妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

第一話 取れない、シーツ。『Perfume 9th Tour2022 PLASMA 』8/22(土)有明アリーナ 雑感。

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もはや、ライブに参戦する事へのモヤモヤ等はわたしの中には存在していない。寧ろ今では開催日されない可能性の方を心配するくらいだ。

約4年ぶりとなるアルバム『PLASMA』は、そのインターバルによるところもあるけれど、既発表曲が多く、曲目だけを見ると新鮮さがないようにも思えてしまう。しかし、いざ聴いてみると映画のサントラのような統一感があって、のっちの言葉を借りるなら〝チルい〟空間がしっくりくる感覚がある。ツアーも始まったばかりなので、当然ネタバレを避けながらの感想となるわけで。どちらかというとライブを巡るアレコレ、みたいな感じで。

先行のオンライン物販を逃していたが、これまでの経験でPerfumeのグッズ購入にそれほど待たされた記憶もなく「まあ、開場1時間まえに行けば良いじゃろ」くらいに考えていた。結論から言うとこれは間違いで、15時過ぎに有明アリーナへ着くと予想外に待機列が伸びていて戸惑うことになった。それでも30分くらいで購入できるか、とタカを括っていたら建物内に入るまで1時間、会場のサブアリーナに入ってから45分程かかると言う結果だった。まあ、色んな要素はあると思うけどこうやってグッズ列に並ぶこともライブのエピローグ、醍醐味だと思えなくもない。そして、わたしは購入するセレクトにおいても後悔する事になるが、とにかくマイメンTシャツは買っておけ!更にその場で着ろ!とだけ言っておきたい。

PTA一次のチケットは2階スタンド席だった。座席も思ったよりスペースにゆとりもあるし、上から見下ろす感じで観やすい。ざっくりとした印象で言うと武道館に近い感覚。徐々に座席が埋まっていき影ナレからの手拍子という一連の流れでライブへの高揚感に会場が包まれていく。

15分程押してスタート。

いや、このオープニング、最高でした。神々しさがドラマチックに演出されていて一発でライブ空間に惹き込まれる。わたしはこの時点で「泣いてもいい」と思っていた。

ツアー初日だ。想定外の事も起きるのは仕方がない。序盤2曲目だったろうか、舞台装置の一部にシーツのような幕が引っかかって取れないというトラブルがあった。わたしの位置からはスタッフの方々が一生懸命それを取ろうと舞台下から引っ張ている姿が目に入って、正直ステージに集中出来ないところもあった。また最初のMCのところでセット切り替えが行われていたけれど、その時のパイプ上の何かがガシャンガシャンと音しているのも気にはなった。きっとこの後、スタッフさん達は眠れない夜を過ごしているのだろうと思うと身につまされる。

最初のMCで早くも感極まるかしゆかかしゆかは最後のMCの時も、のっちやあ〜ちゃんが話しているときにウンウンと頷いたりする一方でぐるりと会場内を慈しむように見渡す姿が印象的だったりする。のっちは『PLASMA』というアルバムを大切に思う気持ちと、それを再現したライブが出来る喜びを控えめでありながら語る。そして、それはライブの開会宣言のような煽りにもなっている。

あ〜ちゃんが登場して、これが有明アリーナの柿落としである事に触れる。「ウチらのあとはビリー・アイリッシュさんなんよ。すごない?」思えばLINE CUBEの柿落としPerfumeだったな、と思いながら、デジタル演出や有観客のシステム等を確認するのにチームPerfumeが適しているのかもしれないと思ったりもする。わたし達を一斉にジャンプさせて「一万人が飛んでも床抜けんけ、大丈夫じゃね」というのはこの時だったろうか。

チーム訳は「あ」で始まったので(あ・り・あ・け、かな)と思ったが「あ・せ・だ・く」だった。よく考えたらありあけ、だと「あ」が2回出てくるので上手くいく訳がない。そしてわたしは「だ」チームでした。更にあ〜ちゃんがマイメンTシャツについてイジる。「全然、着とる人おらんじゃん!」という事なのでこれ以降は会場はマイメンTシャツで溢れる事でしょう。

いつもながらこのMCのゆるさとバッキバキのパフォーマンスとの落差・対比が素晴らしい。「あの曲、こうなるのか!」という驚きと興奮があったし、ここでこの曲くるとは!!!という嬉しいサプライズ感があって、いや良いセトリだった。Perfumeのライブに来るといつも思う事があって、自分の中にある澱のようなものがスーッと浄化される感覚を抱く。そして、もう一つこの世の平安を祈るというか護国を願う神事のような空間がそこにあるような気がしてならない。セトリ後半に配置されたあの曲の時、わたしは五穀豊穣の為の祝祭、ハレの儀式の目撃者のような気分になって身体中の血液が沸き立っていた。少し泣いていたかもしれない。

セトリの細かい順番についてはいつもながら記憶が混濁しているけれど、アルバム曲と既存曲が上手く融合されていたし、初めてパフォーマンスを観る曲では「こんな振り付けになるんか!」という驚きもあった。デジタルと生身の身体のシンクロと化学反応は今回も絶妙なバランスで成立していて、「この映像演出、この位置からだとこう見えるけど、別の角度からだとどう見えるんだろうか?」といった興味を持つ場面もいくつかあったし、レーザーや電子的信号が心のエモーショナルなところを刺激してきて、泣きそうになった事も数回あった。人としてのアナログな身体とデジタル化された〝像〟としての身体、そのシンクロと共鳴、そういった事が頭の中でグルグルしながらわたしは泣いていたように思う。

エンディング演出も素晴らしかった。『PLASMA 』とうSF映画を観ていたかのようで、わたしはここでもグッときていた。エンディングロールが目の前に広がっているような感覚で、今夜、この時限りのライブが終わりを告げる寂しさとsee you next stageという希望の光が混在する複雑な感情があった。つくづく良いライブだった。

規制退場の時間が良いクールダウンとなって、会場を後にした。グッズ売り場へ立ち寄ろうとしたけれどマイメンTシャツは売り切れていた。次回の広島遠征時にはゲット出来るだろうか。