妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

ダンスが上手く踊れたら。【映画】『アス』雑感。

人生の中で、ある一点からガラリと変わってしまう事がある。文字通りの分岐点で、それ以降の自分は前の自分にはもう戻れなくて…。大袈裟に言えば、その選択を一生噛みしめながら生きていくしかない。そんな事を考えたみたりする。

という事で観てきました。

『アス』

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いやまあ、とにかくルピタ・ニョンゴですよ。改めて素晴らしいですね。僅かな眉の上げ下げとか口元の開き具合とか、小さな変化、その表情が産み出す機微。表現力のレベルが段違い。

ジョーダン・ピールの作り出す世界は前作『ゲットアウト』同様に恐怖と笑いの境界線を行きつ戻りつし、あるいは重なり合いながら進んでいく。冒頭からの不穏な空気は緊張感を維持しながら、であるだけに笑いのツボにハマる部分では肩を揺らすほど笑ってしまった。

ストーリーの構成や設定は一見するだけでは隠された意図が掴みきれない複雑な仕組みになっていて、例えばN.W.Aがスマートスピーカーから流れている(ここのくだりが、また良いんですよね)白人邸にアフロアメリカンの家族が〝強盗状態〟で押し入るような形になっているという、幾重にも仕掛けのあるアイロニー等その深いところにあるものを完全には理解しきれていない。そういう意味では難解ではあるのだが、しかしそんな事を考えずともキッチリとエンタメとして高いレベルにあるのがこの作品の特徴でもあって。ジワジワとした怖さが次第にドライブしていく様やそこから生じる笑いで2時間はあっという間。

ルピタ・ニャンゴは言うに及ばず、隅々に至るまでキャストが素晴らしい。夫役のウィンストン・デュークやエリザベス・モスも良かったけど、特に子供2人は二役を巧みに演じ分けをしていて感心させられた。マスクや髪型といったビジュアルによる区別は勿論のこと、その眼差しなどの使い分けは素晴らしく、そこに宿る説得力には時に涙腺を刺激させられた。緊張感から生まれる笑いの場面としてもタイラー邸の一連のスピード感はこの作品でも白眉でもあるが、そこへの貢献度という点でも2人の存在は大きい。

しかし、やはりルピタ・ニャンゴのアディへ与えた命の吹き込み方はヤバい。特にサンタクルーズへ到着した時のあの表情!!!!不安や周囲への取り繕いや平静を保とうとするバランスが生み出すその一瞬、それを切り取ってみせる彼女のアプローチは見事という他ない。あの一瞬だけで観る価値がある、とさえ言ってもいい。そのとんでもないレベルのキャラクターとしてのリアリティが終盤に訪れる不思議なカタルシスを産み出す事にもなっていて、嗚呼そう思えばもう一度最初から観直してみたくもなる。

複製された人生、自己との対峙とその克服、人生の負債にどう落とし前をつけるのか…などなどジョーダン・ピールの仕掛ける罠は一筋縄ではいかない。そのメッセージ性とエンタメ性とのバランスは絶妙。踏み入れた瞬間からもう我々はジョーダン・ピールの手から逃れることが出来ず、そのお化け屋敷の迷路で必死に出口を探すしかない。

そしてそれはかなり心地悪く、そしてとんでもなく心地よいものだ。

「わたし達…?わたし達は…アメリカ市民だよ!!!!」

キミと僕との…こんな夜。9/10(火)『新宿系ガールズミーティング ツーマン 眉村ちあき/BILLIE IDLE ®︎ @新宿LOFT』雑感。

ビリー・アイドルといえばコレBilly Idol - Mony Mony (Live) - YouTubeでBISといえばコレBis - Kandy Pop - Official Promo video - YouTubeなわたしは御多分に洩れずワイドナショーでファーストサマー・ウイカさんとファーストコンタクト。なんだ、この娘は???となったパターン。しかしながらBILLIE IDLE自体には手が出てない状態で、そんなところへ眉村さんとのツーマンがあるってんでチケットを取った次第。そんでもって慌てて当日になって音源をチェックしているような始末でApple Musicでベスト盤をダウンロードしてポチっとしたんだけど、そしたら最初に鳴ったのが〝BYE-BYE〟で。いや、いきなりノックアウトされた訳です。この曲がどういう経緯で生まれてヲタク達の間でどういう意味を持つものなのかは分からないけど、心ワシ掴まされましたよ。

