スマホ全盛の時代から振り返ってみると、折りたたみ携帯のパカパカさせる仕草もなかなかカッコよく見えてしまうものだ。
『犯罪都市THE ROUNDUP』
マ・ドンソクvsソン・ソックは最強vs最狂!映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』予告編 - YouTube
とにかくマブリー様の腕っぷしだけで白飯5杯イケる系は前作同様で、強力班の面々達にも再会出来る楽しさもある。今回のヴィランであるカン・ヘサン(ソン・ソック)の狂気とクレバーなキャラクターを知らしめる冒頭のシークエンスからグッと惹き込まれる。緻密なストーリー構成があるわけではないが、まさに力技でラストまで一気に駆け抜けたような感じ。
コメディとアクションのバランスも程よい。登場人物達は敵も味方も基本的には銃を使わず、ナイフや斧による攻撃をメインとしている。そもそも銃を向けてもマ刑事(マ・ドンソク)が無効化してしまう。ナイフによる攻撃もハンマーのようなパンチを相手に食らわす姿は爽快だ。銃使えば一発じゃね?というのは野暮な話で、頑なにフルコンタクトな戦いをこだわる事である種のファンタジー性も帯びているような気がする。
前作同様、ヴィランの狂気を帯びた冷徹な悪役ぶりは今作にも健在。ソン・ソックのワイルドさとどことなく知性も感じる佇まいが良い。前作のチャン・チェンが得体の知れない不気味さが生む恐怖だとすれば、カン・ヘサンの行動原理はある意味合理的でありながらも、常軌を逸したバイオレンスをぶつけてくるあたりにヒリヒリとした怖さを感じる。マ刑事とタイマンで対峙した時の不敵な笑みはクールで色気があった。
そして強力班の面々(1人メンバーが入れ替わってるけれど)の再登場も楽しい。特に、班長が良いんですよね。一見、事勿れ主義の上司としてコメディリリーフ的役割を担ってる一方で、現場主義のデカの矜持を持っているアツい男の一面も持ってる。何気にチームとしてのまとまりも良いところから見ても、いや実は良い上司ではないか、と。思わず、自分の職場環境と比べてみたりして…。
という事で、何やら続編もありそうな締めくくりで、〝打ち上げシーン〟のアドリブのような楽しいやり取りをする強力班を眺めていると、「また、コイツらに会いたい」と思わせてくれるのでした。
ただ、日本版オリジナル主題歌というシステムだけは出来ればやめてほしいな…と。それだけが個人的には減点ポイントでした。