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それもあなたらしいと、今は想うのです。【映画】『コカイン・ベア』雑感。

【9.29(金)全国公開】映画『コカイン・ベア』本予告 - YouTube

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直前に予告編を観て鑑賞を決めた作品。アメリカ映画らしいドラッグの取り扱いが突き抜けたコメディであり、恐怖映画であり家族の物語でもある。予想外にゴアシーンもあったりしたけれど、それも含めてポップコーン片手に100分弱を楽しむことができた。

もちろんパーフェクトではないし、粗がない訳ではないけれど、個人的には好きな部類に入る。どこか懐かしいような80年代後半から90年代の肌触りも好きだ。

子供と母親組、ドラッグディーラー組、警察組、森林警備隊組、チンピラ3人組、そして熊。それぞれのエピソードが(緻密ではないけれど)バランスよく構成されている。あらゆる場面で発生するトライアングル状態もタランティーノ的というかコーエン風というか〝90年代頃、こういう映画あったなぁ〟という印象も含めて個人的にはポイントをあげたい。

子役ふたり(しかし、児童虐待にはうるさいイメージの国だけど、フィクションとはいえ子供にコカイン喰らわせるあたりドラッグに対する倫理観の基準が違うんですね)も良かったし、母親(ケリー・ラッセル)もコメディとシリアスの狭間を上手く渡り歩くような演技が好印象。エディ(『ハン・ソロ』だったことには全く気がつかなかった)とダヴィード(オシュア・ジャクソン・Jr.…アイス・キューブ譲りの厳つさとキュートさが混在する佇まいが良い)のコンビも徐々に関係性が変化していくあたりも上手く描写されていた。

その他、キャスト陣は皆印象に残る活躍だったけれど、やはりこの人。レイ・リオッタでしょう。画面に映るだけで不穏なオーラに包まれるその存在感。数々の作品で素晴らしいアクトをみせてきた彼のキャリアの中でも個人的にはハンニバル』の〝あの役〟が強いインパクトを残している。静かに(その瞳だけで)狂気を表現できる稀有な役者であって、その不在は映画界にとって大きな損失だ。そんな彼の遺作がコレで良いのだろうか?と思ったりもしたけれど、今作で彼が演じたシド・ホワイトの行く末を見届けた今では、それもまた彼らしいと想う事にするのです。