妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

全員生還せよ。【映画】『トップガン マーヴェリック』雑感。

80年代のわたしは彼のことを過小評価していて、『トップガン』や『カクテル』が公開されていた頃は(その余りのメガヒットが故に)劇場へ行くこともなかった。しかし、90年代以降のトム•クルーズをみれば、彼が今、信頼出来る映画人のひとりである事は疑いようがない。

トップガン マーヴェリック』

映画『トップガン マーヴェリック』ファイナル予告 - YouTube

f:id:mousoudance:20220528141726j:image

いや、最高でした!!!!!

36年振りの続編に当初はネガティブな印象を抱いていたけれど、そんな不安も吹き飛ばす仕上がり。

前作への目配せも充分で、尚かつ、それが単なる焼き直しやパロディに感じないのは、やはりリスペクトがあるからだろう。導入でニクイほど前作ファンの心をグッと掴むのも上手かったし、「あのキャラクターのその後」的な描写も絶妙なバランスだった。下手すると単なる懐かしの同窓会になってしまう危険性もあったけれど、それも杞憂だった。

サントラの使い方も上手い。今回新たに参加となったハンス•ジマーのスコアが「いかにもハンス•ジマーだなぁ」という感じなのだけれど、それがまた良い。ハンス•ジマー信者としては、そのパワーには抗えず、思わず落涙しそうになった。

そして端々に現れる〝空を飛ぶ乗り物についての映画〟へのオマージュ。或いは〝あの場所へいるはずなのに、いられない者〟への視点。嗚呼…!最高っすね!!!!

当然トムも年齢を重ねていて、顔には皺も刻まれている訳だけれど、そういった時間の経過が感じられるからこそ感情を揺さぶられるシーンが多い。人生の様々を経て人間として熟成(成熟ではない)された大人と若者との関係性にグッと来てしまう。もちろんわたしにマーヴェリックのような波乱や刺激に満ちた経験はないけれど、人生の折り返し地点を過ぎた現在の居場所から見た若者への眼差し、そこにある慈しみに涙腺を刺激される。

そして、多少クリシェに沿っている部分はあるけれど、しっかりと赦しと救済の物語になっているのも個人的にはポイント高い。自己犠牲をやたらとカタルシスへ昇華しないのも良かった。それこそまさに今作がアップデートされている部分じゃないだろうか。

マーヴェリックが困難なミッションへ挑む若いパイロット達へ望むことを述べたあの台詞。それは綺麗事やご都合主義なんかではなく、いわば今のわたし達にとっての先優先事項であるし、また人生を生きてきた先達が次世代を導く責務として伝えるべきメッセージであるように思えた。そして、それはアクション映画をドラスティックに更新しているトムから発せられるからこそ、わたしの全身に響いてくるのかもしれない。

(以下ネタバレを)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な所で指摘されているように、序盤のマッハ10への挑戦における「ライトスタッフ」、ミッションのシーンにおける「スターウォーズ」、そして敵地から戦闘機を奪う場面の「ファイヤーフォックス」といった過去のマスターピースへのオマージュがあって、これもまた上手い。特にデス•スター攻撃にしか思えないミッションの場面では戦闘機の姿が段々とXウイングに見えてきたし、ドッグファイトのシーンで追いかけてくる敵機は(黒ずくめのパイロット含めて)タイファイターにしか見えなくなってくるから不思議だ。そういう視点で見ると、あの雪山は惑星ホスにも見えてくるし、対空砲もどことなくATATに見えたり…は、しないですね。

つまり何が言いたいかというと、ジョセフ•コシンスキーにスターウォーズ撮らせるべきだったんじゃないか、という事です。