妄想徒然ダイアリー

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we are dancing all over you、なんよ。8/14(土)『Perfume LIVE 2021[polygon wave]』雑感。

10年前のあの頃、「極端な絶望感も能天気な楽観論もいらない。現実的な道標が欲しい」と思っていたが、同じ事をまた感じなければならないとは。そんな中で、わたし達は自分で何とか日々の暮らしをやり繰りしながら、色んな事に折り合いをつけて生きていくしかない。

一年半前のあの時とは少し気持ちも違う。

一瞬の為に手を掲げるのだ、わたし達は。「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」を巡るあれこれ。 - 妄想徒然ダイアリー

この余談を許さない状況の中で、もちろん能天気にLIVEに向かうわけでもないけれど、それでもやはりわたしは横浜へ向かった。それがわたしの選択だった。ある日、のっちがブログに書いた〝あなたの生き方をわたしは肯定したい〟という言葉と〝ライブやります〟という覚悟。それは、まさに能天気な楽観でも極端な絶望でもなく、あらゆる選択をしているわたし達のリアルが受け入れられていると感じられた。

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Perfume LIVE 2021[polygon wave]

グッズ販売も入場も実にスムーズで、サクサクと自席まで到達出来た。男子トイレの方が列が長くなるのもいつもの事で、ビールを飲めない事を除けば、いつものPerfumeのライブが戻ってきたな、という感じがする。

ぴあアリーナMMは初めて来るけれど、今回は一階(アリーナ部分)は全てステージに使われていて、2階席のスタンドからが座席として使用されている。わたしは2階席後方だったけれど、それでもステージがよく見えていた。いや、それにしても座席が狭い。東京ドームの内野C席くらいの狭さ。

もちろん場内はとても静かだ。流石のP.T.A.達も興奮と懐かしさで緊張しているのだろうか。影ナレさんの微笑ましい噛み方にも笑い声は起きない。それでもいざ、開演間近となればいつのも手拍子が起きて、LIVEの始まりの高まりが身体の中で再生されていく。

スクリーンに映し出されるポリゴン状の3人の姿が映っただけで、もう軽く鳥肌が立つ。

不自然なガール」で始まるLIVEも余り記憶にないけど、どうだろう。MVを再現するかのようなステージに早くも感情がミルフィーユ状態。赤い衣装も素敵。というよりも、そもそもPerfumeのステージに3人以外の姿がある事自体が(企画イベントを除いて)異例であったとも言える。わたしは少なからず「あっ」と小さく声を出しそうになったし、これがPerfumeの新しい形〟と言う事なのかもしれない。

あれは「ポリゴンウェイヴ」の時だったろうか、キューブ状や球体の箱がステージ上を動く演出などはデジタルとアナログの融合といいましょうか、とても見応えがあったし、イレブンプレイの皆さん(ですよね?)がステージで輝いているのを観ていると、何となく例の国家的イベントの事をどうしても思い出してしまう。アレ中の人自分の脚で(人力で)動いてるんですよね?ステージ上の動く白いラインにぴったりあった動きしていたけど、どうなんだろう。違うのかな。

「I still love U」の可愛さも素晴らしかったけれど、前半のハイライトは「マカロニ」だろう。

わたしは初めてPerfumeのライブを観た時から、光と影の演出(それを意図しているかいないかは別にして)がとても気になっていて、この日の「マカロニ」で3人の後ろにあるスクリーンに映された影、少しセピア色というか夕焼け色というか、そんな光の微妙な調整も含めて、最高でしたね。

いつもなら「music by 中田ヤスタカ」のクレジットが入りそうなPerfumeの掟的コーナーでの影を使ったシークエンスもとても印象深い。

いやそして、「ポリゴンウェイブ」のとてつもないカッコ良さ、ですよ。3人の動きのコミカルさとクールさが同居した唯一無二のカッコ良さ。レーザー演出で一気にフロアがゴージャスな空間に変わる。

P.T.A.コーナーもいつもと変わらない。当然声は出せないけれど、いつもようにあ〜ちゃんの言うことを聞いて腕に乳酸を溜め込む。すいか、浮き輪、阿波踊りのそれぞれの動きを叩き込まれたわたし達はもちろん、この時のかしゆかとのっちの動きを観るのも好き。阿波踊りをするかしゆかの細やかで美しい指さきの動き、良かったですね。

