妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

いつだって、どこだって。エビ中がそこにある。『私立恵比寿中学 柏木ひなた卒業式 smile for you 幕張イベントホール』雑感。

ライブ当日になっても、やはり実感がない。それでも、確実に〝その時〟はやってくるわけで。幕張へ向かう電車の中でポップコーントーンを聴いていると心がギュッとなっていることに気がついたりする。

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グッズはTシャツもタオルもペンラも売り切れているようだった。今日くらいはオレンジグッズを身につけようと思ったが、それは諦める。

アリーナやや後方の席からステージは遠い。前の人が結構大きめな人だった事もあり、ほとんどの時間はモニターを観ることになったが、それは些細な話だ。この空間、この時間を共有する事が大事な事のように思い始めていた。

とはいえ、開演となっても卒業ライブという感覚はなかった。確かに冒頭ステージにひとりで立つ柏木さんの姿とオレンジの光に包まれたフロアは独特の空気ではあった。でも、始まってしまえばいつものエビ中のライブと変わらなかった。『紅の詩』や『放課後ゲタ箱ロッケンロールMX』に盛り上がる、エビ中のライブだ。

『I'll be here』をひとりで歌う柏木さんを観て、ようやく「あ。この姿をもうみることは出来ないのだ」という事を実感した気がする。続くユニットコーナーで〝BOSS〟として観客席からそれを眺める姿、そして目を潤ませている彼女の様子が目に入ることで、段々と実感が湧いてくる。

ebitureを挟んでの後半戦。盛り上がる曲が続き、わたしはペンライトを振ったり身体を揺らしながらライブを楽しんでいた。しかし、『まっすぐ』あたりからわたしは静かにステージを眺める事にした。というよりも、この空間、この時間を慈しみながらじっくりと目に焼き付けたいという思いが強かった。そういう人は周りにもいたような気がする。「終わってしまう」事をじっくりと噛みしめるような…いや、違う。理由はよく分からない。とにかく、わたしはそうやって、エビ中が、そして柏木さんが放つパワーを浴びていたくなった。静かに立っているわたしに「ジャンプ」と「スーパーヒーロー」がグイグイと入り込んでくる。9人の踊り歌う姿を観ながら、わたしの涙腺は緩んでいた。

泣けちゃう夜もあるヒーロー

だれもいつも強くはないけど

不安 孤独

そんな言葉ひっくり返して

もう一度歩こう

アルコールに応えて登場した柏木さんは手紙を読む。シンプルだけど真摯な思いの詰まったメッセージはストレートに胸を打つ。天を仰ぎ、りななんの名を呼んだ時、これまでわたしが観てきたエビ中が一気に押し寄せるような感覚があった。10人の時も9人の時も8人の時も、全てエビ中だった。6人になってしまった(と敢えて言うが)時も、もちろんそうだ。それはエビ中だった。間違いなく、エビ中だった。そして再び9人になり、そしてまた10人になる。それも勿論、エビ中に違いない。

アンコールでの『約束』もまたわたし達を泣かせる。モニターに映った柏木さんからのメッセージは、涙で滲んでよく見えなかったけれど、メンバーそれぞれへの思いが伝わる言葉が胸にグッと来る。ココユノノカへの厳しさとともに優しさに溢れた激励。カホリコとの先輩後輩よりも同志のような関係性。そして姉さん組との強い絆。

それは最後にマイクオフの状態で行われた各メンバーとのハグにも現れていた。ココユノノカを抱きしめるその姿はBOSSそのものだった。これからのエビ中を託すかのようにエールを送る姿に、またもや涙する。りったんとの長い長いやり取りや〝お母さんモード〟のぽーちゃんとのほっこりした時間や美怜ちゃんや安本さんとの少し照れの入った感じも良かったけれど、最後の最後に真山さんに甘えるように飛び込む姿は、〝末っ子ひなたちゃん〟に戻ったように見えて、これまた泣かせられる。

そうして涙を流していたわたしだったが、最後の最後ステージを去っていく柏木さんの姿を眺めてもなお、まだ実感は湧いていなかった。ライブが終わって、電車に乗っている時も、まだエビ中に彼女がいるような気がしている。きっとそれを感じるのは次のライブなのだろう。その時、「嗚呼、そうだ。柏木さんはいなくなったのだった」とようやく思うのかもしれない。しかし、その一方でそんな事を微塵も感じさせないパフォーマンスをするのも、またエビ中だと思っている。いつだって、どこだって、そこにエビ中があるのならそれはエビ中なのだ。わたしが、それを実感するのは少し先になりそうだけれど。