という事で行ってきました。

新宿系ガールズミーティング ツーマン

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眉村ちあき

先行は眉村さん。「最近、元気なビリー・アイリッシュって言われるの」というその姿はツブツブ上下にツイン団子。はい、かわええ。

首に巻いたコルセットの理由は「寝違えた」との事で、そのため左側に首を向けられないとのこと。「だからこっち側のひと(上手)にファンサできない」といってチラ見するイタズラっぽい顔、忘れません。下手側にいたわたしは過剰な笑顔をいただきました。

〝ナックルセンス〟でサーフ。「タンカーで運ばれてる人みたい」f:id:mousoudance:20190911003149j:imageといいながらフロアを一周。差し出される手の数々は今日もイニシエーション感たっぷり。それにしてもいつもながらこの体幹よ。すっくと上に伸ばされた腕の形。

この日の〝音楽と結婚ちよ〟では即興で曲作りの事を歌う。スマホゲームに夢中になって意欲がなくなっていたけど最近はムクムクと情熱が復活していたという告白は頼もしくもあり、そしてそういう弱さもポンと吐き出すところは彼女なりのバランスの取り方なのだろうか。〝代々木公園〟でのマユムラーへの愛の溢れ具合同様、エモエモのエモでしたね。〝おばあちゃんがサイドスロー〟はBILLIE IDLEのファン達にどう捉えられたのか。クールなトラックに痺れてくれたと信じたい。わたしは壁際の割とプライベートスペースを確保できる位置にいたのでタコ踊り状態でした。首のコルセットは途中でかなり気にしてるようだった。どこのタイミングで外したかは忘れたけど、その姿は封印を解かれた魔物感があった。

〝りんご屋さん〟(インドじゃなくてどこだったっけ?)も〝メソポタミア〟も間違いのない盛り上がりで最高だったけど、個人的にはメソポタミアのコールを教えながら歌う姿が好きで。なんていうのかな、初見でも楽しめる形をさりげなく提示するスタイルはオーソドックスだけど大事というか。そんな感じ。最後の部分のトラックを繰り返してヲタクのカタルシスを弄ぶ遊びも楽しくてニコニコしちゃう。

最後は〝うぃーあーざちゃんぴおん〟で大団円。どことなく眉村さん、気合い入っていたように感じた。「がんばろーぜー!!人生ーーーー!!!!」というストレートなエールを力強くぶつけられて、わたしホントに元気が出ましたよ。

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ビゲストラブでパワフルな投げキッスを頂いてステージは終わりました。

 

BILLIE IDLE®︎

ハッキリいってナーメテーター状態。いやドチャクソ楽しかったです。朝ダウンロードして聴いたベスト盤からの曲も多く、コールなんかは知らないけどそんなの関係なくてただただ楽しい。あのですね、ネットに転がってる画像とかね、そんなものでは分からないカッコ良さと可愛さがあってですね。ウイカさんくらいしか知らなかったわたしは気がつけば5人の事が好きになっていた。プー・ルイさんが持つ不思議なカリスマ性というか人を惹きつける何か、ヒラノさんの表現できないけどまばゆい愛くるしさ、モモセモモさんの凛とした姿とそこから発せられる個性的な声、アキラさんの力強い存在感、そしてウイカさんの目まぐるしく変わる表情と巧みな表現力。うーん…ちょっと、ヤバいですね。ハマってしまいそうだ。

