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「コレデパンデモカッテ」【映画】『ブレット・トレイン』雑感。

『ブレット・トレイン』

映画『ブレット・トレイン』予告1 2022年 全国の映画館で公開 - YouTube

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最近読んでなくて、伊坂幸太郎のいい読者とは言えないわたしだが、小気味良い会話とテンポのいい展開、ミステリーは好きなタイプ。確か「グラスホッパー」は読んだはずだが、その記憶は朧げだ。

本作の原作である「マリアビートル」は未読の為、どこまで脚色や設定の変更がされているかは判らないけれど、それぞれのピースが終盤に向かって次第に合わさっていく展開はミステリー小説のエンディングのようなカタルシスがあった。

決して緻密に組み立てられた構成とは言えないし、荒っぽい設定(車内や駅のホームのセキュリティどうなってんの?)が気にならない訳でもないけれど個人的にそういった部分は小さな瑕疵でしかなかった。様々な登場人物が絡み合い、その謎が解きほぐされていく事への快感の方が優っていた。

いわゆるハリウッド映画の中の「トンデモニッポン」要素への抵抗感はかなり少ない。もちろん、かなり誇張されてはいるし、東京駅の新幹線(のような乗り物)のホームに抱く違和感もあるけれど、ファンタジーとして許容範囲であるし、作品中で話される日本語も聞き取りやすい。(大好きな作品だけど)『ブラック・レイン』の時代とは作り手も受け手も意識が違っているのだろう。それは、ハリウッドでキャリアを重ねてきた真田広之さんの存在も大きいと思う。日本語のセリフに違和感がないだけで、ファンタジーな設定を素直に楽しむ事が出来る気がする。

舞台となる乗り物は東海道新幹線ではない。〝日本高速電鉄〟の〝ゆかり〟だ。東京を夜に出て、京都に到着するのが翌朝方。少なくとも5〜6時間はかかっているところをみると、こだまよりも遅いスピードだろうか。でも、ファーストクラスのラグジュアリー感や深夜を走る便だと考えると、実際にこういう移動手段があってもいい。セキュリティ上はかなり危ういけれど。個人的には霧に包まれた米原駅の風景がツボでしたね。

ブラピの〝ついてない男〟っぷりも良かったし、アーロン・テイラー=ジョンソンブライアン・タイラー・ペイリーの檸檬とみかんコンビ、圧倒的存在感の真田広之、そして妙にカッコいいマイケル・シャノンなどキャスト陣も良かった。サプライズ的なカメオ出演も楽しい。個人的にはカービー役の顔が出てきた時、思わず声を出しそうになった。

「ステイン・アライヴ」の日本語バージョンもカッコいいし、「時に母のない子のように」が流れる場面などにはタランティーノオマージュ?と思ったらもするけれど、やはりクライマックスで流れるあの曲!あれは最高でしたね。自然と気持ちもアガるといつものです。

という事で、ラストのある種明かしも小気味よく、楽しい映画でした。ブラピも老眼にはなる、って事で。