妄想徒然ダイアリー

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うちの子に限って…。【映画】『サーチ』

地方都市を舞台にしたドラマや映画は、その都市の特性を強く反映させているケースが多いが、例えば東京ラブストーリーのようなドラマが仙台や広島を舞台に繰り広げられても良い訳で。

という事で

『サーチ』

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予告編はこちら。

https://youtu.be/75D75RG6csA

 

ここでの主人公はデビッド・キム(ジョン・チョー)、名前から判るように韓国系アメリカ人だ。しかし、そのルーツはストーリーとは直接の関係はない。韓国系あるいはアジア系である事は特に大きな意味はなくて、とてもフラットに、何のエクスキューズもなく「ただ、そうである」だけだ。その事がとても好ましく思えた。同時期に話題となっている(わたしは未見)『クレイジー・リッチ』同様、ハリウッドの傾向に対するアンチテーゼとして捉えられる向きもありそうだが、そういった思惑ともまた一定の距離を持っているように感じる。

あくまで失踪した娘とその父親の物語をサスペンスやミステリ要素たっぷりにテンポよく描いている良作、というのがフェアだろう。

もうひとつ、この作品の特徴とされているのが「PC画面のみによって」描かれているという点。これもなかなか上手く出来ていた。「なるほど、こう来たか!」と感心するところもあれば、正直ちょっとここは反則かな?というところもある。しかしこのPC(とスマホ)の画面のみで…というのはあくまで表現としての手段であって目的ではない。SNSやネット社会のカリカルチャア的な意味合いとしてそれは成功しているし、小さな瑕疵(というか裏ワザ)の部分を指摘するのはあまり賢いとは言えない。

冒頭から「あぁ…これアレがアレな訳だな」という予想は、実は割と外れてはおらず、まあこんなもんだよな…と思ったところからの怒涛の展開はなかなかの見モノ。PC画面の表現だけで、あれだけのドライブ感を出してくるのには意表を突かれた。

脇役でよく見る顔だったジョン・チョーも熱演だったが、わたしは娘マーゴット役のミシェル・ラーちゃんがある場面で見せた取り繕った笑顔と諦めと哀しさを一瞬で表現した場面に圧倒された。この場面は映画の中でも父親が何度もリプレイしていたことからも、監督も実はかなり気に入っているんじゃないかと睨んでいる。あの表情を観るだけでも価値あると思います。

あ。そうそう。刑事役の人、ウィル&グレイスのグレイスなんだってね!懐かしい!