イカさんがハーモニカを吹く曲(終演後、眉村さんのチェキ並んでる時に兼ヲタの方に〝エブリデイズ〟だと教えて頂きました)は予習してないものだったが、アレカッコ良かったです。ちょっとウィーザー感あるというか。

あと〝ダーリンにはならない〟の中でも好きなパートである「頭の中でいつも歌ってる。何だったらそれ今だってやってる」をシャウトするところも好きだし、首振りながら踊る振り付けも好きです。

おそらくは定番曲多目のセトリだったのだろう。ベスト盤でも個人的に好きな曲達がズラリと並んでいたし、会場の盛り上がり方からもそれが判る。そして眉村さん同様、5人にも初見の人でも楽しませようとする思いのようなものがあった気がする。上手く言えないけど、そんなキミと僕との何かがあった気がするのです。なんてね。

MCでは袖にいたと思われる眉村さんとのやりとりがあって、眉村グッズのツブツブスタイルを見て「同じやつ、作ろかしらん」と言っていたが是非やって欲しいですね。それに対して「受注生産で」とガヤをいれるおそらくIDLE FELLAS(とファンを呼ぶ事、覚えたぞ)との呼吸の合ったやり取りも含めて微笑ましいひとときでした。

ホントにラストの曲まで5人の輝くような姿が目に焼き付いている、そんなステージでした。繰り返しになりますが、みんなかわええ。こりゃライブ観たらハマりますよ。せっかくだからチェキ取れば良かったかな…。

 

眉村さんの特典会の締めが終わって立ち去る時、ティアラをつけた彼女はお姫様感たっぷりだったが、向こう側にいたウイカさんがそれを微笑ましい眼差しで見守っているように感じたけど幻だったかもしれない。f:id:mousoudance:20190911020806j:image

という事で、この時点で「えぬえちけ」を予約録画していない事を思い出したわたしは慌てて人力でのリモート予約を行い、そして急いで帰宅の途につくのでした。

泣け!叫べ!盛り下がれ!渋谷で見つけた小さな雷。『アーバンギャルドpresents鬱フェス2019@O-EAST』雑感。

誰かがSNSで呟いていたけど、ホントに今日は天気の子がいるに違いないという空模様で、朝晴れていたかと思えば急に雨が降り始めて、さてでは傘を持って出かけるか、と渋谷に着いたらメチャクチャ晴れててしかも暑いときている。

全く、鬱になりますね。

という事で行ってきました。

『鬱フェス2019』

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新しい学校のリーダーズ

開幕宣言後のトップバッターは新しい学校のリーダーズ。割と前方に位置取る事が出来たので4人の姿がよく見える。TIF同様、待ち時間は20分程度。時間としては物足りないが、相変わらずパフォーマンスは素晴らしい。〝席替え…〟〝恋ゲバ〟そして〝エンドレス青春〟から〝最終人類〟の流れ。この青春→最終人類はTIFでも観られた形だが、すっかり定番化してるというかアンセムとして成長したというか。後ろからの風景はどうだったのだろうか。ぷっちゃはんざっぷされた手がどれだけあったのか気になるところ。

FINAL SPANK HAPPY

リーダーズの特典会からフロアに戻るとジーザス・ジョーンズみたいなカッコいい曲が流れていた。うっすらと名前に記憶がある程度で初見だったんですけどいやこれはカッコいい。後で知ったんですけど粋な踊り方してた男の人、菊地成孔さんだったんすね。クールでありつつ刺激的な歌詞(だったという記憶。覚えてないけど)とのマジカルな化学反応が身体を揺らします。ラストの〝フィジカル〟のカヴァー、良かったなぁ。

なみちえ

全くの初見。紡ぎ出されるメッセージはかなり力強く鋭い。その鋭さは自らの愚鈍さを告発されているかのようにも思えて申し訳なくなるくらい。ふと頭に浮かんだのはチャックDだったり。「おまえを逃す」という曲の誤読を予め誘い込むようなライムの破壊力よ。ニガす?ニガさない?

