妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

ピカレスクに憧れて。【映画】『アメリカン・アニマルズ』雑感。

神田松之丞独演会『松之丞ひとり』では〝徳川天一坊〟が読まれていて、独演会も天一坊も初体験だったわたしはとてつもない衝撃を受けた。

まさにピカレスクロマン。抗えない悪の魅力満載のこの物語には悪党が沢山出てくるが、やはり天一坊を演じている(と言って良いのだろうか?)松之丞さんが飛び抜けているようで、気品を備えつつ冷たいダークネスを感じる所がもうたまらない。

大岡越前の登場によりやがて訪れるであろう結末のカタルシスを想う我々に、海外ドラマのシーズン最終話のようなクリフハンガー的置いてけぼりを食らわしてくるある種のサービス振りにまた痺れてしまう。続き、いつか聴けるんだろうか。

いやー独演会、また行きたいですね。チケット取れれば。

という事で観てきました。

アメリカン・アニマルズ』

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予告編→ https://youtu.be/LBg6xhhwWy0

いや、突き刺さりましたね。コレは。

「いつか自分の人生には特別な出来事が起きるんじゃないか。いやそれは絶対に起きるべきで、何故なら自分がこのまま平凡なままに人生を終える訳はないから」という根拠なき自信は誰しも持っていた(いる)筈で、そんな人間のハート(の弱い部分に)にドストライクの直球を投げ込むような作品だ。

実はほとんど予備知識もなくて実際の事件が元になっている事も知らずにいたので、実はこの映画を構成しているある要素についてのある疑いを最後まで持ち続けていた。だからエンドクレジットで、「え。あれホントにそうだったのか」と少し驚いてしまったのだが、つまりは奇しくも二重の意味で信頼できない語り手としての効果がわたしにはあったのは幸福な映画体験ができたという事かもしれない。

冒頭の面接場面でスペンサーは自分の事をうまく語ることができない。家族の話をしてもそこには特別な事は何にもなくてただ平凡なストーリーしかない。でもそれは〝まだ人生におけるサムシングスペシャルが訪れていない〟だけの話でこれからの遠くない未来にそれはやってくるという根拠ない自信を持っている。

ウォーレンは家庭環境にやや難があったりスポーツ推薦で入った大学で折り合いがついていないが、しかしそれはそれほど〝大きな挫折や悲惨な過去〟という訳ではない。スペシャルな人生のスパイスとしては弱い。

結局彼らは持たざる者だという事だ。どこにでもいる学生でしかない彼らが、希少本を盗み出すというピカレスクに惹かれていくのは致し方なのない事かもしれない。その魅力には抗えない。

問題は彼らにそういったダークネスをコントロールできる器があるのか、にかかっている。彼らには徳川天一坊のキャラクターのように悪の華を咲かせられるような度量やオーラがあるのだろうか。

作戦決行の日までの紆余曲折。メンバー集めや次第に作戦をブラッシュアップしていく様はそれなりにテンポよくオーシャンズ11的痛快さを期待させない事もない。不安となる要素は所々に見られるツメの甘さや不安定な人間関係がもたらす綻びだ。果たしてその綻びが大きくなるのか、それともスマートに乗り越えていくのか…。

オーデュボンの「アメリカの鳥類」が持つリアリズムはどことなく〝この世のものでない何か〟を感じさせる。図鑑として、とてもリアルに描かれているはずなのに何故か恐怖感すら感じる不気味さがある。鳥たちを実物大の大きさに描いて本にしようというのはある種の狂気がないと出来る事ではない。そしてそういう狂気を持っているのは人握りしかいない。

スペシャルな人間のエントリーはなかなか出来るものじゃない。しかし、わたし達はそのエントリーを諦めてはいない。少なくとも諦めていない時期はあったはずだ。ウォーレンやスペンサーはわたしであり、この作品はわたしの物語である。わたしがかつて妄想した別のスペシャルな人生を手に入れるチャンスを彼らは持っている。それはすぐ目の前にある。あとは鍵を開けてそれを持ち出すだけだが、その本は大きく重い。果たしてわたしにそれを持ち出すパワーはあったのかな?

