そういえば白いドレスの女、って映画あったなぁ。
という事で行ってきました。
日向ハル生誕祭2020
なんだかんだと入場は開演ギリギリに。後方に位置する形となったが、ステージはよく見渡せる。
バンドメンバーが登場し、〝バイタル・テンプテーション〟を演奏し始める。心地良いグルーヴ感にゆらゆらしているとハルちゃんが登場。
と言っても最初どこにいるのか分からなくて、ふと見上げるとサブステージに現れていた事に気づくまで2秒くらいかかったかもしれない。
白いドレスのハルちゃん!可愛い…というか美しい。東京キネマ倶楽部のクラシカルなロケーションにピッタリの大人のムードが素晴らしい。階段をゆっくりと降りてステージ中央へやってくる姿に早くもクラクラしてくる。
MCで「最初の頃は生誕祭なんて何すれば良いか分からなくて…でも白いドレスを着て東京キネマ倶楽部のステージに立つ、というやりたい事が実現して嬉しい」というように、彼女のやりたい事が詰まった楽しいライブで、なにしろ歌に酔いしれるような夜だった。
「今日は今まで避けていた事にもチャレンジをしたくて…」という前置きから始まった〝フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン〟は、ドレッシーな格好にもピッタリで、新たなハルちゃんの一面を見たかのような気分になる。
この日の彼女は、普段の振付によるダンスではなく音に身を任せるように小さく身体を揺らしたり、指でリズムを取ったりしていて、その姿もまたキュートでとても良かった。
EGO-WRAPPIN、和田アキ子、UA、宇多丸ヒカル、椎名林檎、オリラブ、Official髭男dismというラインナップはなるほど日向ハルという存在を形成している元素のようなものかもしれない。
〝くちばしにチェリー〟ではEGO-WRAPPINのどこか背徳的で退廃なムードを残しつつも、イノセントな印象を与えていたが、それは日向ハルというフィルターを通過したからだろうか。
〝あの鐘を鳴らすのはあなた〟もUAの〝情熱〟も勿論良かったし、ハルちゃんが大好きだというSANABAGUNの岩間俊樹さんとのコラボも楽しかった(ちょっとアンルイスと吉川晃司の夜ヒット感なかった?ないか。)のだけれど、宇多田ヒカルの〝first love〟が唐突にハートに突き刺さってきた。抑制の効いた発声、無闇に声を張り上げる訳ではなくて、一音一音を丁寧に奏でるかのような歌声はまっすぐにこちらへ向かってくるかのようで、大袈裟ではなくわたしは少しだけのけぞった。
一方では、ハルちゃんらしいゆるい企画コーナーも。
質問コーナーでは
Q フィロのスは家族みたいだと思いますが、メンバーそれぞれの役割は何だと思いますか?
A 聴きたい?ほんとに?マリリ…お母さん、あんちゃん…子供、はす…おばあちゃん、で私が…犬!!!
と言う感じでハルちゃんがランダムに質問に答えていく。様々な質問があった中で最後の質問に選ばれたのが
Q 犬と猫どっちが好きですか?
だったというのも、なんとも言えず微笑ましい。そのほのぼのした展開もある意味で彼女らしいという気すらしてくる。ちなみに
A猫派だったけど、最近犬も良いな、と思ってきた。
そうです。
プレゼントコーナーではチケットの半券を抽選券替わりにして4名のラッキーな人が選ばれていく。キャップ、Tシャツ、CDの他に彼女が4つ目に選んだプレゼントはクレベリン。
「健康でいてね」というメッセージが妙に身体に染みてくる。
質問コーナー、プレゼントコーナーが終わるとバンドメンバーの呼び込みとともにフィロのスメンバーが登場。おとはす体調不良の為に欠席だったが、奥津さんもあんぬちゃんも赤い衣装に身を包んで現れる。いつも以上に赤が鮮やかに見えた気がするのは幻か。
奥津さんの胸元を見て「え?こんな衣装だった??」というハルちゃん。奥津さんも「久々にこの衣装着て、いまちょっと恥ずかしい…」と珍しく照れている。
3人で〝バイタル・テンプテーション〟を。ドレス&ヒールのハルちゃんは勿論のこと、奥津さんとあんぬちゃんも比較的踊りが大人しいというかしっとりとした感じ。これもまた新鮮ではあった。途中、奥津さんの胸をガシッと鷲掴みにしたりキーボードのように奏でる本能のままに行動するハルちゃんがかわええ。そんな2人の様子を静かに眺めるあんぬちゃんも最高でした。
「おとはすにも見せてあげたかった…」「いや、なんか偲んでる感じになってんじゃん」というやり取りもあり、そこにはおとはすの生霊が来ていたのかもしれない。
有志の方々が配っていた赤いコサージュ(毎度ながらヲタクの皆さんには頭が下がる)を2人もつけていて、特にかつみさゆりのボヨヨーン的な動きをしたあんぬちゃん、めちゃくちゃ可愛かったですね。
再びステージにひとり残るハルちゃん。「上手く刺さるようなカッコいい事は言えなかったけど」と彼女は言うけど、「わたしは、みんなと同じように悩みや葛藤を抱えてる。それでもわたしがもしステージで輝けているように見えるなら、それはみんなの存在があるから(意訳)」というメッセージは伝わってきたし、「つらかったら諦めて、生きても良いんだよ」という言葉はシンプルながらも心を打つものがあった。ハルちゃんらしい優しさとテイクイットイージー精神から溢れ出たフレーズだったように思う。
最後に彼女が唄ったのは、Official髭男dismの〝宿命〟だった。わたしはこの曲を聴いた事なかったが、そんなわたしにもまっすぐに届く歌声。「みんなの背中を押したくて」という彼女の想いがそのまま声に乗っかっているような、そんな気がしてくるほどに力強くそして優しさに包まれた一曲だったし、この夜のステージの素晴らしさを感じながらLIVEは終わった。
そんな感慨に浸りながらも最後の写真撮影で、センターの位置を知らされて「え?このステージのセンターってここなの???わたしずっとこっちにズレてたじゃん」という場面があったというのも実に彼女らしい一幕だったように思ったのでした。