オーケンギャルド

大槻ケンヂという人が持つ独特のオーラというか空気感というか。そんなものが溢れている空間であり時間であった気がする。松永さんやオーケンさんの自由さを制御しようとする浜崎さんも美しいが、同時におおくぼけいさんが放つ妖しさにも目を奪われる。個人的には〝労働讃歌〟のスクワットに様々な感情が交差したのでした。

頭脳警察

わたしが学生の頃からその名前は伝説化していたがなかなか手が出ず今に至る。パーカッションのグルーヴ感が内なるエモーションを刺激する。と同時に70年代をルーツに持つ音楽はジャンルが違えど近似するというか。ふと彼らの仮想敵であろうフォークやニューミュージックと言われるものと重なる瞬間があるような気も。とか言うと怒られるのだろうか。投げつけるような革命的・反権力的メッセージの熱さは例えば80年代であれば素通りされていたと思われるが、この令和の時代においてはむしろ消費される対象ともなっているようで、それは実は革命が成立しているのではないか、とも感じてみたり。

絵恋ちゃん

いやこれは驚きましたよ。名前は知っていましたけど、あれ?なんか活動休止してませんでしたっけ?というのはともかくとして。この人はヤバいな、とそう感じました。何というか用法容量を守っていかないと身がもたないそんな危険なドラッグのような予感がします。生きづらさを感じる者たちへの愛とムチ。鬱フェスという事では最もその趣旨に合ったステージだったのではないでしょうか。コールや手拍子はもちろん所謂ヲタク文化から来るものではあるが、むしろそれよりも絵恋ちゃんとヲタク達の共犯関係を作り出す為の儀式のようだった。結婚をテーマにした歌で竿にくくりつけたブーケを「ほらほら欲しい?欲しいのか?」的にフロアに垂らし、ヲタクを弄ぶ姿は最高でした。ハマらないようにしようっと。

R指定

てっきりcreepy nutsの方かと思ってたらバンドなんだね。それにしても楽しませ方が分かっているというか、なるほど熱狂する人たちの気持ちも分かる。リフトが定番となっているらしい曲の時も「おらーおっさん達来いよ!前に!!」って煽っていて、で多分マユムラーと思しき人がしっかりリフトされていてなかなか良い光景だったと思う。昔バイトの後輩がやっていたビジュアル系バンドのライブを観に行った時のことを思い出す。あのバンド、まだ活動してるのかしら。

眉村ちあき

「鬱というより躁状態になっている事の方が多くて…」という彼女のステージは幕の上がる前からコールで盛り上がる。(何の曲だったっけ?忘れちゃった)〝peace of teeth〟で一度フロアをチルアウトさせながら、〝ナックルセンス〟で一気に会場の温度を上昇させるのはいつものこと。おそらくは初見の人たちをも引き込まれたに違いないと思えるのは〝おじさん〟で、確かに少し声は辛そうではあったけれど聴いている人の中で明らかに息を飲んでいるような空気が周りにも感じられたし、事実わたし自身も軽く鳥肌の立つような感覚があった。〝ビバカメ〟の導入部において「鬱になったときは訳の分からない言葉叫ぶと良いよ」と言いながら、女性の名前をコールさせて、それが予行演習になってるとこも割と好きだ。他の曲でも時々やるよね、このパターン。ラストは〝奇跡・神の子・天才犬〟でやらない訳ないと思ったらやりましたね神輿サーフ。f:id:mousoudance:20190909061355j:imagef:id:mousoudance:20190909061401j:imageそしてそのまま2階まで運ばれて(おそらくは眉村さん自身の指示だろうけど)いくあたりが流石という他なく。いつも通りフロア中を笑顔にしていくのでした。

 

さて勿論最後まで見届けようと思ってはいたが台風の影響もあり、後ろ髪を引かれる思いでその場を立ち去る。アーバンギャルドとコラボステージは電車の中でニコ生中継を確認。新しい学校のリーダーズは〝少女元年〟でダンサーとしてコラボ。嗚呼、これは現場で観ればよかった…。眉村さんのステージもスマホ画面で確認。