そんな事を思うと胸がグサグサと刺されるような感情になるのでした。

終盤に流れるレナード・コーエンの「who by fire」がとても胸に染みる。それはまるで中島みゆきの「世情」の如くであったことよ。

Who By Fire

Who By Fire

 

幸せってなんだっけ? 5/11(土)パンダ音楽祭と5/18(土)湯会に行ってきた。

というわけで二週続けて酒飲んでLiveを楽しむという休日を過ごしました。

 

切れろ、弦。5/11パンダ音楽祭

不勉強で今年で8回目になるこのイベントの事を今まで知らなくて。

いやこんなに楽しいとは思いませんでした!

休日出勤の仕事を午前中に片付けて上野へ。

天気も良く、アメ横を歩いていると当然呑みたくなる訳で。フラッと入って呑める店がたくさんあってよろしいですな。

f:id:mousoudance:20190514092845j:imageエナジー補充。

なんて感じで日本酒をキメていると眉村さんが不忍池でボートに乗っているという情報が。そんな生配信を眺めながら呑む酒の旨いこと。

上野公園に着いた頃には丁度ボート遊びも終わった頃で。

f:id:mousoudance:20190514154640j:imageパパラッチ感満載。

来ている人を見ると、ゆっくりと音楽を楽しもうというオーラが全員から出ているように思える。実にピースフルでハピネス。小さなお子さんを連れてきている方も多い。

入場待ちをしているとどこかでさっきのボートツイキャスアーカイブを観ている人がいて。スマホから聞き覚えのある嬌声がしてたわけです。すると近くにいた5歳くらいの子が「あ!ちちゃん!ちちゃんの声した!」と反応。お父さんらしき人は「いや、まだ出番じゃないから違うよ。きっと」と応えていた。「えーちちゃんの声したもん」とチビマユムラーちゃんは不満そうだ。そう、正しいよ、君は。と言おうとしたけどやめておきました。いや、子供の耳って凄いな、と思いましたよ。

さてLiveは崎山蒼志さんから。名前は知っていたけど聴くのは初めて。16歳?17歳?いやとにかく若さが弾けてるというか、とにかく可愛い。ギターを抱えながら膝を曲げてリズムを取る姿にキュンとしますな。

続くギターパンダはベテラン感を感じるステージ作りが上手い。どことなく清志郎を思わせるような歌声もいい。コール&レスポンスが楽しい。

カネコアヤノさんは裸足でステージに登場。澄み渡る空をスッと切り取るような歌声も素晴らしい。カラスも彼女の歌声を聴きにきていたような気がしましたよ。MCでは「出番前にギターの弦が切れちゃったけど、崎山くんに貰った」とのエピソードあり。時々ギターを弾きながら肩がクイっと入る瞬間があってそこツボでした。

さて眉村ちあきさんの登場です。

いつもながら準備してる時の真剣な顔、好きです。

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もういきなりオペラで会場の空気を変えるところは流石という他ありません。

f:id:mousoudance:20190519090208j:imagef:id:mousoudance:20190519085717j:image豹柄とパンダキャップが可愛すぎる。

そこからはステージを飛び出し客席を駆け回ったかと思えば、じっくりと弾き語りで歌い上げるといういつも通り振り幅ナイル川で楽しませてくれる。とにかく皆んなが笑顔になってる。案外〝笑顔の天下〟を獲るのは彼女かもしれん、とか思ったり。

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もちろん傾斜があろうと初見の客がいようともサーフ・神輿はやります。

f:id:mousoudance:20190519092857j:imagef:id:mousoudance:20190519092853j:imagef:id:mousoudance:20190519094021j:imagef:id:mousoudance:20190519092955j:image暑い中オタクに水をかけてあげる優しさ。

この日の〝おじさん〟も圧巻でした。会場を一瞬で制するような迫力すらあって。最後に音が途切れたような気もするけど、そんなトラブルすら素晴らしいLiveの証のような気すらしてくる。

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そしてこの笑顔。

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いやー大成功じゃないですか!

続いた奇妙礼太郎さんがスッとブルージーな空間に戻す。かつオーディエンスをググっと引き寄せていく。何というか地肩の強さのようなものを感じる。

そして曽我部恵一!!いやー流石という言葉すら物足りないような圧倒的に空間を制圧するパワーとでも申しましょうか。

とにかく素晴らしかった!

