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僕をドゥカティに乗せてって。【映画】『マトリックス レザレクション』雑感。

マトリックス レザレクション』

映画『マトリックス レザレクションズ』本予告 2021年12月17日(金)公開 - YouTube

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正直、「今更ねぇ…」という気持ちも強く、期待のハードルは高くない状態で臨んだんですが…いや、最高じゃないですか!

もちろん気になるところが全くないパーフェクトな作品ではないし、序盤の〝マトリックスポストモダン的展開〟にやや白け気味にならないでもなかったのも事実。

それでも20年間という時間経過(がもたらすある種のノスタルジー)と永遠に続く物語(フィクションこそが重要なポイントであるという宣言)とが絡み合うことで産み出されるカタルシスには、何度か震えてしまったし、終盤に至ってはわたしは心の中で拍手喝采を送っていた。

モーフィアスとエージェント・スミスがオリジナルキャストではなかった事については残念ではあるけれど、それも上手く処理されていたと思うし、その事でネオとトリニティとの物語が補強されるという効果もあった。キアヌもキャリー=アン・モスも20年分年輪を重ねている。挿入される過去作の映像を目の当たりにすると、もちろんその眩いような若さと現在を比較をしてしまうけれど、しかしそこでわたし達が出会うのは「時の経つ事の残酷さ」ではなく、綿々と続く物語の存在の力強さだ。そういった要素は徐々にわたしの感情のヒダの部分を刺激していき、終盤クライマックスでのアツいセリフと展開には泣きそうになるくらいだった。

トーマス・アンダーソンがネオに戻っていく過程にもワクワクはする。しかし、今作はやはりトリニティの物語だ。ネオよりもトリニティのレザレクション=復活に重点が置かれているのは、ウォシャウスキー兄弟がウォシャウスキー姉妹になった事と無関係ではないだろうけれど、それに加えて年齢を重ねていく俳優の価値の見直し/アップデートを織り込んでいるという方が正しい気がする。

バレットタイムはもちろん楽しいし、過剰に放たれる薬莢やアクションも良いが、結局はドゥカティを華麗に走らせるトリニティこそが一番カッコ良かった。そのことがこの作品にとって幸福であったかは分からない。