という事で初めての鬱フェス、終わりました。やはりフェスは色んな出会いがあって楽しい。大いに盛り下がりました。

 

〈余談〉眉村さんの物販の時に、担当氏が着ていたTシャツがリトルサンダーさんのイラストで思わず声かけてしまった。多分、早口で喋るおじさんにM氏も引いた事だと思います。すんません。でもリトルサンダーさんのイラスト、良いですよね!!

言葉による命のやり取り。『徳川天一坊 連続読みの会 夜の部 @よみうりホール』雑感。

スターウォーズシリーズがエピソード4から始まるかのように、講談もまた長い物語の一部のどこをとっても楽しめる仕組みになっていて、それが新鮮でもありまたオーソドックスなスタイルであるという不思議さ。

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という事で観てきました。

前回の松之丞さんこ独演会では天一坊の生い立ちから越前登場までを聴いていて。そのピカレスクロマンの香りが沸き立つ天一坊の色気にクラクラした事を覚えている。

そして越前登場!というところでアメドラのクリフハンガー的に「この続きは…」となった丁度その続きが観られるというのは幸運という他ない。

夜の部は4人の講談師によるリレー方式。それぞれのキャラクター造形や物語世界の違いが感じられて不思議な感覚になる。天一坊の出番は少ないが、越前と山内伊賀亮との対峙の場面をはじめスリリングな場面が多く楽しい。

松之丞さんが冒頭にやったあらすじ説明はまさにスターウォーズの開幕のようでもあり。

神田松之丞「閉門破り」

脱出を試みる越前とその仲間たちを描いた一席。門番とのやり取りはコンゲーム映画のようなスリリングさがあり、夜の闇とそこで繰り広げられる男たちの姿が浮かぶようだ。

侍や中間とのキャラクターの演じ分けは当たり前のように素晴らしい。ふとしたときに沸き立つ色気が良いですね。

 

神田阿久鯉「水戸殿登城」

水戸殿の天然ボケぶりを始め、ユーモラスな場面の多い一席。「下にぃー下にぃー」という声が段々と近づいてくる描写にハッとさせられる。シンプルだが極めて効果的に距離感を表現する技術に講談の深みを見た気がする。

 

神田愛山「天一坊呼び出し」

再調べ通達の場面はやがて訪れる越前vs山内の前哨戦のように思えて。

再調べで呼び出した天一坊一派を挑発する場面のスリル。裏口を通らせる際の門番の乱暴さや十手を頭の上でゆらーりゆらーりとかざす様のイヤラシサ。悪と正義の境界線が曖昧になる刹那。

 

神田松鯉網代問答」

越前と山内伊賀亮とのラスボス対決。切れ者同士の静かなやり取り。相手の隙をつく言葉の応酬、ロジカルなやり取りはそのまま命のやり取りにも通ずる。

山内は越前をやり込めつつも、どこか諦観のようなオーラを帯びているのうにも感じる。常に陰謀露見しているというスタンスを保つべし、というヴォランとしての矜持や心得が浮かび上がる。ヒリヒリとした緊張感というよりも酸いも甘いも知り尽くした大人の男たちの重厚感のある空間。

ラストの立ち去っていく天一坊の一群に〝続く…〟の文字が見えたような見えなかったような。

 

という事で続きは来年ですか??待ちきれないっ!

これが私の生きる道。9/5(木)フィロソフィーのダンス『十束おとは生誕祭@duo MUSIC EXCHANGE』雑感。

わたしは胸を張るほどヲタク活動をしている訳ではないが、それでもいくつか推し現場が増えてくるとライフバランスを考えるようになる。

物理的にも経済的にも全ての現場に通える訳もなく、生活の中で処理しなければいけないタスクもある。

という事で行ってきました。

十束おとは生誕祭』

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この日はスケジュール的に行けそうになかったのでチケットは取っていなかったが、予定していた仕事の日程が変更となり定時に会社を出ることが出来た。あれ?これ間に合うんじゃね?という事で渋谷に向かったわけです。当日券を買おうとしたら前売り券を定価で譲ってくれる方が現れた。ありがとうございました。

というわけで、結論から言うと、来てよかった!!

