妄想徒然ダイアリー

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あの頃の君へ。「P.T.A.15th&10th Anniversary “Perfumeとあなた”ホールトゥワー2023」10/23(月)パシフィコ横浜大ホール雑感。

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楽しかった!以上!

で終わらせたいくらい。濃密で幸せな2時間半でした。

 

最近は配信で地方局のバラエティを観ることも出来て、偶然わたしの育った街が紹介されていた。わたしの知っているその街は田んぼだらけの田舎町だったけれど、その番組では注目のオシャレスポット的な扱いになっていてエラい驚いたものだ。勿論、わたしは長い間その街から離れているし、時代の変化も当然あるのだけれど、知らない間に物事というのは変化するモノだな、と。

Perfumeもまた20年以上のキャリアを待ち、おそらく結成当時から今の姿を想像していた者はいなかっただろう。もしかしたら広島のローカルタレントを数年やって引退していた世界線だってあったかも知れず、現在(そして未来)は数々の選択肢の末に成り立っているのだ、なんて事も考えたりする。

今回のホールトゥワーのチケットも争奪戦となって狙っていた渋谷は落選したが、横浜はなんとかゲットする事が出来た。何気に仕事も忙しくない訳ではなかったが半ば強引に半休を取りパシフィコ横浜に向かった。今回の会場ではおそらく一番キャパも大きく、実際にわたしの席は2階席後方で確かにステージが近いという事はなかった。なかったけれど不思議と冒頭から3人の姿が凄く近く見えた(ように感じだ)。あ〜ちゃん曰く「他の会場ではモニターなんかなかったんよ(それだけ距離が近かった)」との事だったけれど、それでもシンプルなステージセットである事に変わりなく、殆どギミックのない演出がストレートに心に突き刺さってくる。

スポットライトに照らされて壁に映し出される3人のシルエット。大きく投射されたあ〜ちゃんの揺れるポニーテールやのっちのやかしゆかのキレのあるダンスの動きもまた演出のひとつのように感じられて(それはPerfumeのライブではいつもそうなんだけれど)、ここかなり好きでした。

新曲からお久しぶりの曲までバランスの取れたセトリはファンクラブのイベントに相応しい濃密さで、ステージで踊る3人の姿に感情が掻き立てられた。上手く言えないけれど「嗚呼、やっぱりわたしはPerfumeが大好きなのだ」という想いが増幅されていく。中盤、転換タイムで流れる過去の映像の数々。それは単に「懐かしい」というだけではなく、Perfumeのこれまで積み重ねてきた歴史のアーカイブだ。ぱふゅ〜む、の頃から脈々と継続してきたこれまでのヒストリーが目の前に広がり、〝エモさ〟にとどまらない感情が身体の中に駆け巡る。それは、これらの記憶が多数の枝分かれしていく選択肢(そこにはPerfumeのいない世界だってあったかもしれない)の結果に今がある、という事実、それを奇跡と呼ぶ事には少し抵抗があるけれど、二十数年の道のりの結果、唯一無二の存在としてPerfumeがいま目の前にいるという事。そういった諸々に少し涙腺が緩みそうにもなった。

最後のMCだったろうか、あ〜ちゃんはツアー中の心の変化のような事を語っていた。反省や次回の課題取り組みなどに費やした時間に少しだけバッファが生まれたというのは、わたしには良い事に思えた。それはストイックな部分がなくなるということではない。(それは、かしゆかの鍛えられた腹筋を見れば判る)体力を消耗し場合によっては精神を削っていく事のリスクを彼女たちなりに捉え直してサステナブルなグループを作り出す、という事なのだろう。

自分の生活にも色々と変化があった。今の人生もまた、あらゆる選択肢の結果生まれたものだ。その選択肢のひとつにPerfumeのライブに行く、という事があった。そうでない人生は、今想像出来ないが、でもそれも大いにあり得る話だ。いまわたしが、Perfumeのライブを観る度に自分の中にある澱みのようなものが浄化(デトックス)されている事を噛み締める必要があるのかもしれない。「久しぶりにあの腕の動きしたなぁ」としみじみと余韻に浸りながら、わたしはそんな事を考えています。