妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

「そうだそうだ、とラドンも言っています」【映画】『ゴジラxコング 新たなる帝国』雑感。

【最新映像】『ゴジラxコング 新たなる帝国』予告2<4月26日公開> - YouTube

ゴジラというものは、禍々しい存在として畏怖を与えるべきなのだ、という原理主義的な気持ちは、子供心に何となく肌感覚として持っていたような気がする。僕らのヒーロー、人類の味方ゴジラであるよりも、徹底的な邪悪さと破壊王としてのパワーで恐怖のどん底に陥れるような存在であって欲しいという願望があったのだと思う。ミニラが出てきたりシェーをしたりするゴジラは違うというのが当時の小学生であったわたしの気持ちだった。

f:id:mousoudance:20240428173805j:image

結論からいうと面白くない訳じゃない。いや、むしろ2時間充分楽しむ事はできた。しかし、何というか全体的に漂う〝コレジャナイ〟感によって、ゴジラ映画を観たなぁという気持ちにはなかなかならない。

物心ついた頃に触れたゴジラ、あの70年代の娯楽映画路線の雰囲気へのオマージュと言えない事もないけれど、元々あのノリを完全に受け入れていた訳でもないわたしにとっては、今ひとつカタルシスを得にくい作りだった。予告編を初めて観た時の不安感が拭えないまま時間が過ぎていった、というところ。

それでも、楽しいところもあった。コングとミニコングのコミュニケーションにおける顔芸だけで伝わってくる所とかやゴジラとコングの不思議なバディ感或いはモスラ姐さんの説得(説教)シーンとか好きなシーンは色々あった。さっきは東宝チャンピオンまつり的ノリはイマイチと言ったりしたけれど、何だかんだと楽しんでいる自分を発見したりする。ゴジラのバックドロップとかコロッセオで丸まる姿、とかね。

あとは、ゴジラ(そしてコングも)は〝ぼくらの味方〟的立ち位置とは思えないほどに人間を犠牲にしている。ローマでもスペインでもエジプトでも、多くの人間がゴジラのとてつもない破壊のパワーの前になす術もなくやられている。強調する訳でもなくアクションシーンの流れとしてではあるけれど、(おそらくは意図的に)そういう視点を入れてくるあたりはプラスポイントだった。人間ドラマの部分がクリシェの塊のようだったのも怪獣映画としては正しいのだろう。

だからトータルでは満足はしてるんだけど、やっぱりゴジラ映画としてのカタルシスがもう少し欲しかったというか…。モスラのビジュアルも工夫してるのは判るんだけど、ちょっとシュッとし過ぎててるのが、個人的にはノリ切れないところでしたね。どっちかというと蛾オーグみたいに思ってしまって。むしろ、そういうグロさを意図的に混ぜ込んでいるのかもしれない。

そして、わたしは序盤のゴアシーンで、子供の頃に観たキングコングが大蛇を引きちぎるシーンが怖くて仕方なかった記憶を呼び起こされたりもしたのです。