妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

お化けなんてこわくない。【映画】『ゾンビランド:ダブルタップ』雑感。

テレビドラマの『まだ結婚できない男』を観ている。何かと評判がよろしくないようだけど、わたしは普通に笑って楽しんでいるので何の問題もない。まあ、確かに夏美先生やみちるちゃん、そして金田などが恋しくもあるけどわたしは吉山先生やゆきえさん、サキちゃんといる桑野も好きだ。なにしろパグが今回も可愛い。それで良いじゃないか。

という事で観てきました。

ゾンビランド:ダブルタップ』

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予告編→YouTube

オリジナルキャストが揃って再登場しているのも嬉しいし、新たなキャラクターとのバランスも絶妙で、前作の楽しさをそのまま活かしながら更新していくという続編としての理想を見た気がする。

冒頭のコロンビア映画オープニングロゴから飛ばしてくれて、ハイもう楽しい。女神姐さん、カッケー!

続くオープニングクレジットもまたカタルシス満点。タラハシー、コロンバス、ウィチタ、リトルロックが並んでる姿の「よ!待ってました」感の正しさに劇場で思わず膝を打つ。

その映画が楽しかった指標のひとつに「あいつらにもう一度会いたい」というのがあると思うが、シリーズモノがわたし達に与えてくれる喜びもそういった要素がどれだけ上手く作用しているか、という部分にあるはずだ。そういう意味で今作はその辺りを上手く消化してくれていた。続編になると主要キャストが何らかの理由で消えているというケースが多い中、それぞれが10年間でそのキャリアを積んだ上で今作に再集結したのが嬉しい。

新たなキャラクター達とのバランスがまた絶妙で、ロザリオ・ドーソンルーク・ウィルソンの安定感はもちろんだけど、特にマディソン役のゾーイ・ドゥイッチが素晴らしい。このマディソン、コスメとKawaiiだけを追い求めながらこの世界をサバイヴしていたかと思うと、何気に1番生命力があるんじゃないだろうか。そんなキャラクターを嫌味なくキュートに演じられるコメディセンスを持った彼女だけど、リー・トンプソンハワード・ドゥイッチの娘さんだったと聞いて納得。なんか『恋しくて』観たくなってきた。振り返ると彼女のいるシーンで1番笑ってた気がする。車の中のやり取り、最高だった。

前作で成立していた疑似家族感は10年を経て更に強化され、もはやそれは疑似でも何でもなく普通に家族になっていて、だからカップルの倦怠や親子の断絶といった事態が発生していくわけだけど、こういったカジュアルで〝身軽〟な作風の中でも、ふとした瞬間に目を見張るような演技があったりするのもこのキャストならでは。

個人的にハッとさせられたのはタラハシーウディ・ハレルソン)との父娘関係の中でリトルロックアビゲイル・ブレスリン)がみせる諦めと愛憎入り混じったような表情で、ほんの僅かな一瞬だったけどそういう場面があることで作品における信頼が増す。ライトなコメディだからこそ、そういうシーンが大事になる。エマ・ストーンの無言の演技とかね、流石ですよ。あとウディ・ハレルソンプレスリーが聴けます。

小ネタは色々あったようだけど字幕だとなかなか追いつかない部分もあるんだろうな、多分。どこまでがネタなのか判別つきにくいところもあるけど、まあそんな事チマチマ考えなくても、とにかく楽しいわけで。予告編に出てるからネタバレじゃないと思うけどBMさんも出てきますし。というかむしろそこが本編だったんじゃないかという気する。赦しと救済。

あ。曲もいいですね。オープニングのメタリカも良いし、エンドクレジットで流れるちょっとリプレイスメンツっぽいというかオルタナバンドが原点回帰したみたいな曲カッコいいなあ、と思って調べてみたらプレスリーの〝バーニング・ラブ〟でした。原点回帰どころか原点。

という事で100分以内という上映時間含めて合格点の作品。

目指せ!アルカディア!BABYMETAL『11/16(土)&11/17(日)METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN @ さいたまスーパーアリーナ』雑感

LIVEの楽しみ方は人それぞれで勿論正解なんてない。躍りまくるのもよし、腕組んで静かに観るのもよし、各々のスタイルでハッピーになれる方法で参加すればいい。ただなんていうのかな、その楽しみ方が変なオーラを出して周りにマイナスな影響を与えるのは良くないと思う。

という事で2日間参戦してきました。

METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN

 

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11/16(土)DAY1  スマホは取り出さない。

いつもグッズは今回は買わなくて良いかな、と思いつつ気がつけば列に並んでいる。13時半過ぎにさいたまスーパーアリーナに着くと既に長蛇の列でホールを一周している状態。まあ、この苦行もまたLIVEの醍醐味、と言い聞かせて2時間をやり過ごす。

