まさに台風一過という晴天で確かに物販列に並んでいると日差しはアツいけれども、心なしかカラッとしているような気もする。秋ですね。
ステージにはどどーんとハートのバルーンが飾ってあって、それが、どストレートでど真ん中なアイドルのライブである事の宣言のようにも思える。客入れ曲でエビ中の「誘惑したいや」が流れてテンションを上げつつ開演を待つ。
冒頭、他メンバー3人による影ナレが入る。あんたんしゅきしゅきクラブの会員番号0001が奥津さん、0002がハルちゃん、0003がおとはすという事で、それぞれヲタク構文的にグフグフ言いながらメッセージを送っている。相変わらずのフィロちゃんズでフロアを笑わせてくれるけれど、ふと〝堕天使@ダークネススマイル〟というキラーワードをぶっ込んでくるおとはすを目の前にして、現体制の残り時間の少なさの事を想ったりする。
前半はあんさんのソロコーナーだ。リクエストに応じた選曲との事で、曲順はハルちゃんが決めたらしい。会員番号0001のヲタクこと奥津さんが言うように、あんぬちゃんの声の伸びやかさは心地よく、松浦亜弥、広末涼子、南野陽子といったアイドルど真ん中の曲達との親和性も高い。そんな中でも白眉はやはり「ラムのラブソング」でしょうか。
「最近、みんな他の人の事ばかり見てない?」というMCからの〝あんさんのラブソング〟は切れ味鋭い刃物のようでもありました。きっと心臓をサクサクやられたヲタク達が沢山いたのではないでしょうか?
MCでおとはす(だったかな?)が言うようにハートのバルーンの前で制服衣装を着て歌って踊れる、そんなアイドルど真ん中の道を歩けるのもあんさんだからこそだ。「こういう可愛い衣装をグループでも着たい」という話になった流れで、いつものように茶番が始まったわけだけど、ふと意を決したように「いや、わたしだけが着るよ」とあんぬちゃんが言った時の頼もしさ。「このグループの王道アイドル部分はオレが守っていく」という宣言には、思わずグッときてしまった。ソロ曲の「Decade」を観るのも、2回目だろうか。個人的な印象だけど、この曲は振り付け全体がこれまで彼女が辿ってきたアイドル史を総括するようなダンスになっているように思える。「王道アイドル部分はワシに任せろ」という矜持がここにもあるような気がした。
後半はフィロちゃんズが揃ってのライブコーナーだ。「テレフォニズム」はラップパートがお気に入りなんだけど、この日もキラキラとした輝きがあった。そうな風に、もちろん、ステージにいるのはいつものベスト4だけど、ついついここでも残された時間の事が頭をよぎったりもした。
せめてSay Good-bye
できるでしょ 大人なんでしょ
「サマー・イズ・オーバー」
まだまだ暑いけれどカラッとした空は、近づいてくる秋を感じてしまう。MCの中で「いつまでこうしていくんだろう」と考える夜もあった、とあんぬちゃんにしては珍しくダウナーな側面をみせる一瞬もあって、もしかしたら迫りくる秋がそうしたメランコリーを引き寄せたのかもしれない。でも、そういった夜を経て、「ど真ん中のアイドル、背負ってやるよ」的な意志が出来上がっているのかもしれない。
特典会では、相変わらず「ありがとうございました」くらいしか言えなかったけれど、「楽しめた??」と聞かれてテンパったわたしは「だ、大丈夫です!」と応えていた。自分でも(大丈夫って何だよ…)と思いながら逃げるように去っていった訳だけど、あえてこじつけるならば、このまま進んで行っても大丈夫ですよ!という解釈も出来ないことはない。そう、いつかあんぬちゃん生誕祭で御輿を担いで練り歩くその日まで。えぶりしんぐ・うぃる・びー・おーらいと。