上下上上、下上下下の動きも随分久しぶりな気がする。

後半はまさにダンスチューンが続いて、2019年以前であればまさにフロアがダンスフロアと化して祝祭に包まれた空間になるところだ。もちろん今のわたし達は大きな声も出せず、激しく踊り狂うこともできない。それでも、わずか50㎝四方のスペースの中ではあるけれど、手を振り上げ身体を小さく揺らす事でアドレナリンはドバドバ分泌された。

阿波踊りじゃないけれど、今この厄災だらけの世の中で、そういったものを払い除けるような祭りとしての役割もこのPerfumeのライブにはあったような気がする。『GLITTER 』でキラキラと天井から降ってくる紙吹雪を浴びる3人や『FAKE IT』でジャンプを煽ってくる姿を観ていると、その想いは益々強くなっていく。

もちろん、今この時、世の中はまだ平かとは言えない。それでも、チームPerfumeはある覚悟をもってLIVEを開催してくれた。なかなか簡単な決断ではなかったと思うし、様々なら悪意に晒されるリスクを負いながらもこの道は選択された。

わたし達もそうだ。

この日のライブに来る予定があっても、それでも来ない選択をした人もいる。そして、実際に会場に足を運んだ者の中にも色んなリスクを負いながらやってきた者もいる。Perfumeの3人はその全ての選択は正しく、どの選択も受け入れると言っている。この言葉だけで救われた気分になるではないですか。わたし達のあらゆる選択は(それは来れなかった者だけでなく、この日横浜に足を運んだ者についても)救い上げられた。

今まで何度となく観てきた「ポリリズム」だけれど、この夜ほど歌詞が身体に入ってきた時もなかったかもしれない。

ほんの少しの僕の気持ちが

キミに伝わる

そう信じてる

拍手や身体の動きのみがわたし達に与えられたコミュニケーションツールだ。それでも3人は「皆んなの声が聴こえるんよ」と言ってくれている。尊いとはこの事か。

最後にいつものように「せーのっ!」の掛け声とともに掲げられた手。「MY COLOR 」はわたしの中でアンセムとなっていて、こうやって掲げる手が確かにステージ上へ届いているように思えて、毎回心を震わせてしまうのです。パッパッパ、カッコカッコカッコ、1、握って、3.2.1…この動きは身体が覚えている。嗚呼…素晴らしい、この今しかない一瞬。

いつもPerfumeのライブを観た時に感じる、無垢なパワーに洗われているような感覚がこの日にもあった。わたしの中にある澱のようなものがクリアにされていく感じ。逆に言えば3人の輝く眩しさに後ろめたさすら抱いてしまうほどで、そんな感情も含めて浄化されているような気分になる。

終演後も帰り道でもわたし達は無言だ。でもこの高揚感と幸福度はいつものライブと変わらない。彼女達の「エンタメを止めない」宣言は、もちろん簡単な話ではなくて、MCでも語られているようにチームPerfumeの力無くしては成立しない。同時にその責はわたし達にも課せられていて、つまりは今夜以降も健康で生きていかなければならないという話なのです。なんか馬鹿みたいな事言っているみたいだけど、しみじみとそう思いながらわたしは帰路についていた。そうでなければ「see you at next live」出来ない。

 

メモ

  • P.T.A.コーナーの阿波踊りはついつい、かしゆかのしなやかな手先な動きに目を奪われていたけど、あ〜ちゃんの〝男踊り〟の低い姿勢も忘れがたい。
  • のっちの「ようやくPerfumeののっちになってきた」も印象深くさりげなく終盤に〝一生Perfume宣言〟的発言があった気もするけど幻だったかもしれん。
  • 唐突に披露された新曲「ミラーボール(勝手につけた仮タイトル)」、もっとじっくり確認したい。歌詞も、まさにステージに立ち続ける宣言でグッと来ちゃうね。
  • この日は本編終了後にNHKの中継放送があった。大晦日のカウントダウンライブの紅白中継を思い出す。ステージの大スクリーンで「パプリカ」や「津軽じょんがら」を眺める空間は不思議だった。
  • わたしは2階席下手サイドだったけれど、真正面サイドや3階席からの眺めもまた違ったものであるのは間違いないなく、それが単なる方向や距離の問題ではなく演出を感じるという意味でも違った角度から体験したいという気分になる。これもいつもの事だけれど。
  • そして今回のライブはAmazon primeさんで配信されるというじゃないか!それもまた楽しみだけれど、という事は円盤化はいないのかな?
  • NHKの中継も終わり、ステージをはけていく3人が裏に消えていく寸前にピョンと跳ねるポーズ可愛かったですね。なんの意味かは判らんけど。
  • という事で「Perfumeでしたー!」