妄想徒然ダイアリー

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シン・BABYMETALの答えはきっとココにある。『4/1(土)BABYMETAL BEGINS THE OTHER ONE』@ぴあアリーナMM雑感。

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電車内でもマスクを着けてない人も段々と増えてきて、〝かつての日常の風景〟が戻りつつある。ベビメタのLIVEでも、幕張からモッシュッシュピットも復活し、声出しやサークルモッシュも出来るようになった。しかし、だからと言って全てが元通りになる訳ではない。かつてのあの日々は戻ってこない。だからこそ貴重で尊い時間を過ごしてきた、と改めて噛み締めている。

あの日の広島から〝喪失〟を抱えながらも、わたしはBABYMETALを見つめてきていた。過去と比べてアレが良かったコレが良かったと言うつもりもなくて、いまそこにあるBABYMETALを受け止めていた。SU-METALとMOAMETALの覚悟や矜持を目の前にした時、そうする事しかわたしには出来ないし、事実その時その時のBABYMETALを楽しんできた。それは今も、これからも同じだ。

本気なのか冗談なのかネット上やSNSでは、サプライズ的な復活劇を期待する声もあった。もちろん、わたしはそれを信じてもいないし、そんな事があり得ない事も判っているが、だからと言ってそういった言説を笑い飛ばす事も出来なかった。あり得ない、そんなストーリーの僅かな可能性を心のどこかに仕舞い込んでいたからだろう。

LIVEは「THE LEGEND 」から始まった。中央の丸いステージに現れたのはSU-METALと MOAMETALの2人だ。アルバムのラストに配置されたこの曲は、「THE ONE」と印象も近く何となくLIVEのエンディングになるんだろうなぁ、とボンヤリ思っていた。しかし、冒頭にこの曲を持ってきた事で、今回のコンセプトである「終焉と再生」の意味合いが強調された気がする。

とか思ってるといきなり「メギツネ」「ギミチョコ」でアッパーな空間になるから困る。いや、困ってはいないんだけれど、ほんのちょっとだけ感情のギアを入れるタイミングに手間取った感がある。コンマ1秒後にはソレソレソレソレとやって盛り上がってるんですけど。(あと関係ないけど今回のピットは細かく区分されてひとつひとつのスペースが小さかった気がする。サークルモッシュッシュもこじんまりとしていて少し迫力不足だった感じ。)

セトリは新譜からと既存曲からで半々。新譜曲はまだ聴き込んでいないけれど、やはり音源とLIVEでは印象がかなり違う。個人的には『Time Wave』がかなり良かった。好きな曲ではあるもののアルバムでは少しポップに寄っているかな、と感じていたが、LIVEだと音の圧が違うし踊る3人の姿を観る事で身体に響くモノが違う。やはりLIVEは大事ですね。

そしてやはりこの日の白眉は『KARATE 』だろう。幕張に続いて多元宇宙からやって来たさくら学園重音部(と言う事で良いんですよね)が登場。戸高美湖さんの歌声が会場内に響き渡る。勝手にストーリーを押し付けるのも如何なものか、と思うけどさくら学園そしてアクターズスクール広島の系譜という事を考えてしまう。もしかしたらそうであったかもしれない可能性。

それを受けて〝本家〟BABYMETALが軽やかにそして力強いパフォーマンスを魅せる。そして何よりもモニターに映された映像がわたしの琴線を刺激する。

この曲の中盤で3人が床に倒れるシークエンス。ステージ後ろのモニターにはかつてのLIVEでのシーンが繰り広げられている。そこにはもちろんYUIMETALの姿もあった。

まだまだセイヤソイヤ戦うんだ

悲しくなって 立ち上がれなくなっても

倒れ立ち上がれないメンバーを救い上げるSU-METALの姿。何度も何度も何度もその場面が繰り返される。わたしは拳を振り上げながら感情が高まっていた。その映像はBABYMETALの変遷、これまでの歩みそのものでもあった。そして、はっきりと明確にYUIMETALへのお別れの時間である事を認識した。

もちろん、彼女はBABYMETALからとっくの昔に決別している。あの頃の彼女の決断を思えば、華々しい復活劇などあり得ない話だ。それでも、わたし達のどこかに〝そうなるかもしれない未来〟があるのではないか、と思う気持ちがあったように思う。

それは彼女に別れを言う空間がなかったからだ。Chozen 7やアベンジャーズなどの体制はあったがLIVEの中でYUIMETALについて言及された事はなかったはずだ。あの映像は、わたしには(その表現が相応しいかは判らないけれど)YUIMETALとのお別れの儀式のように感じられた。少なくとも、かつてのBABYMETALがレジェンドになった事を(オフィシャルに)宣言したのが、この夜だった。

新体制についてのアナウンスは終盤まで特になかった。もしかしたら「続きはまた明日」という展開かな、とも思っていたら目の前で3人が磔になっている。うなだれている3人だったけど、終焉からの再生、という感じでカッと目を見開くSU-METALとMOAMETAL。そして百々子メタル(仮)も同じようにこちらを見つめている。

そしてラストの『IDZ』には気のせいかどことなく清々しさのようなものを感じた。幕張とどこがどう違うと指摘する事は出来ないけれど、喪失からの再生というイメージをまとっているように見えた。「ういーあーBABYMETAL!」とコールをして、SU-METALが銅鑼を鳴らす様子は何度か見てきたが、そのあとじゃれ合う様子が少しだけこれまでより違っているように感じてる。

そして。最後に新体制についてのアナウンスがなされる。dance & screamとしてMOMOMETALの名前がスクリーンに映し出された瞬間に予想以上にグッと来ている自分を発見していた。ある程度予想はされており、既定路線には違いないけれどそれでもこれまでアベンジャーズのひとりとして貢献してきたMOMOMETALへの思いもあるし、シン・BABYMETALとして体制が整った事への気持ちもある。いずれにせよ、わたしは「これで良かった」と思っている。

今回は1日目のBLACK NIGHT のみの参戦なので、2日目のCLEAR NIGHT でどのような展開があるかは判らない。しかしそのスタートは新たなBABYMETAL DEATH で始まっても良いのではないかと思っている。そうする事でシン・BABYMETALが誕生する筈だ。