特に〝天使〟に引き込まれまして。くたびれたサラリーマンのおじさんが天使である事に気づいた、というこの歌がズンズンと身体の中に染み込んできて。 

その後、色んな曲を進めていくにつれてギターの弦が切れたりして最終的には3本くらいしかなかった気もするけど、そんなこと関係なく会場はピースフルかつパワフルな盛り上がりを見せる。最後にはアンコールもあってパンダ音楽祭は終わりを告げる。

外へ出るとすっかり日も落ちていて、会場を出ていくお客様もみんなハッピーな顔をしている。

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初めて行ったパンダ音楽祭、とても楽しかったです。途中勿論買い込んだビールやレモンサワーや梅サワーもたらふく飲んで実に幸せなひと時でした。

 

ババンババンバンバン!酒飲んだか?5/18湯会

さてこちらも初めての参戦。

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開演は10:30なのでゆっくり行っても良かったんだけど勝手が分からないので早めに現地到着。前日の酒が少し残っている状態で待機列に。すでに100人近くは並んでるだろうか。とりあえず迎え酒で気分を上げる。

会場はまさに温泉の宴会場。

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前方は畳フリースペース、後方はテーブル席、という感じですかね。

早速ロッカーに荷物を放り込んで館内着に着替える。

メリーメリー♡ファンファーレから。

それぞれのメンバーカラーのフリフリ衣装で踊ってるグループを見てるだけで感傷的な気分になるのは缶ビールが効いているからだけではないだろう。その後のメンバーの子たちはそれぞれ会場内ウロウロしたりLive見たりしてて何とも微笑ましい。

さてNegicco

何だかんだとNegiccoちゃん達のライブは初めて。Perfumeとの対バン三人娘やエビネギなどがあったり自分の界隈に近いところでの活動もあったけどなかなかタイミングが合わず結果ここまで来たという感じ。

ステージに登場した3人を観た第一印象は、

「ほ、細いッ…!」

特に自分は下手側から見ていてかえぽちゃんのスラッとしたスタイルが目に飛び込んでくる。コールは知らないし、お決まりのふりつけの知識もないけどそんなこと関係なく楽しめる。

あれは〝ねえ、バーディア〟かな?「あなたの、あなたの…」ってとこでNaoちゃんが最前オタクピンポイントで攻めてる時にひときわ大きな歓声が上がったような気がした。

ちょっとNegicco知識が曖昧なので間違ってるかもしれません…。

うまく言えないけど愛されてるグループである事がよく分かる。うん、良いですね。

それが終わった後はひとまずレモンサワーを飲みながらクールダウン。そしてフィロのス特典会に並ぶ。とりあえず会場限定温泉タオルはゲットしたい。と思ったら目の前で売り切れてしまった!残念。という事であんぬちゃんとのツーショットを撮る事に。出来れば館内着のメンバーと囲いにチャレンジしたかったが時間的にそれは厳しそうだったので諦める。

f:id:mousoudance:20190519210806j:image館内着のあんぬちゃん、反則級でしたね。ピンクが無かったようで緑なのもまた良い。何故か正座をしてしまったわたしの姿はカットしてキラキラのあんぬちゃんだけお届けします。

さて。せっかくなので温泉に入りましょう。天然湯、露天、サウナにも入ってみたりして。この日はレモン風呂もあったのでそれにも浸かる。ふはは。気持ちが良い。Liveを観に来て温泉も楽しめるなんてハッピーじゃないですかね。

風呂上がりに餃子とビールをキメた状態で宴会場へ戻ると脇田もなりさんのLive中。これが程よく身体に染みるというか。上質なポップミュージックはなかなか良い。自然と身体が揺れます。

さてDJコーナーの後はいよいよフィロソフィーのダンスの登場。

ステージも低く、決して背の高くないフィロのスちゃん達なので実際には頭くらいしか見えてないはずなのに、何故かこの日は4人の事が良く見えていたような印象。不思議だが、なぜかそう感じた。

ヒューリスティック・シティでは自然と皆んなが着席(というか畳に座って)スタイルに。歌中心の曲の印象だが、よく見てみると何気にダンスも様々な動きがあって大変だなぁ、という事がわかる。

