この日もあらゆる界隈で色んなLIVEが催されているようだったがわたしはここに来た。
『バンドのみんなと大学芸会2020 エビ中とニューガムラッド』
わたしが初めてエビ中ちゃん達をこの目で観たのは帰省していた広島でリリイベをやっていたのを偶然見かけた時だと思う。YMO『体操』のカバーをやっていたり、グダグダのダンスや踊りに苦笑しながらも心の何かに引っかかって気になった記憶がある。
その時は確か10人くらいはいたはずだが、今日は5人だ。しかしあのリリイベの時とは比較できないほどに素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれた。エビ中のライブ自体が丁度一年前のバンドセットで、あの時ももちろん最高だったけれど、今夜は更に完成度の高いステージだった。
いやホント良かったなぁ。
赤いカーテンが上がるとギターサウンドでebitureが奏でられる。そして開幕からの「Family Complex」で響きわたるひなたちゃん、いや柏木さんの声が一瞬でオーディエンス達の気持ちをグッと掴む。この時点でライブ成功が約束されましたね。
このご時世のライブ、もちろんわたし達はマスクをつけたままだし声を出すことも出来ない。それでもサイリウムを振りながらブヒブヒ言ってました。
「ハイタテキ」や「SHAKE!SHAKE!」といった曲ももちろん楽しいし、アガる。それにしてもハタチになったぽーちゃんの頼もしさにも似た存在感は何ですかね。「EBINOMICS」ではコーラスのオリビアさんが登場してきたけど、それにも負けていない、ぽーちゃんの圧。
全員が成人となったエビ中ちゃん。「I'll be here」や「愛のレンタル」では大人のライブのしっとり感があって何とも感慨深い。
「曇天」ではソングライターである吉澤嘉代子さんが登場してきて、少なからずわたしを驚かせたが、いや実に素晴らしい空間だった。エビ中ちゃんの衣装に合わせた白いワンピースがとても似合っていて、セットの最上段にある姿のせいか女神のような輝きがあった。
続く「ねぇ中学生」「面皰」では一転してキュートさが溢れ出していてエビ中ちゃんと一緒になって踊っている姿、ちょっとどうしようかってくらいの可愛さでしたよ。
「PLAYBACK 」の時の不思議な浮遊感というかPerfumeの「SEVENTH HEAVEN 」にも似た高揚感がとても印象で、うまく言えないけどエビ中、とても良いグループになったなぁ、と謎の上目線で改めて思う。
たむらぱん作のエビ中曲では自動的に泣く身体になっているわたしだが、成長した彼女達が歌う「大人はわかってくれない」もまた趣きがあって素晴らしい。そして大好きな「ポップコーントーン」。今この一瞬一瞬を生きるわたし達、〝声にならない声で誓う〟のは夢か現実か。この辺りで涙腺がかなり緩んできている。
バンドメンバーを紹介しながらの「オメカシ・フィーバー」はいよいよライブが終盤に近づいている事を予見させる。しかし、この曲で踊るメンバーを観ているだけでアドレナリンがドバドバ分泌される。真山さん、美怜ちゃん、ひなたちゃん、ぽーちゃん、りったん。みんなが楽しそうに踊ってるのを観ているだけで多幸感に包まれる。
「ジャンプ」はいつ聴いても身体に沁みてくる。特に安本さんの生誕でのコレ安本彩花「ジャンプ‐アカペラver.‐」 - YouTubeを経験した後では余計に感情が掻き乱される。そしてりったんの〝今だーーー!〟で目尻が濡れていくのが判った。
柏木さんが「なかなか良いことばかり続かないこの世の中だけど、わたし達エビ中はいつでもあなたのそばにいます」(大意)とスピーチした後の「スーパーヒーロー」はマジやばかった。色んな感情が織り重なりあらゆる記憶と思い出が混ざり合うようにして心のヒダを刺激する。2020年の暮れという今、このメッセージはストレートに響くし、と同時にある種の宿命を背負うような覚悟もあってその事に少し驚いていたりもする。
いや、良いライブだった。来てよかった。録画してある生中継を観るのも年末年始の楽しみのひとつになった。
おそらく今この状況の中では最高とも言える環境でのライブだったと思うし、しばらくはこのスタイルでやっていくしかないのだろう。しかしそこに絶望はなく、うっすらとでも光るその行く先を目指してわたし達は歩いていくしかない。彼女達はその背中を押していこう、と言ってくれている。それ以上の何を求めるというのか。
東京ガーデンシアター、アリーナの前方だったからそりゃまあそうだろって話だけど、スタンドだったとしてもステージが近くて見易そうな作りで良い会場だな、という印象。またここでライブ観たいですね。
そしてその時は6つの声で。