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あなたはもうマリアじゃない。【映画】『ターミネーター:ニュー・フェイト』雑感。

サザエさんのお隣が作家のイササカ先生なのか画家のハマ先生なのかの違いは時代の変遷なのか、それとも二つの世界線が存在するという事なのか。などという事はそんなに真剣に考えているわけではない。

という事で観てきました。

ターミネーター:ニュー・フェイト』

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予告編→YouTube

無印版とT2のプロットや展開の焼き直しと言われれば確かにその通りではあるが、しかしわたしは観ていくうちに心をグイグイと掴まれていくのがわかった。おそらくはこの作品が、繰り返されるコナー親子を巡る物語の呪縛を一度解きほぐし、そして新たに組み直すような作りだからではないかと思っている。

細かく見ればストーリー展開に粗があるかもしれないが、しかしわたしはサラ・コナーの存在を一旦無効化するような今回の設定を肯定したい。T2で描かれたコナー親子による〝未来を変えた活躍〟は、それが成功したことによってそのヒロイックな要素が世界に理解されないというある種のパラドックスを孕んでいる。スカイネットが存在しない世界では、サラ・コナーの言動が現実世界の中では狂気としか見られない、そんな哀しさ。

そういった狂気や闇を背負ったサラをある意味救い出すのが今作の設定にはあるように思えて仕方がない。それは年老いたT-800にも言える事だ。

サーガの中で繰り返されるコナー親子とスカイネットの追いかけっこをチャラにした事である種の反発を生んでいるようだが、しかしわたしは今作が過去作(無印やT2)の設定をないがしろにしているようには思えなかった。むしろ過去のあれやこれやがあってこその今、だ。ドヤ顔で「私が…サラ・コナーよ」と言った時のグレースのキョトンとした表情こそこの作品の肝ではなかろうか。それはある意味でコナー親子の過去が正しかったことの証明でもあり、と同時に人類にとっては避けられない運命(dark fate )がはっきりと存在しているという残酷さの現れでもある。

今回のターゲット(であり護られる人)であるダニーが無印サラ・コナーの設定に沿うようになっていながら、そこに一捻り加えてあるのも個人的にはかなりグッときたポイントだ。別にジェンダーの話をするつもりもないが、「あ。そうか、そりゃそうだよな」という爽快さがあった。あの時のサラ・コナーの表情がまた良い。こういった端々に見られるコナー親子の過去を解体し再度意味づけしていく描写が個人的には気に入っている。

とまあ、ゴチャゴチャ言ってますが、つまりは最高でしたよ!!完成度が高いかどうかは知らない。いや多分高くない。でも最高だった。楽しいし、終わった時わたしは拍手したい気持ちだったよ。誰もしないから音ならないように膝叩いてたけど。

最後にメモを。

  • グレース役のマッケンジー・デイヴィス、最高でしたね!一番のお気に入りは走る列車のコンテナの屋根で仁王立ちしているところ。
  • ターミネーター着地、やっぱ良いよね。
  • 大型トラックで追いかけてくる敵という伝統。無表情な運転。
  • エドワード・ファーロング、出てたよ。確かに出てたけど…。
  • 結論:主要キャラクターが片腕を失う映画にハズレなし。