事前情報だと前方だと圧縮が激しいとかいう話もあったけど特にそんな様子も見られず実に平和でかつ熱いステージだったのではないか。

そしてこの日もコール&レスポンスを煽るあんぬちゃんの兄貴っぷりに惚れる。汗だくになりながら歌い踊る姿が輝いております。

ダンス・ファウンダーは当然の盛り上がりでラインダンスも自然発生的に起こる。わたしの近くにいた人は比較的大人しく見ているタイプの人だったけどラインダンスには(半ば周りに巻き込まれる形で)参加してて楽しそうにしていたのが何より。

熱気をキープしたままのフロアでは自然とアンコールの声が上がっていたけど、アンコールはやりません、とのアナウンス。まあそりゃそうか。ステージを降りて控え室に向かうメンバー達に拍手を送って大団円という感じで終わっていった。

で、余韻を楽しみながらレモンサワーを飲んでいたら後ろでキャハハハハーという嬌声がしたので振り返ってみると生ビールを持った奥津さんが駆け抜けていく姿があった。いや好きなだけ飲んでください。

そしてLiveでかいた汗を再び温泉で流してわたしの湯会は終わった。しみじみと余韻に浸りながら新小岩駅まで歩いて帰ったのでした。

 

連休明けから何かと仕事が忙しくなかなかLiveにも行けない。そんな中2週続けて、ピースフルでハッピーに溢れた現場に行けた事は良かったなぁ、と。両方のイベント、また来年も来たいね。

へやをあかるくしてみてね。【映画】『名探偵ピカチュウ』雑感。

ポケモンについてはゲームもコミックも全くと言っていいほど触れておらず、一時期ポケモンGOを少しやったかな?という程度。

という事で観てきました。

『名探偵ピカチュウ

予告編→https://youtu.be/QiAaZ9kR7G4

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とはいえもちろんピカチュウは知らない訳もなく、「ピカ?」とか言ってる姿は目にした事はあるし、愛くるしいな、という感情はある。

で今回何故観に行ったかといえば、ピカチュウの声をライアン・レイノルズが担当しているからに他ならない。

結論。ピカチュウライアン・レイノルズが可愛い。

まさしくそんな映画だった。それで十分ではないでしょうか。

モフモフとしたピカチュウの動きはホントに愛くるしく可愛い。更に言動はライアン・レイノルズ演じるおっさん風味であって、流石に「ボクちゃん任天堂よりもプレステ派なんだよね」なんて事は言ったりしないけどその異化効果が産むキュートさは否定できない。

ストーリー自体は正直それほど練られているわけでもないが、だからと言って大きな破綻もない。ティムとピカチュウのバディ感も程よく、出会いと別れ、再会、そしてラスボスとの戦いへという一本道はシンプルで咀嚼しやすい。

王道ストーリーの末に迎えるティムとピカチュウの新たな旅立ちを描いたエンディングも爽やかな驚きと感動があり、わたしは少しウルっと来たよ。ピカ?ピカピカー♡

ポケモン世代(という風にカテゴライズ出来るのかどうか分からないが)やポケモンに深い思い入れのある人にとってはもしかしたら気になる瑕疵があるのかもしれないが、いやでもむしろアニメやゲームに触れてきた人の方がカタルシスを感じるんじゃないかな?

あ。そうそう。架空の街として描かれるライム・シティの雑踏は別に日本の街という訳ではないけれど、どことなく見慣れた風景で、この点に関しては『エンドゲーム』の日本描写よりもレベルが高かったと思います。

さてこの映画が当たるかコケるかは分からないけど、デップーでネタにしてくれそうでそれは大いに期待している。

眉村ちあきメジャーデビューアルバム『めじゃめじゃもんじゃ』が新時代の幕開けを告げる。

このアルバムはどこから切っても珠玉の曲状態で、例えるならoasisの『モーニンググローリー』並みに全曲シングルカットしたいくらいだ。

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1.ほめられてる!

あなたが眉村ちあき初体験なら冒頭の素っ頓狂なアカペラに怯んでしまうかもしれない。でもスキップボタンを押すのは待って欲しい。そこから始まる世界はきっとあなたを異世界に運んでくれるはず。さあ、眉村ワールドにようこそ。

2.ビッコロ虫

生き物のようにその時々で変わっていく彼女の曲の中でも、この曲は歌われるシチュエーションで感じ方が違ってくる。〝明日朝起きたら小松菜奈になってますよに〟という歌詞は時に〝なってなくてもいい〟と替えられる。ちなみに個人的に〝なってなくていい〟バージョン好き。

※最近また新たな更新がされたという噂。それは是非Liveで体験したい。→先日「眉村ちあきのままでいい」バージョンを体験!

