MCUで何度も観てるから勘違いしそうになるけど、トム・ホランド版スパイダーマンは2作目のなんだよね。
ところで『エンドゲーム』観てない人はいませんよね?今作については出来る限りネタバレについては気をつけるつもりですが、『エンドゲーム』についてはネタバレしますので。
ということで観てきましたよ。
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』予告(6.28世界最速公開) - YouTube
今回も身の回りのアレやコレやといった問題に悩むピーター少年と世界を救う為にスーパーヒーローとして立ち振る舞う事が求められるスパイダーマンとの間を行ったり来たりしながや青春学園スーパーヒーロー的ロードムービーとして快作でした。
言うまでもなくピーター・パーカーとトニー・スタークは擬似親子という関係性で繋がっていて、それはお互いに失ってしまったモノの再生であり救済の形である。トニー・スタークが『エンドゲーム』においてアベンジャーズに復帰したのも間違いなくピーターの再生がモチベーションであって、だからこそその再会に胸を打たれる。
『ファー・フロム・ホーム』の世界はアイアンマン/トニー・スタークの不在から始まる。世界はアイアンマンを失った。
安っぽくてダサい追悼動画を高校生が作ってしまうくらいにポスト・アイアンマンを求めている、そんな世界だ。
そんな彼の周りに現れるのがニック・フューリーでありハッピーでありベック/ミステリオだ。彼らはそれぞれ保護者的な振る舞いでピーターに接する。ニック・フューリーは子どもを規律に沿って育てる厳格な家父長として、ベックは物分かりよく兄貴的として、そしてハッピーは時に優しく見守り時に支援の手を差し伸べる叔父さんとして。
特にハッピーとピーターは、お互いトニー・スタークを失った者同士、かけがえのない存在を想う者同士、とても良い関係性を築いている。終盤のある場面でAC/DCが流れるところなんて、思わず泣いてしまう。
アイアンマンの継承者になる事をピーター少年は考えてなくて、そんな事よりもMJに告白する計画の方が重要だ。そんなピーターがニック・フューリーに掻き回され、恋の行方にヤキモキするような学園青春モノの部分ももちろん楽しい。
MJのあからさまな恋の駆け引きも微笑ましく、ちょっとした目線や仕草で感情を表わすゼンデイヤちゃん、いちいち可愛くて困る。
ネッドは今回〝ある事情〟から「椅子の男」としての活躍は少ないが、学園ラブコメのキャラクターとしては大活躍だった。
ネッドやMJのみならず今作ではベディやフラッシュと言ったバイプレイヤー達も良い味をだしていた。ベディ(アンガーリー・ライス)ちゃん、可愛かったなぁ。優等生の恋って感じの場面もあって良いよね。
あとフラッシュ。彼も「指パッチン組」である事を考えると5年のズレによる生き辛さを感じているひとりのような気がして。ピーターにはネッドやMJがいるからまだ良いが、きっとフラッシュには他に友達いないんじゃないかな、なんて。
彼が動画にハマってるのは、もしかしたら孤独な自分を救済する為、あるいは承認欲求を満たす為の行動なのかな、というのはやや考え過ぎだろうけど。でも終盤のある台詞にはなんか暗い闇を抱えているようにも思えて、そう考えると単なるイジメ、イヤミキャラにはとどまらない憎めなさがある。
あ、そうそう。何はともあれマリア・ヒルさんのお姿が見られたのも嬉しかったですね。
あとBGMも相変わらず趣味が良くて、冒頭のホイットニーは半ばギャグだとしても、先述のAC/DCやラモーンズ、プラハのバーで流れるジャムやニック・フューリーが車内で流したスペシャルズなど個人的にツボ。
エンディングのゴーゴーズは80年代ポップが不思議と作品の空気にも合っていて良いエンドクレジットだったなぁ。
という事でこれからMCUも新しいフェーズにはいるのかな。スパイダーマンシリーズがそこから外れるとかどうとかいう話もあった気がするけどどうなのかな。いずれにせよ所謂「こいつらにまた会いたい」ってヤツでしたね。次回作も楽しみ。
最後に個人的ツボをネタバレ含みで。
・観覧車でのネッドとベディちゃん、良かったね。「キスしたいけど吐きそうなの」「ミ、ミントあるよ」
・終盤の闘いでピーターが即席の盾とハンマーを持ってきたとこ、燃えたよね!!
・ピーターがMJに告白しようとした場面でのちょしたすれ違いも甘酸っぱくて良かった。「ス、スパイダーマンかどうか確認したくて見てただけなんだからね!!」
・タロス、生きとったんかいワレ!!!