前半はお友達だという声優の高木美佑さんのDJコーナー。フィロのスの曲を中心に様々な曲をフロアに響かせる。正直フィロのス以外は知らない曲が多かったけど、SPEEDの〝BODY&SOUL〟からの〝ニュー・アタラクシア〟の流れ、最高でした!!あと曲名わからないけどちょっと好きな曲あったな。

ヒャダインremixの〝ライク・ア・ゾンビ〟はフロアでこそ映えるというのがよく分かる。デカイスピーカーで鳴らされる事でその特異性も増幅するが、同時にDJというフォーマットに良くあっているというのも知らされたような気がする。ややヲタク達のノリが微妙に感じたのは気のせいだろうか。

ラストはフィロのスちゃんが出てきて〝ダンス・ファウンダー〟のコラボ。高木さん歌うところ間違えてしまうところもご愛嬌。

わたしは最後方に位置していたが、前の人の頭と頭の間から時々メンバーの姿がチラチラと見えるというそんな視界だった。しかし、その姿の見える瞬間が何とも愛おしいというかドキッとするような新鮮さがある。上に手を伸ばしたあんぬちゃんの手しか見えない状態だったが、それもまた味わいを感じる。

フィロのスのステージは〝アルゴリズムの海〟から。先日発売されたremixバージョン。1番はまるまるおとはすが歌う。ボコーダーを効かせたボーカルが良い。〝ライク・ア・ゾンビ〟は先ほどのremixとのギャップもありいつも以上にノリノリに。

おとはすがMCで語るように、生誕祭としては少し異色な構成だった。前半をまるまるDJタイムに割き、本人のソロコーナーは実質ない状態。「フィロのスの良さをわかってもらえるLiveにしたくて」という言葉は実に彼女らしくもあり、こういう生誕祭も良いな、と素直に感じる。そんな彼女がピアノを弾きながらの〝ジャスト・メモリーズ〟、素晴らしかったです。途中からおとはすが弾いている事も忘れるくらい自然な伴奏だった。

「フィロのスになって5年(ハルちゃんの「ババァだ!ババァ!」というガヤ付)」とおとはす。「マリリはシンガーソングライター出身で、あんさんはアイドルとしてキャリアをスタートして、ハルちゃんもバンドをやってきたという過去があって。そんな中、わたしは引きこもり出身で…」とやや冗談交じりながら誠実に語り始める。Live偏差値が低いという表現をしながらも、自分にはフィロのスしかないんだ!という思いをてらいなく表現する姿には素直に心打たれる。この日のステージはそんな彼女の思いに溢れたものだった。

ハルちゃんが曲中にシャウトしたように「俺たち最高ベストフォー!みんな大好きおとはす!」という気持ちがフロア中に充満したように思う。

最後の〝DTF!〟の時、おとはすは感情の高まりを抑えきれない様子だったが、同時にハルちゃんも目を潤ませていたように見えたのは気のせいだろうか。気のせいか。

最後にはサノスのガントレットを模したケーキ(と思われる。わたしの位置からは何も見えないが会話から想像)を貰って「宇宙が滅亡するかもよ?」というところまで実におとはすらしい時間だった。なんか久々に髪振り乱してカッコいいおとはすが観られた気もするし。

あまり勝手なストーリーを押し付けるのも良くないけど、おとはすというピースがハマることで完成したフィロソフィーのダンス、という事を考えてしまう。

Live偏差値が低いなんてとんでもない。ステージからその大きな瞳でフロアのヲタク達を射抜く貴方の素晴らしさ。初めてリリイベの握手会に参加した時「今日、楽しめた?」と聞いてきた日のことを思い出してみたり。

