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もうワンコを死なせない。【映画】『フォールガイ』雑感。

予告編 - YouTube

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そーふぁっきんぐれーと、でしたね。拍手拍手。東宝東和の正月映画的な華やかさと楽しさのある快作。オープニングのKISSの『ラヴィン・ユー・ベイビー』で、「あ、この映画良いわ」と確信した。改めて自分がデヴィッド・リーチの作品好きなんだな。と再認識する。いや、ホント楽しい2時間でした。

アクション映画であり、サスペンスであり、ロマコメであり、それぞれの要素がとっ散らかることなく程よいバランスで積み重なっているという印象。緻密な構成という訳ではないけれど、向かうべきゴールが明確なストーリーも心地よくて、ルーザーの一発逆転、ワンスアゲインの痛快さもある。そして何よりスタントマンへのリスペクト、映画というエンターテイメントを支えてきた〝フォールガイ〟達への賛歌に満ちた作品だった。

スタントマンというバックボーンを持つデヴィッド・リーチの眼差しには、アクション映画を始めとしたエンタメの歴史へのリスペクトを感じる。オリジナルのTVドラマ『俺たち賞金稼ぎ‼︎フォールガイ』の記憶はないけれど、80年代から90年代のテイストを感じる生身のスタントシーンに、過去の様々なマスターピースの記憶を呼び起こされるような感覚もあった。

ライアン・ゴズリングエミリー・ブラントも流石というパフォーマンスでとても良かったし、キャストはみんな印象的な人ばかりだった。ゲイルという映画プロデューサーやトムという名をもつ映画スター(「走り方も変だし」)という遊びにも嫌味がない。このふたり、中々に憎みきれないキャラでもあった。クライマックスのヘリコプターのシーンは白眉だったし、「テルマ&ルイーズ」を巡る台詞のやり取りで「トム・ライダー、お前も映画好き野郎なんだな」と思わせたりするところは少し虚をつかれたりもした。そんな意図ないかもしれんけど。

ハングマンかよ!という締めくくりも楽しく観られたし、わたしは大満足でした。〝『ジョン・ウイック』で犬を殺した男〟ことデヴィッド・リーチだけれど、今回のワンコは大活躍で最後まで可愛いのもよい。