妄想徒然ダイアリー

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【映画】人生を取り戻せるか。2023年個人的映画10選。

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相変わらず見落としている作品が多い。主なところでは「べいびーわるきゅーれ2ベイビー」「アフター・サン」「TAR」「ザ・キラー」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「ナポレオン」あたりは未見。

という事でとりあえず10本を。(鑑賞順)

今年もMCUの作品は何作か観たけれど、やはりフェーズ3以降の失速感は否めない。そんな中でガーディアンズ…』は〝そうであったかもしれない人生〟と過去を清算することによる赦しと救済があって良い作品だった。『ヴァチカンのエクソシスト『ヒンターラントも主人公が何らかの贖罪を背負っていて、それは簡単には洗い流せるようなものではないけれど、その上で新たな人生を獲得していく。『ヒンターラント』の主人公同様にゴジラ-1.0』の主人公もまた〝終わらない戦後〟に取り憑かれていて、そういったオブセッションをどのように振り解いていくかに焦点のひとつがあった。80年代テイスト満載の『エア』もアフレック・デイモン印の安定感は当然として、画面のルックやMTV的アプローチなど何気に凝ったことをしているな、という印象とギリギリなところで人生の輝きのチャンスを掴むというカタルシスがあったし、人生の組み直しという事で言えば、『バーナデット』もそうだった。そしてここにも贖罪や赦しと救済の徴があるわけですね。一方で『イニシェリン島の精霊』には、易々と赦しも救済も訪れるとは限らないという理不尽さがあって、それもまた人生の一部なのかもしれないと感じたし、『ノースマン』ではそういった理不尽さを原動力として復讐という形で人生を取り戻す力強さに圧倒されたりもした。羅生門的アプローチによって、描かれる人物像が見る角度によって変わっていくという共通項のある『怪物』『市子』。それぞれ演者のパフォーマンスが極めて高く、解釈に奥行きのあるエンディングも含めて2023年の中で印象深い作品となった。いずれの作品においても、登場人物たちは人生を取り戻す為に行動している。それが必ずしもハッピーな結果を産むとは限らないけれど、そこにあるサムシングに心を動かされた一年だったのかもしれない。