3.奇跡・神の子・天才犬

ポリシックス対バンでインスピレーションされて作ったとされるこの曲を初めて聴いた時はぶっ飛びましたね。〝ここは僕の最終地点じゃない。まだこの人生のエンドロールなんて流したくないや〟の歌詞にふるえる。MVがとってもチャーミングなので観て欲しい。

https://youtu.be/NEPliAfM4Eo

4.開国だ

はい、来ました。ド名曲。ジャジーなところからクライマックスへの盛り上がりが堪らん。これは是非ライブ体験して頂きたい。〝開国だー〟のとこの姿は神々しい。

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5.Queeeeeeeeeen

文字通りクイーンというかボヘミアン・ラプソディにインスパイアされた色んな要素たっぷりの振り幅ナイル川曲のひとつ。途中の〝左手だけで踊る人〜右手!〟のくだりはLiveではコール&レスポンスされるので、それを頭で想像しながら聴くと更に効果抜群。

6.なんだっけ?

個人的には弾き語りのイメージが強い曲。しかしこのトラックをバックに歌われる時の疾走感もまた素晴らしい。一見ネガティブな感情がベースになっているようでいて何故か応援されているような気すらしてくるから恐ろしい。

7.ヘチマで体洗ってる

私が初めて観たのはフィロのスとの対バン(2018.09.17フィロのス定期公演の第二部ゲスト)の時の映像。一部だけ参加して二部を観なかったわたしはその映像がファーストコンタクトと言ってよく、この曲一発で「この人…只者じゃないな」と思った。Liveで観る度にブラッシュアップされ、コミカルな歌詞ながらファンクなリズムの完成度が素晴らしい。この時の踊る眉村さんも必見です。

8.書き下ろしの主題歌

というタイトルをつけるのは一種の照れかな、と勝手に思っているが、つまりそれくらいしっかりとJポップとして完成している。もちろんそう思っているとスッと身をかわされるような一筋縄では行かない部分もある。

途中で思わずパンパン!と手拍子をしたくなるように作ってあるのは意図的なトラップだろうか。

9.おじさん

彼女のレパートリーの中では珍しくストレートな恋愛感情をテーマにした曲。シンプルな歌詞はこちらにドンと衝撃を与えるようなパワフルさがある。おじさん世代はもちろん同年代もそれ以外も、あらゆる世代に感動を与える曲です。

10.代々木公園

さて来ました。落涙必至のこの曲。

代々木公園でファンと遊ぶ姿はある意味〝眉村ちあきの特殊性〟を表すアイコンのようなもので、とても親密度の高いパーソナルなものだ。

そういったコアな出来事を普遍的なステージにまで引き上げて歌ったところにこの曲の凄みがある。

実際に代々木公園で遊んだ人はもちろん、そうでない人もこの曲を聴けば一瞬でその世界まで行くことが出来る。そんなマジックがこの曲にはある。

11.ゲロ

一躍彼女の名を拡げた「ゴッドタン」で披露された即興曲。ウンコ同様、ゲロゲロ言ってるのにこんなに美しく変化させられるのは彼女にしか出来ない。

12.Teeth of Peace 

驚くなかれ、この人はラップもイケマス。自動書記的に紡がれる言葉は時にとてつもない輝きや心を掴むようなフレーズが出てくる。

〝歯医者に行ったけど間違えて予約してない別な歯医者に行った〟言ってみればただそれだけのことをリズムに乗せてスローにライムしてるだけなんだけど不思議な感動がある。社会との折り合いがつかない不器用な者へのエールでもある。

13.荻窪選手権

Liveでは欠かすことの出来ないキラーチューンのひとつ。途中で入る炭坑節で一旦チルアウトしてからエンディングまでのスピード感は中毒に。

14.ブラボー

この曲の〝エンディング感〟のポテンシャルの高さは素晴らしい。普通にドラマのエンディングに使っても全く違和感ないどころかカタルシスを感じること間違いなし。

長いMVも必見。

https://youtu.be/wT2cHgwbTfs

15.本気のラブソング

畳み掛けるように怒涛のレベルの楽曲が続く。パワーワード満載の曲の中でも〝ハゲてもハゲてなくてもこの気持ち変わらないよ〟というフレーズが持つ凄み。価値観の逆転すら感じる。

