妄想徒然ダイアリー

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劇団ネメシス第一回公演。【映画】『アングリースクワッド公務員と7人の詐欺師』雑感。

予告編→- YouTube

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驚くような仕掛けがある訳でもないし、ストーリー展開もオーソドックスではある。コンゲームモノとしても設定に穴があるようにも感じられるけれど、そういった部分が気にならない。地に足のついた語り口がスーッと身体のなかに染みるとでも言おうか、ストレスなく楽しめる作品だった。それってなかなか出来る事ではないとも感じる。

熊沢が詐欺に加担していく過程やその動機の描き方も派手さはないけれど上手く処理されていたし、氷室が持つルサンチマンをさりげなく熊沢(と観客であるわたし達)に気づかせるあたりも、嫌味がない。登場人物に感情移入しやすい仕掛けになっていたと思う。生きる為に、大勢に流されてしまった過去を悔やむかのように望月に告白する場面は、その描き方はクリシェではあるけれど、それでも心を突いてくるものがある。或いは氷室が熊沢一家の団欒を見つめるときの一瞬の感情の揺らぎには、グッときてしまったりもした。

上田慎一郎作品とメジャー系の役者との相性も悪くなかった(内野聖陽さんや岡田将生さんは流石だった)けれど、熊沢の妻(金谷真由美さん)のアラフィフ感の生々しさなどこういう所に映画のリアリティって潜んでいるだなぁという事も感じたりした。欲を言えば、他のチームの面々のキャラクターをもう少し知りたかったような気もするけど、2時間という枠の中では限界もあったのかもしれないし、塞いでいた気分も少し晴れた気がする。