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「のの、ななこ。エヴァに載れ」『5/14(日)フィロソフィーのダンス Brand New Dance TOURファイナル東京公演』atザ・ガーデンホール雑感

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気がつけば日本橋の新体制お披露目依頼の現場となっていた。その間、5人体制のフィロのスは各種イベントや対バン、ライブ企画などでしっかりと地固めをしているような印象があって、今回のバンドセットライブも凄く楽しみにして臨んだ。

はい。最高でした!

新旧バランスよく配置されたセトリで、曲の並びにもストーリー性があって、まさに〝新しいダンスが始まった〟というに相応しいライブだった。

マスク越しではあるけれど声出しも出来て、そういうカタルシスもあるけれど、とにかくフィロのスの第二章の始まりとレベルアップした姿を身体中にヒシヒシと感じて、心地よい。

『熱風は流転する』から『アイドル・フィロソフィー』という流れ、ここでこのライブのストーリーが凝縮されていたような気がする。5人だからこそ生まれるダイナミズム溢れるパフォーマンス、そしてその直後に馴染み深いアンセム的な曲をやる事で、覚悟と矜持を見せつけられた気がした。後に奥津さんがMCで語ったように変化への不安はなく、「安心して新体制ついてきていいよ」というグループとしての宣言がそこにあった。

だからこそ、その後の「エポケー・チャンス」や「VIVA運命」といった曲についても全く違和感なく、というよりは新たな輝き・発見のあるステージが繰り広げられていたのだろう。奥津さんとハルちゃんの歌声が、さらに進化しているようにも感じた。

わたしの位置からは、ちょうど上手のお立ち台がよく見えて、メンバーが目まぐるしく現れていたけれど、誰もが照明に照らされて文字通り輝いていた。奥津さんはクルクルと表情を変えながらはしゃいでいたり、ハルちゃんも明るくフロアを煽っていたり、あんぬちゃんは、キャプテン的な生真面目さを思わせるそのキチンと伸びた手でフロアを指差し、時折りハートを作ったりして、色々と罪深い。そして木葭ののさんと香山ななこさんが2人並んでお立ち台に立つ姿も新鮮だった。はにかみながらも笑顔を振り撒く木葭さんとひとりひとりの顔を見るようにグルグルと視線を交差させる香山さん、それぞれがそれぞれの個性を溢れさせる姿が感じられた。

『ポジ子とネガ乃』はまさに木葭さんと香山さんの2人を歌った曲で音源もカッコよかったけれど、ライブパフォーマンスがまた良かった。良すぎて記憶が飛んでしまったくらいだ。(なので配信で再確認したい)

そしてこの日の白眉は『アルゴリズムの海』だったかもしれない。何しろアウトロがヤバかった。静かに終わっていくのかと思ったところに、木葭さんのソロダンスが始まる。(なるほど、こういう締め方ね)とタカを括っていると香山さんとあんぬちゃんが現れて3人のダンスになる。(おお、良いじゃないですか!)という矢先にハルちゃんと奥津さんも加わって5人で踊り始める。最後のシークエンスはもしかしたら10秒くらいだったかもしれないけど、ここのダイナミズム、素晴らしかったです。

『シュークリーム・ファンク』でのあんぬちゃんのペコちゃん顔とか奥津さんやハルちゃんの歌声が数段レベルアップしているとか『ダンス・ファウンダー』で「スカイツリー」の踊りをやらせる香山さんのあ〜ちゃんとか色々と言っておきたい事はあるけれど、やはり最後の『シャル・ウィ・スタート』ですよね。

ひとつの終わりと新たな始まり。それを静かにでも力強く決意するかのようなこの曲。この曲がこんなに響いてくるとは、少し意外だったけれどそれはやはり新メンバー2人の決意表明に引き込まれた要素が大きい。

香山さんも木葭さんも、生き辛さを抱えながら歩んできた過去を語りながら、それでもフィロのスに出会い、そしてフィロのスになる事で新たな人生を掴もうとする。その言葉を後ろで見つめる3人の姿と相まって、正直涙腺が緩んでおりました。香山さんの「わたしも誰かを勇気づけるような存在に」という気持ちを衒いなく言える事も強みだし、「それでも自分の個性はなかなか変わらないから、月のように光を照らすようになりたい」という木葭さんの誠実さもまた強さである。

こういうと語弊があるかもしれないけれど、フィロソフィーのダンスは圧倒的なパワーと才能(を発揮する機会)に恵まれたアベンジャーズの集団というよりはエクスペンダブルズ的なワイルドさがあるグループのような感じがあって、奥津さんもハルちゃんもあんぬちゃんも(そして十束さんも)それぞれにある種の挫折を抱えながらファロのスとして集まってきた印象がある。

だからこそ唯一無二としてベスト4としての輝きが生まれたんだろうけれど、そこからの変化については大きな不安があったのは当然で、そんな中で生まれた新体制について、今ここに至って「不安から安心になった」という奥津さんの言葉は頼もしいし、そこに嘘はない。またハルちゃんもあんぬちゃんも「変化したフィロのスとして続けていく決意」について語っているように、日比谷から半年で5人の体制はパズルのピースがはまったように完成しているような気がする。

この夜、わたしの目の前には強くなったフィロソフィーのダンスの姿があった。そしてその姿は輝いている。そこでは新しいダンスが始まっていた。