という事で主役のおとはすにおめでとうも言いたいし、ついでにアメドラの『ボーイズ』を観ているかも聴きたかった。奥津さんのキラキラした姿にも惹かれるし、ハルちゃんの髪型も超絶可愛かったけど気がつけばあんぬちゃんのチェキ列に並ぶのでした。

もちろん生脚もたっぷりと。【映画】『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』雑感。

清水義範の作品にタイムトラベルがビジネスになっている世界を題材にしたもの(タイトルは失念)があって、その中に未来からバブル時代の日本へツアーする場面がある。観光名所として案内されるのが六本木のディスコ「トゥーリア」の〝あの日〟で、主人公たちは目の前で起きる出来事を止める事も出来ず誰も救うことができない、そんなジレンマを描いていたという記憶。

という事で観てきました。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』予告 8月30日(金)公開 - YouTube

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基本的にどんな作品も事前情報なしに鑑賞可能であるべきだと思っているが、この作品に関してはシャロン・テートについての予備知識があった方が良い。というかそれがあるとないとでは終盤のカタルシスは全く違うものになる。基本的な情報だけで良い(事実わたしはwiki以上の情報を持っていない)ので、彼女に何が起こったのかだけは知った上で映画館に行かれる方を強くお勧めする。

わたしが持つ彼女のイメージは、やはりチャールズ・マンソンによる惨殺事件の事であって、それは言ってみればロマン・ポランスキーを語るための修辞のような位置づけだったと思う。

しかし、もちろん彼女にもイキイキとした生活があった。輝ける未来を夢見る青春があった。当たり前だ。誰も惨殺被害者になる為に生まれては来ない。今回のタランティーノの企みは惨殺被害者ではないシャロン・テートの姿を立ち上がらせる事にあったのだろうし、そしてそれは成功している。

彼女が自分の出演している『the Wrecking Crew』を劇場に観にいく場面にその全てが集約されている気がしてならない。まだ顔パスが通用するようなスターではない駆け出しの女優である彼女が、自分の出演場面をキラキラとした目で観ているシーンにわたしは泣きそうになった。彼女の瞳は未来を見つめている。観客の反応を気にしながら時にはにかみ、時にドヤ顔をするシャロンの可愛らしさ。マーゴット・ロビーのクールな美しさの中にあるキュートな部分が発揮されていて素晴らしい瞬間だった。その輝ける日々がやがて訪れる悲劇へのカウントダウンのようでもあり、変えられない過去を目の前にしながら無力な状態である事実に言いようのない感情が沸き起こる。彼女の過去はもう、決まっている事だ。われわれには救う事が出来ない。ああ、何という哀しさ!

一方で、リック・ダルトンレオナルド・ディカプリオ)とクリフ・ブース(ブラッド・ピット)のふたりの物語は楽しくも哀しい。ハリウッドという世界からこぼれ落ちそうになるリックの焦りと足掻きを貫禄たっぷりに演じるディカプリオは流石だった。特に西部劇の悪役をバタつきながらも演じ切る場面の圧倒的パワー、白眉でしたね。

クリフが牧場を訪ねる場面のスリルも素晴らしい。独特の不気味な空間に切り込むカウボーイ的大胆さと飄々としたやり取りはブラッド・ピットらしさが全開。と同時にこれが〝あの集団〟である事が示唆される事も含めてヒリヒリとした緊張感が来るべきエンディングを予見させる場面でもあった。

そうしてボンクラ達のワンスアゲインの物語とシャロン・テートの物語は交差するようで微妙なすれ違いをしていく。それが終盤のエンディングでとんでもない出会いをするというカタルシスは素晴らしいの一言。くっそ最高の救済。わたしは思わず拍手喝采したい気分だった。

