と、ちょっとメランコリな事を言いたくもなる夜でした。気がつけば半年振りの現場で、ライブ初見の曲もあったけれど、しかしあらゆる杞憂を吹き飛ばすような楽しさだった。そこには、フィロソフィーのダンスがいた。相変わらずセトリは脳みそからこぼれ落ちているけれども、何度も感情を揺さぶられる瞬間がある。特に『アイドル・フィロソフィー』には涙腺を刺激されて、終始鳥肌状態だった。あらゆる感情が積み重なっていて、ロジカルに言語化出来ないけれど、「今のフィロソフィーのダンスの現在地」がここなんだ、という確かなものを目の前で目撃している、そんな悦びを感じているのかも知れない。
確かに「不在」は頭から離れない。半年前、「もう、新体制や新メンバーという言葉はいらない。この5人がフィロのスなのだ!」と思った時とは少し様子は違っていて、今目の前にいるのは4人のフィロのスだ。だから、その事を踏まえて、いまグループのあり方をどう観れば良いのだろうという思いがなかったとは言わない。自分の中にある、ちょっとした戸惑いを否定はしない。しかし、その不在は「いずれ、必ず埋められるものなのだ」という意思表示がこの夜に感じられた。何度となく繰り返される〝「5人で」進んでいく、夢を掴む〟という言葉に、このグループの〝間違いのなさ〟を改めて認識した。
というような頭の中の色々は、実はライブ中には吹き飛んでいる。序盤から徐々にドライブをかけて盛り上がっていく前半。奥津さんのトロヴォイスと木葭さんの真っ直ぐな低音が化学反応を起こしていた「パレーシア」、その直後のハルちゃんとあんぬちゃんの楽しさが弾けている「ニュー・アタラクシア」も印象的だった。「ジャスト・メモリーズ」も相変わらずエグい。そして、今夜の「サンフラワー」はいつになく心に響いてきた。タイトルらしいパッと明るい曲だけれど、木葭さんが感情を抑えきれずに涙ぐんでいた姿を見た事も影響しているかも知れない。
こんなに何もかも違う私たちが
同じ夢追いかけてるなんて不思議だね
涙が出て下を向いてしまう
そんな日も前じゃなくて横なら向けた
君がずっと
そこにいたから
今夜はこの歌詞がグッと響いてきた。
奥津さんが言うように、「いつでも私たちはここにいる」し、ハルちゃんが言うように「10年間続けてきた意味」がきっと、ここにある。あんぬちゃんが言った「フィロのスを見つけてくれてありがとう」という言葉を噛み締めながら、木葭さんの「とてつもない光を浴びせるから覚悟しとけ」という宣言をわたし達は信じる。もしかしたら、ライブに行けるのはずっと先かも知れない。でもフィロソフィーのダンスの5人は必ず、そこにいる筈だ。雨なんて浴びてる場合じゃない。