彼女はLiveでこの曲を演る時は本当にひとりひとりの顔を見て歌っている。多分それは千人でも一万人でも同じようにやるだろう。そんな思いの込められた曲。

16.大丈夫

17.100人眉村の大丈夫

こちらも「ゴッドタン」のコーナー(スナック眉村ちあき)で作られた即興曲が元になっている。テレビ初披露時からLiveでブラッシュアップされているが、Cメロって言うのかな

〝洒落た言葉では表せないけど

うまくやろうとするとダメだな

私に出来る事一個〟

のくだりは鳥肌モノ。

reprise 版の100人〜も素晴らしい。

こちらのMVも落涙必至。

https://youtu.be/vXpVzt3bgXs

18.ハゲ放題

これほどハゲへの慈愛を感じる曲がかつてあっただろうか。この曲で締めくくられるのも実に彼女らしい。

 

という事で間違いなく令和時代のキーパーソンとなる事間違いなしの彼女。

このアルバムを是非聴いて、そしてLiveでノックアウトされて下さい。

コインを埋めてはならぬ。【映画】『ザ・バニシング-消失-』雑感。

平成の最後の日に観たのは昭和末期の作品となりました。

という事で

『ザ・バニシング-消失-』

予告編→ https://youtu.be/-LS3DBNV0I4

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とにかく主要キャストのルックが素晴らしい。演者と演出が絶妙なバランスで噛み合ったサイコパス映画の秀作だった。

ジョルジュ・シュルイツァーの演出はソリッドで、シンプルな画面は余分な物が研ぎ澄まされたような印象を受け、そしてそのシンプルさが静かな恐怖を産む。実験と実践を重ねて計画の精度を上げようとする犯人の姿はコミカルであると同時に身体の芯にジワジワと恐怖を植え付ける。

旅行先で同行者が突然消える、というプロットは珍しい訳でもなく、例えば『フランティック』(関係ないけどハリソン・フォードのベストアクトだと思っている。)などもそうだ。パートナーが突然いなくなった事で男は混乱し、必死で探し出そうとする。そういう共通点はあるものの、しかし今作では犯人は誰だ?という謎解きや失踪したサスキアを救い出すという部分にはフォーカスされていない。むしろ失踪へ至るまでの様々な偶然や選択が産む悲(喜)劇やサスキアを失って精神が蝕まれていくレックスに焦点が当てられる。

犯人は観客の前に早々に姿を現わし、彼がサスキアを誘拐したであろう事は序盤の段階で明かされる。

では我々は不安を抱かずに画面を観続けていられるか?というとそうではなくて終始不穏な空気が支配しており観客は寄る辺なき恐怖というようなものに苛まれながら時間を過ごしていく。そういった恐怖と不安を常に側に置きながら、観客は真相への好奇心を止める事が出来ない。それはレックスと同じだ。

レックスは犯人に突きつけられた選択に逡巡する。おそらくその逡巡にはサスキアの生死とは別の不安を抱えているからではないだろうか。

それはサスキアが自らの意思で失踪した可能性だ。サービスエリアで一瞬見せられたサスキアの表情に見られる〝断絶〟の印。それはあからさまな描写ではなかったが、しかし一瞬の表情の変化は見て取れる。そこからもしかしたらサスキアが自分からレックスの元を去っていったという可能性を我々は感じている。

そういった様々な不安を脇に抱えながらもレックスと我々は犯人の誘惑に抗えない。「真相を知りたいだろう?」

あの時ガソリンを入れていれば、一緒に売店に行っていれば、写真を撮る時トラックが通らなければ…。そういった後悔はすでに意味を失っている。今、真相を握っている犯人が目の前にいる。真相を知るには犯人の提案を飲むしかないが死のリスクは当然ある。

さてレックスの選択が生んだ結末は果たして…。

結末に至って犯人の動機は明かされたか?個人的にはそこは闇の中だと思っている。何かしらそれらしい理由を見出す事は出来るかもしれないがそれすらもフェイクかも知れず、結局我々は悪意のための悪意をつかまされているのではないだろうか。

