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わたしの名前を言ってみろ。【映画】『ソー:ラブ&サンダー』雑感。

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クリス・ヘムズワース主演!マーベル映画『ソー:ラブ&サンダー』本予告 - YouTube

前作「バトルロイヤル」のライトなコメディノリは割と好きで、今回もそういうノリに身体を委ねようというスタンスで臨んだ。結果としてそれは正解だったし、と同時に終盤普通にグッときたりなんかして、2時間楽しみました。脚本や展開に隙がないとは言えないし、「ん??」と思う箇所のないではなかったけれど、そもそもそこまで精緻な組立が求められているような作品でもないだろう。

ヤギ、アスガルド劇団、ストームブレイカーとムジョルニアとの三角関係といったネタ部分は好きなタイプのコメディ要素。タイカ•ワイティティのセンスだろうか、過剰になるギリギリなところをすり抜けていくギャグなところも好印象だった。個人的にはヤギのくだりはもっとしつこいのもアリと思っていて終盤で更なる思いもやらぬ活躍をするような展開があっても良かったかな、も。

一方で物語の軸であるゴアの復讐の部分は、やはりクリスチャン•ベールの存在感もあってどこか気品を感じるほどだった。出番はそれほど多くなくてほぼ序盤と終盤に集中していたけれど、そこだけでストーリーが成立していて(割とありがちな展開ではあったけれど)ちょっと感情のコックが緩んでしまったりした。

もうひとつ、ジェーンの物語。ジェーンがムジョルニアを手にしている経緯も比較的サラリと処理していたのが良かった。そういう部分に(必要以上にロジカルさを求めて)時間を割くのも-それが必要な場合もあるけれど-今作においては簡潔な説明で充分だった気がする。ジェーンがマイティ•ソーとして生き生きとして活動している姿にはワクワクするが、それはある犠牲によって成立している事をわたし達は知らされている。ジェーンはその事にある種の矜持•プライドを持っていて、それ故に〝大いなるパワーには大いなる責任が伴う〟という宿命に従うような行動にはカタルシスがあった。

そしてジェーンの物語とゴアの物語が交差し、ソーの未来へと関与する展開は、やや強引ではあったけれどストンと腑に落ちるもので、タイトル回収も小気味良く、結果として気持ちよく劇場を後にする事が出来た。