今は東京に住んでいるので、当然〝遠征〟という事になるのだが、やはり広島で好きなグループのライブがあるとなると「地元に来てくれた」という気持ちが強くなる。アップグレードチケットも入手出来て三列目という良い位置で観られたのも嬉しい。
KANONさんのアクシデントにより(開演前のメンバーによるアナウンスでもその事に触れていた)イレギュラーな形ではあったが、それもまたこの日にしか観られない貴重なライブであったと感じる。広島初日を観ていないので、何とも言えないけれど思ったよりは元気そうに(努めてそうしてくれているところもあるだろうけれど)見えたし、彼女の負担を出来る限り考慮した演出の試みにも、このグループに信頼をおきたい部分ではある。
という訳で、相変わらずセトリはわたしの脳からこぼれ落ちているけれど、とにかく楽しい2時間だった。コンディションが万全でないのに〝広島のAGファンに会いたかった〟というKANONさんの言葉通りに、4人がとにかく皆んなを楽しませようとしている事が伝わってきて、この日広島文化学園HBGホールに集まった人達が自然と笑顔になっている。初めてリーダーズを観た時のような、ファースコンタクトの衝撃(何か、凄いものを観た!)とは違う、成熟したエンタメに到達しているような感慨がある。ホーンセクションやアクションチーム、和太鼓といった演出も嫌味がない。それを変節と捉えるかどうかについては議論の余地があるかもしれないけれど、少なくともわたしにとっては、過去のリーダーズの歴史とシームレスに繋がっている姿に思えた。そこには頼もしさすらある。
そういった力強さ、或いはしなやかに自分たちの置かれている状況にアダプトしていく様に、わたしは感情を動かされる。4人の手や足や身体全体の動きには、単なる「凄い動きだなぁ」という感想以上の何か(あるいはそれをメッセージと言っても良いけれど)があるように思えて仕方ない。〝Tokyo Calling〟の鼓舞していくマーチング(わたしの目にはKANON さんとMIZYU さんの目も潤んでいたように見えた)や〝Essa Hoisa〟のグッと腰を落として大地を噛み締めるような動きに、自然と涙が出そうになる。そして〝Forever Sisters 〟がいつも以上に身体に染みてくるのは、何故だろう。
ホール内を縦横無尽に動き回るSUZUKAさんはここ最近、あらゆるライブ会場で見られているが、そこには演者と受け手であるわたし達の間に信頼関係がないと成り立たない。それはまさに最後のMCでSUZUKAさんが言っていた、「皆んなでひとつのチームなのだ」という言葉が体現された形のひとつだ。お手玉を二階へ投げ込んだMIZYU さんや、二階に投げ込もうとして失敗するRINさんも含めて。
〝迷えば尊し〟で大団円を迎えたライブは、地元で観たことも影響しているのか、とても暖かい空気に包まれたような気がする。アンコールでのMIZYU さんのどじょうすくいに思わず吹き出すSUZUKAさんも、また、良い。
ちなみに、「がんす」は、3大「実際に使われているのを聞いたことこない広島弁」のひとつです。ただし、練り物のがんすはとてつもなく美味い。