ただ一つ明白なのは、浮かれてコインを木の下に埋めたりしちゃダメだね。

大丈夫、私に任せて。【映画】『マローボーン家の掟』雑感。

ホラー映画というのはある程度クリシェに沿っているからこそ怖いというところもあって。

という事で観てきました。

『マローボーン家の掟』

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予告編→ https://youtu.be/fREeG8YE3YQ

ファーストカットの不穏な空気は、その緊張感を保ちながらラストのホラー的終焉とエピローグまで飽きさせる事なく続いていく。

ストーリーやキャラクター設定に穴がない訳でもないがそれを感じさせないのはキャスト陣の瑞々しさにあったのかもしれない。

長男ジャック(ジョージ・マッケイ)、長女ジェーン(ミア・ゴス)、次男(チャーリー・ヒートン)、アリー(アニャ・テイラー=ジョイ)というこれからグイグイ来そうな若手俳優達はそれぞれ内面的でありながら説得力のある演技を見せていたと思う。

ことにミア・ゴス(『サスペリア』)とアニャ・テイラー=ジョイ(『スプリット』、『ミスター・ガラス』)の2人は新たなホラー・クイーンとなるのではないかという期待も抱かせるオーラがあった。

所々に見られるホラー映画のクリシェはそれがクリシェであるが故に観客に恐怖を与える。予めそうなるのではないか、という想像が与えるスリルがとても効果的だったように思える。

「ああ、そんな事したらこんな目にあってしまうよ。やめた方が良いよ」という方向へ敢えて向かう時のドキドキ感。結果が予想通りでもそうでなくともその恐怖は観客に植えつけられる。

個人的に好きなシーンはいくつかあって〝ガイコツ岩〟やモールス信号の場面の空間を感じさせるショットが良い。こういう箇所があるだけでその作品を愛する事が出来る。

ジョージ・マッケイやミア・ゴスの不幸を背負ったような眼差しと時折見せる笑顔も美しいし、チャーリー・ヒートンの内向的でニヒルな上目遣い(どこかで見たことあると思ったら『ストレンジャー・シングス』のあの少年か!)も印象的だが、やはりアニャ・テイラー=ジョイが素晴らしい。

アニャ演じるアリーは存在そのものがストーリーに身を捧げるかのようなキャラクターでクライマックスへ至る彼女の行動は論理性に欠けてはいるがしかし同時に気高い美しさがそこにある。

終盤のアリー覚醒は全く脈略も根拠もないものだったが、しかし説得力はあった。そういう事が大事なんだと思う。ストーリーやキャラクターの整合性をある程度犠牲にしてもアリーのあの行動は作品として正しかったと思う。

エンディングに流れる曲はまるで感動ストーリーを演出するかのようだ。ある種の陳腐さをまとったこの曲がとんでもない皮肉に聴こえたのはわたしだけだろうか。

わたしの名前を言ってみろ。私は…。【映画】『アベンジャーズ/エンドゲーム』ネタバレあり雑感。

鑑賞後にその時の生々しい感情を記録しておきたい気持ちもあり、速報的に書く事をスタンスとしているが、流石に今回についてはネタバレを回避しながら語るのはなかなか困難な話で。

ちょっと時間経ってしまった。

という事で

アベンジャーズ/エンドゲーム』

を観てきました。

 

3,000回は泣きましたね。とにかくキャラクターが出てきて会話してるだけで泣けてきちゃって。嗚呼、これでアベンジャーズも終わるのか、という思いもあり。

 

という事でお茶を濁す感じにはなりますが、過去のブログを。

ダンスは上手く踊れない。『キャプテン・アメリカ:ザ・ファースト・アベンジャー』 - 残像つれづれダイアリー

この任務が終わったらサイン貰うんだ…。『アベンジャーズ』 - 残像つれづれダイアリー

普通の男の子に戻り…ません。『アイアンマン3』(3D) - 残像つれづれダイアリー

 

さてここからはネタバレ全開で行きます。

 

 

 

 

 

 

前作『インフィニティ・ウォー』で経験した絶望的な別れと虚無。それを今作で回収していく事はネタバレ以前に当然の事だった訳だけど、そういう前提でいても様々な再会のシーンでは涙腺が緩んでしまう。中でもトニーとピーターの再会には感情を揺れ動かされる。

