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猫の手も借りたい。【映画】『マーベルズ』雑感。

「マーベルズ」ファイナル予告 - YouTube

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どうしてもフェーズ4以降になると、大風呂敷感の方が粒立っているように思えて、インフレ気味に乱発されるMCU作品群を半ば義務的に観続けている実態。もちろん楽しめた作品も沢山あって、例えばスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のあの場面で劇場内でどよめく瞬間といった得難い体験もあったりしたけれど、全体的には食傷気味になっているのが正直なところ。ここまで世界観が拡がってくるとスピンオフ的なドラマを観る余裕も無くなり、『ロキ』の2ndシーズンや『ミズ・マーベル』も追い切れていない。

そんな訳で、それ程大きな期待もせず劇場に向かった次第だったけれど、結果としては充分楽しめました。ストーリーもこじんまり(世界の危機とはいえ、描かれるのは登場人物の限られた半径の範囲内)しているし、赦しと救済の要素が生み出すカタルシスもある。上映時間が100分程度なのも良い。今回はキャプテン・マーベルというよりはキャロル・ダンバースとしての振る舞いが多く(コスチュームを着ていない場面が目立ち、ごく普通のカジュアルな格好の方が多い印象)それはそれとして新鮮でもあったし、だからこそという訳でもないのだけれどクライマックスで見せるキャプテン・マーベルの颯爽として威厳のある風格にグッと来たりする瞬間もあった。ストーリーのエッセンスとして描かれるモニカとの間に築かれる擬似的家族関係には抗いがたいエモーショナルな何かがあるし、コメディリリーフ的な役割ながらカーン一家によって強調される〝家族愛〟に思わず涙腺が緩むほどにはわたしも歳を取ったのかもしれないが、そこに不快感はない。

クリー人とスクラル人の関係や惑星ハラの設定には、どうしても同時代的な世界情勢を重ねてしまう。それがどこまで意図されたものかも判らないけど、少なくともキャロルが最後に取った行動には、〝正義の不安定さ〟が描かれていたと思う。(それってアメリカでは余り受けそうにはないけれど)一方で、エンタメとして「そこはそれ、これとは別」というスタンスも当然あるはずで、正直なところ自分の中によく判らない感情が残っていたりもする。

とはいえ、わたしはこの作品に一定の満足はしていて、結局のところそれはフューリーとグースに萌えているだけなのかもしれない。嗚呼、猫かわええ。