妄想徒然ダイアリー

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歌舞伎町のど真ん中で青春を叫ぶ。新しい学校のリーダーズ『日本にいるけど一時帰国ツアー2023』雑感。

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とにかく。最高でしたよ。確実に(ランクとしての)ステージが上がっているというか、あらゆる点でアップデートしている感じがヒシヒシと伝わってくる。そんなライブだった。

前提として〝一時帰国〟の新曲たちが素晴らしいというのがある。得てして新曲というのは受け入れられるまで時間を要するものだけれど、そういったネガティブ要素が全くない。新しい曲も定番の曲もお久しぶりの曲も、その全てが良い。オープニングの紙芝居もカッコいい。メンバーそれぞれがシルエットになって登場するアニメの高揚感、こういう細かなギミックにもパッケージとしての完成度を高めようという意思を感じる。

幕開けの『青春を切り裂く衝動』のグルーヴで身体中の血が沸る。ライブの一瞬一瞬をこの目に焼き付けるようにステージに視線を向ける。

それにしても、最初にも言ったけれど色んな面でレベルアップしている事を実感する。例えば『CANDY』でフロアをノせていく感じは前からあったけれど、そこに良い意味での余裕が出てきたというか、貫禄のようなものすら感じる。

中でも『Pineapple Cryptonite』が圧巻だった。何度かライブで観てきたが過去最高と言いたい。特に学ランパートのカッコ良さと言ったら!この曲のパフォーマンスを目の当たりにした時に、リーダーズがひとまわりもふたまわりも大きくなっていることを確信した。このパフォーマンスをこの規模の小屋で観られるのも今だけとなってしまうかもしれない。それから『試験前夜』になだれ込むセトリはもはやズルい。トラメガとかもはや卑怯、とんでもない所業。アドレナリンどばどばですよ。確かこの時だったと思うけど、ニッコリと微笑んでから一瞬の後にガンガンに頭張って踊りまくるKANONさんが印象的だった。

ジョニ男さんの「顔を振る準備はできていますか?」とどこかで聞いたことのあるようなフレーズから始まる昭和コーナーも良い。こういうところにスッと『乙女の美学』を持ってくるあたりもニクイ。そして『雨夜の接吻』のMIZYUさんの歌声で心身デトックスされる。

終盤のMCでSUZUKAさんが「いよいよ、残り3曲です」と言った時のフロアからの「えーーー」に対する「バカやろー、まだ3曲もあるんだよ!」という返しに何故だか分からないけどかなりグッと来てしまった。いや、なんて事のないやり取りなんだけど色んな感情が入り混じったのだと思う。声出しライブが戻ってきた事、ライブの一瞬一瞬は今しかない貴重で尊いものである事、そんな感情を抱きながらの「まだ3曲も楽しめる!」という事なのか。とにかく、何だかとても良い場面だった。

そしてまさかダイブが観られるとは。わたしは下手側だったので遠くでそれを眺めていたが、始める前の「寄って寄って、集まってー」と言って客席に飛び込むSUZUKAさんの姿がとにかくカッコいいのだ。落ちてしまわないか少しハラハラしたし、彼女はもっと後ろの方まで運んで欲しかったようだけれども終わった後に「ありがとなー」という一言があるところ、好きっす。

そしてアンコールは、もちろんワシらのアンセム『迷えば尊し』だ。一瞬一瞬、そこにある青春を掴めというアジテーション手を掲げるだけでわたしの身体中の細胞が入れ替わっていくようだ。そして涙ぐむRINさんの姿にグッしながら、バカヤロー、青春だよコノヤローと体内で叫んでいる。

「この小指を繋ぎ続けます」というパワーワードはいつかのライブでもあったけれど、その時とはまた彼女たちの思いも、わたし達の思いも変わっているような気がする。わたしがリーダーズを初めて観た時から、彼女たちはどんどんと大きくなっている。軽やかにハミ出しながら成長していくその姿を前にすれば、改めて発表されたアリーナ公演の告知に驚きはない。彼女たちにはその価値があるからだ。と、同時に価値あるものがその価値通りの評価を受けるとは限らない事も、わたし達は知っている。そう。それは、当たり前じゃない。だから、目の前の一瞬を掴む事が必要なのだ。

久しぶりに夜の歌舞伎町を歩く。洗練されて現代的なタワーの外には猥雑で混沌とした街の風景があった。それが良い事なのか悪い事なのか、わたしには分からない。ただ、わたしは爽やかな気持ちで駅に向かっていた。