この日はシート席。200レベルの後半寄りでステージからの距離は結構ある。豆粒レベルだが、モニターも見易くゆっくり入場出来るメリットもあり文句はいえない。

いつもこれで申し訳ないけど、今回のゲストであるBRING ME THE HORIZON 、またまた初見でして…。正直序盤は「ふむふむ。なるほどね」的に眺めていたんだけど、段々と引き込まれていき、最終的には楽しくなった。楽しいというか良いぞ、コレ。特に〝drown〟ですか?良いですね。バックの映像もMV、PVが元気だった頃のムードがあって割とツボでした。ヴォーカルのオリヴァー君も観客席に降りてきたり(後でわかったんだけどあれ車椅子席だったらしい。なるほど、良いね。うん。)と大活躍だし、時々起こるシング・アロングも盛り上がる。明日真似しよう。

しばしのインターバルの後、遂にBABYMETALの登場。

〝FUTURE METAL〟から始まるセトリは基本最新アルバム『METAL GALAXY 』に沿った形で、まあアルバムタイトルを冠にしたツアーなので当たり前なんだけど、いや良かったですね。

アベンジャーズは百々子メタル。初来日ですか。あの頭に小さなお団子乗っけてるヘアスタイル、可愛い。あのヘアスタイルがアベンジャーズのアイコン的になっている為だろうか、ふとした時にリホメタルにもカノメタルにも見える瞬間がある。3人のアベンジャーズのそれぞれの個性がひとつのイメージに収斂していってBABYMETALというトライアングルを形成している、そんな事を感じたりもした。

PAPAYA 〟の祝祭パワーはもはや圧倒的でこの半年であっという間にベビメタのキラーチューンになった。よく「頭のネジ外してはしゃぎまくれ!」なんて言い方あるけど、正真正銘ネジが5、6本は外れたんじゃないだろうか。タオルをカバンにしまったままだったのでぐるんぐるんはできなかったけど、とにかく会場全体が究極の盆踊り会場になったかのような華やかさ。眼下に見えるPITの皆さんも楽しそうだ。

Kagerou〟の時、モニターに映し出されたSU-METALの姿。ちょっと乱れ髪状態のすぅさん、ヤバかった。

終盤の〝ROR〟の「うぃーあー…」のくだりを目にした時には(嗚呼…今日のライブも終わってしまうのか…)と寂しくなっていた-事実、この時結構退場していく人いたんだよね-が、そこからの〝Shine〟、そして〝Arkadia〟の流れ!!これ最高でした!!

あとSU-METALの日本語MCも聴けたのも嬉しい。ただそれだけでもう…。

贅沢を言うなら〝KARATE 〟の時の「エビバディジャンプ!!!」が聴けたらわたしは昇天してしまうのですけども。

 

11/17(日)DAY2 紙芝居は参考程度に。

2日目は超PITで参戦。グッズは買わないので開場時間までに到着すれば良いのだけれどなんだかんだと早めに埼玉に向かってしまう。

少し時間があるので昨日行った大衆居酒屋を再訪。相変わらずコスパは高いがしかし本店と二号店ではホスピタリティに違いがある。どちらがどうだという訳ではなくて、それぞれに味わいがあるというか…。まあしかし170円の煮込み、美味しいです。f:id:mousoudance:20191117143215j:image

超PITはBブロック、下手よりの中央付近に位置取る。前日のステージの感じだと余り前だと見上げる感じになりそうなのでこの辺がいいのかな、と。1時間以上まったりと過ごす。別にぼっち参戦は慣れっこなので全然平気なんだけど確かにこういう待ち時間は暇ではある。よく考えたら結局おしくらまんじゅうしてたら位置はどうとでもなるんだけどね。

BRING Me The Horizon は昨日予習したせいか或いはモッシュPITだったせいか判らないけど、凄く良かった!昨日はよく見えてなかったけどバックダンサーの拘束衣みたいな衣装がなんともいえない味を出しているし、序盤からオリヴァー君に「大きなサークルが見たいなぁ…」(意訳)なんて言われると、ね。開始早々からゼイゼイ言わされましたわ。

そして昨日学習した〝drown〟もちゃんとシングアロング出来ましたし、オリヴァー君は今日も会場内を縦横無尽に動き回りスタンド席にまで行ったり、あるいは「みんな座れー!」といってスタンディングのスペースで座らされたりと某現場の事を思い出したり。いやー楽しかった!!!でもステージに唾はくのはどうかな、いやワンマンなら良いけどそこは今から姫たちがパフォーマンスをする神聖な場所なのでね…。

今日のアベンジャーズもMOMOKOMETALでした。Bブロックなので当然昨日よりステージは近く3人の姿がよく見える。セトリは前日と全く同じだけど、まあ当たり前に楽しかったdeath!!!