『エンドゲーム』は失った物を取り戻し、再生を目指す物語だ。それはサノスの指パッチンで消えた半分の人達だけではない。それぞれがそれまでの人生で失ってきた〝何か〟を取り戻す〝やり直す〟旅だったと思う。

ネビュラはサノスの計画に積極的に参加していた過去の自分を清算するかのようにチームに協力する。姉のガモーラとの和解の日々を慈しむかのように。ソーは絶望の中でかつての威厳を失い体重と飲酒量が増えていった状態から抜け出さなくてはならない。ブルース・バナーはハルクである自分と折り合いをつけて子供達と写真を撮るセレブにはなっているが果たしてそれで良いのか。タイムマシンに取り組む彼は物理学者としてのプライドを取り戻そうとするかのようだ。

そしてナターシャ。彼女は自らを犠牲にする事でクリント/ホークアイに希望の道を示し、そして大きな代償としてソウルストーンを手に入れる。彼女もまたここで自分の過去を清算する。アベンジャーズ以前の行動への贖罪かのように殉死の道を選ぶ。

そんな中でトニー・スタークは守るべきものが出来てしまった。世界平和の実現とは遠く離れて、妻と娘と慎ましく暮らしている。そんな彼を再びチーム入りさせたのはやはりピーターの存在だ。トニーは自分が父親になった事で、ますますピーターの不在を深く意識するようになったはずだ。だからこそ彼を取り戻す選択肢に賭けたと思われる。またタイムトラベルにおける父親との僥倖はまさにその親子関係を見つめ直す旅でもあった。

ストレンジが一本指を掲げた1,400万分の1のゴール。トニーがその道を選んだ理由はただ一つ。「私はアイアンマンだ!」

そしてスティーブ/キャップはどうだろう。彼は相変わらず他人の為に自分の身を投げ出している。アベンジャーズとしての任務はない現在も治療プログラムのような集会で傷ついた人たちを癒そうとしている。だから彼が1番最後に選択した身の振り方に感動する。ようやくキャップという荷物を降ろしてスティーブ・ロジャースとしての人生を取り戻す。かつて果たせなかったペギーとの約束を果たしてダンスを踊る彼の後ろ姿に泣かずにはいられない。

ようやく。70年を過ぎて平穏な時間を取り戻すことができたんだなぁ、と。

そして10年続いたアベンジャーズもついに終わりかと思うとやはり感慨深い。ソーの1.2作品とハルクを除いては全てリアルタイムで観てきた事もありどうしても感情的になる。

トニー・スタークのセレモニーはまさにアベンジャーズの締めくくりを見送るかのようだ。個人的にはジョン・ファブローの姿だけで泣けてしまう。そして見慣れない少年がいて観ている時には誰だかわからなかったが、後に『アイアンマン3』のポテトガンの少年だったと知る。きっとトニーはあの後も彼の支援を続けていたのだろうし、そんな彼がさりげなく参列しているところもニクイ演出だ。

最後のエンドロール、主要なキャスト達のサイン入りクレジット!これほど感動的なクレジットがあるだろうか。こっそり拍手をしてましたよ、私は。

という事で最後はメモ的に。

  • 真田広之があんな形で出てくるとは思わなかった。殺陣は流石にキレがあったね。ただわけわからん文字列のネオンという日本像はちょっと型通りな気もしますけどね。
  • 途中で髪を切ったキャプテン・マーベル。個人的には凛々しくて好きでした。
  • ガントレットを持ったピーターが困ってる時にマーベル始めポッツ、ヴァルキリー、ウィッチ、オコエなどなど女性キャラ達がが出てくるとこ、シビれましたね。
  • そしてやっぱりアレですよ。ソーのハンマーですよ!「やっぱりお前っ…!!」最高でしたねー!
  • あれ?結局ガモーラはどうなったんだ?あの時点だとやっぱりサラサラしちゃったのかな?
  • ちまちま料理作ってるサノスの背中、ちょっとだけ切なく見えました。

 

最近は買わないパンフレットも今回は購入。特別版とやらを。

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封印は…キャプテン・マーベル

という事で次はアスガーディアン・オブ・ギャラクシーですか??