風景も良い。全体の構成が確認出来て、パッケージとしてのステージ、完成された作品の姿が立ち上がるからだ。一方、今回のようにステージ(すなわちPerfume)との距離が近い場合には、また違った側面が見えてくる。曲中の肩のちょっした動きやメンバー間でのアイコンタクト、そして何よりPerfumeが目の前に確かに存在しているというリアリティ〟のレベルが段違いだ。例えば〝シン・椅子曲〟である「Drivi'n the Rain 」での手や脚の動きが繊細かつ大胆なものであることや、「アンドロイド&」で〝アンドロイド状態〟になった時の身体の角度(特にのっちのウルトラマンのような腰から下肢にかけてのシルエット)など新しい発見も多くあった。

あ〜ちゃんのMCもいつも以上にキレキレだった。のっちが上京する際に周囲からかけられた「いつかMステに出られるの待ってるね」という言葉に対する複雑な心境を受けての、安佐北区の団地からそんなスターが出る訳ないと思われとる。クソがッ…!!!」というルサンチマン丸出しの感情の発露は、或いは広島だったからこその出来事だったのかもしれない。ライブにおける声出しを巡るアレコレも含めてこういった毒とエッジの効いたコメントをするあ〜ちゃんというのも久しぶりな気がして、何となくブレーク直後の頃を思い出したりもする。

そういった流れもあってこの日の「ポリリズム」には比喩でもなんでなくて鳥肌が立ったポリリズムがライブのセットリストから外れる事に違和感を感じなくなってしばらく経つが、それはそれだけ彼女達が多くの武器を手に入れてきたという証でもある。そんな自信とプライドを持った3人が、ここ広島という地で、ツアー初披露としてこの曲をぶち込んできたその気概に、わたしは心震わされた。ああ、そういえばグリーンの衣装は2010年の東京ドームを思い起こさせるものだったりする。個人的にはこの2010年の東京ドーム、そして2020年のあの東京ドームに並ぶ「ポリリズム」ベストアクトのひとつだったと言いたい。

『PLASMA』のツアーなのでアルバムの曲がセトリの中心になっている。オープニングからエンディングまでが見事な構成でパッケージされているのは当然として、Perfumeのライブは祝祭と祈りの空間をわたし達に提供してくれる。特に『Party Maker』は会場全体がトランス状態になり、ステージに掲げられる手の数々は世の中の平安や護国を願うお祭りそのものの風景だった。わたしの数メートル先には台座に乗ったかしゆか。その踊る姿、時に観客ヘレスを送り、フロアを煽るその姿は、神事を執り行う巫女のように見えた。

そうやってPerfumeのライブを体験したわたしは完全に浄化された。日々の生活の中で身体の中に溜まっていた澱のようなものがスーッと流れるようにクリアになっていく感覚だ。ステージから消えていく(あ〜ちゃん曰く「未来に帰っていく」)間、目の前に円筒状の布が現れる。まるでIMAXシアターのような迫力があるそのスクリーン上の映像は、まさに映画のエンディングロールだった。非常に感動的だった。

清らかな気持ちで会場を後にしたわたしはホテルへ戻る途中で見かけた居酒屋へ入った。ライブの余韻を味わいながら呑む日本酒はまた格別だったし、おそらくそれは徐々に現実世界ヘ戻るプロセスになっているんだと思う。そうやってわたし達は現実世界を生きながら、ネクスト・ステージを待つのです。

 

※おまけ P.T.A.コーナーの前、暗転している中でわたしの視線は座っているかしゆかを捉えていた。そこには、水分補給をしながら、御髪をティモテ状態で整える姿があった。何とも言えないドキドキ感を感じていたけれど、照明が灯りサッと立ち上がってステージへ向かう姿には凛々しさと颯爽としたカッコよさがあったこと付け加えておきます。