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お見送りする気持ちで。【映画】『ヴェノム:ザ・ラストダンス』雑感。

予告編→- YouTube

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正直、あまりノリ気ではなくて、それは前評判の悪さもあるけれど、マーベルの(正確にはSSUだけれど)インフレ的に拡がる世界観とキャラクターに食傷気味になっているのが大きい。ポストクレジットとか「いや…もう…ええで…」という感じで生温かい目で眺めていたりする。とはいえ、「これまで観てきたんだし、まあ、ラストというのなら最後くらいは見届けよう」という思いもあり、ようやく劇場へ向かった次第。

そういったハードルの低さもあったのか、結構楽しめましたよ。ジュノー・テンプルのクセのある存在感も嫌いじゃないし、リス・エヴァンス率いる一家のくだりも好きだ。(「Space Oddity 」を歌うとこ、特にカウントダウンの再現のあたり、とか。)もちろん、ストーリーには穴があるし、キャラクターの感情の変化の理由がぼんやりとしていたりという部分もある。それでも、なんだかんだと赦しと救済の物語(手垢のついた語り口だったとはいえ) に落とし込んでいく展開にはストレートにグッときてしまったし、そういう意味ではよく出来ていたんじゃないかな、と。出来る事なら一作目のルーベン・フライシャーが2作目3作目と続投していれば、また、違ったのだろうなとも思うけれど、いずれにせよSSUからは少し距離を置いている立場からすると、ヴェノムシリーズを静かに看取るという意味では、相応しかったのではとも思う。ヴェノムとエディを穏やかな気持ちでお見送出来て、それはつまり「ああ、またアイツらに会いたい!!」という強い思いが生まれなかった証でもあるけれど、でもそれで良かったんじゃないか、と思っている。

研究者クリスマスの履き替えるスニーカーのショットとか「お、これは後ほどの展開の伏線だな」という感じなのに結局特に何の回収もされず、というような部分やチェンさんの取ってつけたような登場の仕方など気になる所もある。それくらいならまだ良いけれど、明らかな悪人ではない人を殺めてしまった事に対するエディの気持ちの葛藤があっさりと消化されていたのにはモヤモヤもする。あとクリスマスが何故あの行動をとったのか、その動機がよくわからない、とか…。そういう欠点は多いにあるけれど、それでもやはりわたしは満足した気持ちで劇場を後にしていた。それは、きっと先に述べたように、ヴェノムの終焉を静かに受け入れる事が出来たからだと思う。

そんな事よりも前々から不満に思っている事を。109シネマズ川崎のスクリーン7はIMAXレーザーの設備のある貴重な劇場なんだけれど、フルサイズになった時に最前列の椅子が(人が座ってない状態で)スクリーンの下部に被っている仕様なのを、早急にどうにかして欲しい。中段のいちばん観やすい位置(例えばエグゼクティブシートあたり)で、そういう事態が発生するのは如何なものか。それがあるから、わたしはドルビーシネマやもっと遠くのIMAXレーザーのある劇場まで足を運ぶハメになる。『ヴェノム』には全く関係ないけれど。