映画ネタが満載のタランティーノ作品の中でも、これほど真っ正面から映画業界を描いた作品はなかったはずだ。そういう意味でも集大成感は確かにある。ダラダラと続く車の移動、画面に溢れる生脚、映画館、ドラック、三すくみ状態…などなどタランティーノ印が各所に刻まれながらそれらが嫌味なくバランスよく成立していたんじゃないかな。

3時間近くの上映時間は全く気になりません。いやむしろその長さこそが必要なのです。それでこそラストに最高のカタルシスがやって来る。

 

最後に雑感メモを。

とまあ、あげていけばキリがないのでこれくらいに。

さてサントラでも買うか。

はちみつレモンを飲みながら公衆電話で長話をしていたあの頃。8/29(木)眉村ちあき『セントゥーでアコギ弾トゥ語トゥ@小杉湯』雑感。

昔話をするつもりもないけど、一人暮らし始めた頃は当然のように風呂なしアパートで当然のように銭湯通いをしていた。当然のようにと言ったけど、そういうライフスタイルはその当時すでになくなりつつあったはずだ。夏の暑い日に入り口にある自動販売機ではちみつレモンを買ってよく飲んでいた思い出。

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という事で行ってきました。

『セントゥーでアコギ弾トゥ語トゥ』

わたしは小杉湯の存在を知らなかったが、歴史ある佇まいと新しい息吹のようなものが同居している様は、銭湯ニューウェーブ的位置付けなんでしょうか。過去にもフェスが催されたりしてたんですね。

去年の秋のYOUMACHIでの眉村さんを観に行けなかったので今回はぜひ体験したいLiveだった。わたしがゲット出来た脱衣所席からの眺めはこちらだが、f:id:mousoudance:20190830064823j:imageもちろん同じ場所にとどまっている人ではない。

メインの男湯席、壁を隔てた女湯の音漏れ席、そして脱衣所席とまさに縦横無尽に歩き回り踊り、そして歌っていた。彼女のライブに最前も後方もないのは当たり前で、どの位置にいようが楽しませようとする意思はこの夜も当然のように。

登場時に来ていたワンピースは割と早い段階で脱ぎ捨てられ、水着姿となる眉村さん。思いのほか水攻めは控えめで、一度ケロヨン洗面器に入れた水をヲタクにぶっかけていたくらいだ。(これで控えめと感じるのもどうかと思うけど)

Official髭男dismやBoAのカヴァーももちろん楽しいのだけれどこの夜に印象に残ったのはアコギバージョンの「奇跡・神の子・天才犬」だった。ボサノヴァ風にも思えるアレンジが沁みてくる。いや、カッコよかったですね。

f:id:mousoudance:20190830070709j:image※画像はイメージです。

あれはなんの曲だったかな、客の何人かに音を振り分けてビートを完成させようとした試みはグダり具合も含めて〝らしい〟空間でしたね。

f:id:mousoudance:20190830071515j:image確かこの時だったと思うけど、どこかから飛んできた風船。可愛らしいショットですが、ご本人は「こっちは集中してんだよーー!!!邪魔すんなーーーー!!」でした。

浴場という音場をどれだけ意識していたかは分からないけど、独特のエコーのせいもあってこの夜の「ビバカメ」はゴスペルでしたね。富士山の壁画が教会のフレスコ画のように見えてきましたよ。

そして不意に眼前に現れる眉村さんにアワアワする瞬間。

f:id:mousoudance:20190830072706j:image首をすくめる眉村さん。よく見る動き。
f:id:mousoudance:20190830072710j:imageこ、こんなところにホクロあったんすね…。
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あとですね、ツイン団子ですよ!最強ですな。終盤になって少しほつれてきてるところとか。

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高円寺という街が持つほのかなノスタルジー感。いや、住んでた訳でもなくそれほど訪れてる場所じゃないけど何故かそんな感情を抱かせる不思議な街。そんな事を考えながら、去りゆく夏の夜を惜しみつつ帰路につくわたしでした。