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the throne of the thorn 茨の王座に座るのは誰か。1/28&29 BABYMETAL 『BABYMETAL RETURNS THE OTHER ONE 』幕張メッセ 雑感。

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徐々に以前のLIVE形態が戻りつつある。アナウンスを読むとふと、いつかのあ〜ちゃんの言葉を思い出してみたり。

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モッシュピットも久しぶりだし、サークルモッシュも最初は何となく探り探りの感じがあったけれど、とにかくあの頃のLIVEが戻ってきたという喜びがある。2時間近く立ちっぱなしで開演を待つというのもいつ以来だろうか。

初日は超モッシュのFブロック、2日目はEブロック。いずれも整理番号は600番台付近だったが、比較的前方に位置取る事ができた。初日は、東西の両端にステージがありそれを繋ぐように花道が伸びている構造を見ても果たして今向いている方向が前なのかどうかはよく分からなかった。Fブロック側のステージには大きなキツネの顔が配置されたセットがあって、何となくここから登場するんだろうな、という予感があって、事実そうだった。

いや、このオープニングが素晴らしかった。神々しさを纏って現れるSU-METAL。そして反対側からゆっくりと進んでいくMOAMETAL。嗚呼!BABYMETALが戻ってきた!そして歓声!そうだよ、ライブってこうだったよね!サポートメンバーは百々子メタル。気がつけば彼女がサポートしているパターンが多くなっているのではないだろうか。

「METAL KINGDOM」の神々しさは復活の儀式に相応しく、まさにreturnsというコンセプトに合っていた。FOX GATEから出てくるSU-METALはオーラをまとっていて、ゆっくりと進んでいく彼女の姿とそれを迎えるように反対側から歩みを進めるMOAMETALの姿とフロアから上がる歓声だけで、このライブに参加して良かったとつくづく感じる。

続く「Divine Attack」も良かったけど、その一方で「あれ?このまま新曲ばかりの10曲が続くのだろうか」という懸念(と敢えて言ってしまうけれど)があったけれど、結果としては新曲と定番曲がバランス良く配置されたセトリだったと思う。

個人的に「PA PA YA!!」は祝祭の為の音楽だと思っていて、少し高い位置にあるステージは神輿のようでもありBABYMETALは祈りを捧げる神事に携わる神職の人であるように感じている。脳汁を分泌しながら〝踊って騒いで〟いるわたし達は、同時にこの世の厄災を祓う役割の一旦を担っていた、というのは勿論言い過ぎだけれども。でも、そうは言ってもどことなく以前のライブスタイルへの若干の戸惑いというかちょっとしたぎこちなさが(少なくとも初日のわたしには)あって、それはこの曲から一気に解放/開放されたんだと思っている。「ギミチョコ」や「メギツネ」で声を上げて踊りまくる日が来るとはちょっと前までは想像してもいなかった事だ。

マーベルオマージュの紙芝居による〝マルチバース〟というコンセプトから始まった「ドキモ」もなかなかに趣深いものだった。初日には判別つかなかった〝もうひとつのベビメタ 〟の3人は戸高美湖さんと木村咲愛さん(もうひとりはわからない)だったという情報を目にして、なるほどこれは重音部が継承されたというもうひとつの世界線なのか、という事に気づく。2日目によく見てみると、なるほど戸高美湖さんがセンターにいるようだ。広島の遺伝子継承と強引にストーリー性を持ち出そうとするのは悪い癖だけれど、消えてしまったさくら学院の事も含めて、色々と考えてしまう。

終盤に配置された「Light &Darkness」✳︎1や「monochrome」では新たなBABYMETALのスタイルが提示された気がする。打ち込みのようなトラックとどことなくPerfumeを思わせるような振り付け或いはSU-METALに促されてスマホのライトを点灯する流れなどは、これまでとは少し趣きが変化しているような印象だった。

そういった新たな動きとド定番の配置はパッケージとして正確だったと思う。終盤の「ヘドバン」「イジメ」「ROR」の流れなどは一方間違えれば〝もうお腹いっぱい〟と言いたくなるくらいの濃密さであったが、BABYMETALがリターンしてきたのと同時にわたし達にとってもリハビリが必要だったのだ。かつてのLIVEへの参戦スタイル、即ち声出しやサークルモッシュをわたし達が思い出す時間が必要だったのだろう。

これは個人的印象だけど、やはり初日のドゲバン✳︎2やサークルモッシュについては戸惑い・躊躇というものがあったように思う。なんとなく「え?やって…いいんですよね??」という空気が少なからずあった。それが2日目にはかなり解消されていて、わたし達の身体の中にあったメモリーが少しづつ戻ってきた感覚があった。

両日のセトリは寸分違わず一瞬だった。初日は所々音ズレがあったけれど、2日目には修正されていた。SU-METALの歌声を浴びるだけで身体の中にある澱のようなものが浄化されている気がする。心地よい疲労感とともに満足しているわたし達の前に新たなメッセージが届けられる。

ラストでステージに置かれたcoffin(柩)に戻っていくSU-METALとMOAMETAL。それは両日とも一緒だった。しかし、初日は2つだったcoffin(柩)は3つに増えている。そして真ん中に現れる新たな人影。後ろ姿でそれが誰であるかは全くわからない。そして暗転とともに終了した。ホールにざわめきを残して。

色んな事を予想する人がいた。現実的な予想からほぼあり得ないであろう夢のような予想(というよりも期待或いは夢)復活劇を期待する人が思いの外に多い事に驚いたりもしたけれど、そういう想いを嗤い飛ばすことは、出来ない。分かってはいても、ほんの僅かな可能性に思いを馳せているのはわたしも一緒だった。後ろ姿が誰かも判らないし、あそこに立っていた人が新メンバーとは限らない。そもそも3人目の正式メンバーが加入するとは、一言も宣言されていない。

とはいえ。

FOX GATE の前に並んで3つの王座。その空席にはやはり誰かが座るのだろう。それが、誰であってもわたしは受け入れる準備がある。それがキツネ様のお告げである限り。

 

✳︎1 打ち込み曲のように思っていたこの曲だが、青山神が実際にドラム叩いている姿に鳥肌が立った。あと2日目で曲前で暗転している中、SU-METALが「落ち着いていこう」というジェスチャー(仙道の〝慌てるような時間じゃない〟的な)で2人に声をかけている姿が見えた気がする。

✳︎2 初日は周りでも土下座する雰囲気がなかったけれど、後ろの人が始めたのでわたしも意を決してドゲバンした。前方は人垣になっていて、ステージはほとんど見えなかったけれど、それでも続けていくうちにトランス状態になる。そして、移動ステージが目前に来た時に突然パァァッと視界が拡がり煽っているMOAMETALの姿が現れた。上手くいえないけれど、とてもハッピーな瞬間だった。