マジンガーZ対デビルマンで両者は対決していない。子供の頃はそれに何となく釈然としない気持ちがあって、「大人ってこっちを騙してくるよな」と思っていたりした。
『ゴジラvsコング』
しかし、今作では勿論ゴジラとコングは闘っている。その点で言えば両雄の見せ場をそれぞれ作りながらバランスの取れた仕上がりであったように思う。
前作の『KOM』にあった怪獣映画感が最高過ぎてそれと比較してしまうとちょっと物足りないところもあるし、芹澤博士の息子がこういう立ち回りをしてしまうのか?といった引っかかる点もあるけれど、でもまあアレの登場に見られるある種のバカバカしさみたいな要素には共感できるし、気がつけば満足して劇場を出ていた。
人間パートについては基本チームゴジラに肩入れしたくらいでそれほど何か目立ったものがあったとはいえない。ミリー・ボビー・ブラウン大きくなったなあ、とかありがちなギークの友人の存在が役に立つようで役に立ってないようで役に立ってる所とか小栗旬の白目とかそんなところが印象に残ったくらい。
キングコングと少女な絆のくだりもお決まりではあるけれど適度な味付けになっているし、「いやE.T.っすか?」という場面も微笑ましい。そういう意味で言えば〝HOME〟は〝故郷〟ではなくて〝オウチ〟っていう字幕をつけるべきなんじゃないだろうか。いや、冗談ではなくマジで。
前半はゴジラの扱いにやや不満もあって「おい、ゴジラ舐めるなよ?」とも思ったりもしてけれど、終盤のバトルシーンは両者に見せ場が作ってあって、というか逆にいえばこうするしかなかったろうなという展開ではある。まあどうしても「コングさんの現場、ちょっとお邪魔しますよ」という立ち位置になるのは仕方ないし、そんな中でもキチンとカタルシスは与えてくれたと思う。
不満を挙げるとすれば、KOMにあったような伊福部リスペクトのある音楽があれば最高だったんですけどね。
という事でゴジラさんの「まあ、今日はこのくらいにしといたるわ」感のある背中を見送りながらわたしはシン・ゴジラの出てきた国へと戻るのでした。