冒頭の〝FUTURE METAL〟からグググっと引き込まれて初日よりも一層カーニバル感が増したのは超モッシュッシュピットであった事は無関係ではないかもしれない。

〝ギミチョコ〟といった定番曲も新曲群の中で違和感なく存在しているのも彼女達が一段大きくなった証かな、と。「もうこんな若い頃の曲出来ないよ」というレベルは超えたとでもいいましょか。そのまま〝エレベーターガール〟や〝シャンティ…〟に続いていっても全く違和感なし。〝エレベーター〟や〝シャンティ…〟の時にメインスクリーンに流れるギミックはそれはそれで凄いんだけど、まあ結局目の前で踊る三人の生身の動きには勝るものはなくて。あのアイソレーションの動きとか、ちょうどわたしはMOMOKOMETALの姿が目に入ってそういう踊りの動きのひとつひとつが胸を打つ。ちょっとした手の角度とかね。

〝Starlight〟の時のレーザー光線は当然前日スタンドで観た時とは違う印象で。自分の頭の上を幾多の光線が飛び交う様は独特の感覚がある。レーザーが何かを守る保護膜のようにも感じる。

今日も〝Kagerou〟でSU-METALの美しいお顔を確認しようと思っていたが、画面のスイッチングとわたしがモニターを見るタイミングがどうもMOAMETALと一致するようで彼女の小悪魔的な表情が飛び込んできて困る。いや困りはしないのだが、それにしても当たり前だけど観るたびにどんどん大人の表情になっていく。大人びた、ではなくて。あと〝Kagerou〟の時はMOMOKOMETALが真剣な表情をしながら一瞬笑顔にパッと変わる場面があって、あれも印象的でした。

PAPAYA〟の祝祭感はやはりステージを見上げる状態となったこの日の方が増していたのは仕方がない。横アリで初めて体験した時の興奮が蘇るし、天空の姫たちを自然と崇める形となる。そして前日は鞄にしまいっぱなしで出すタイミングを逃したタオルもちゃんと用意してある。あとはラップ部分でのSU-METALの腕くるくるandピョンピョン踊り、可愛すぎ。

ところで〝Shine〟のスマホライトを客席で点灯するのは既定路線となるのでしょうか。いや別に良いんだけど開演前の注意事項の時にわざわざ(初日にあったかどうかは不明)「スマホライトの点灯はご遠慮下さい」というのがあった事が余計な意味を持ってきたようにも感じて。すぅさんに言われれば喜んでやるんですけども。まあ、きっちりとルール化するのも野暮なような気がするし、ちょっと様子見かなぁ。

それはともかく。

今日のラスト〝Arkadia〟もまた素晴らしい。しつこいようだけど地上から見上げるSU-METALの崇高さが光りと音に包まれてこちらの心を鷲掴みにする。ただその眩しい輝きを浴びているだけで幸せな気持ちになる。

まさに今のBABYMETALが目指すアルカディア/理想の場所がそこにあるのかもしれない。そんな事を思いながら帰路につくのでした。

〈おまけ〉

終演後、余韻残るピットで「KARATE で『エビバディジャンプ』やってくれないねぇ」と言っているメイトさんがいて思わず「ですよね!!」と言いそうになった。いや、ほんと「それな」ですよ。あれはもう一度観たい。

自動ドアすら私を拒絶する。【映画】『ボーダー 二つの世界』雑感。

もちろん自分は世の中のメインストリートを歩いている訳ではなくて、世界のマージナル/端っこをヨタヨタと歩いているという自覚はありながら、一方で「そうは言っても、アベレージな人生を歩んでいるよな」という妙な自信もあって…。

という事で観てきました。

『ボーダー 二つの世界』

予告編→YouTube

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余り予備知識なく観に行って何となく「異形のもの同士が互いに寄り添ったピュアな愛の物語」なんてものを想像してると足元を蹴飛ばされるような作品だった。まさに展開の予想がつかない、これからどう転がっていくのだろうかという事が全く予想出来ない。

画面から伝わる肌触りのざらつき、風に揺れる木々の音、そういった数値化出来ない映画が持つサムシングがあちこちに転がっていて、何がどうだというロジカルな説明はできないが身体の芯に触れてくる。

主人公ティーナが「嗅ぎ分け捜査官」的な活躍をする中ではティーナを巡る社会的な齟齬は見かけ上はないように見える。税関の同僚達も捜査に同行する刑事も僅かに違和感を抱きながらも基本的にはティーナを「同じ社会の人間」と認識、更には信頼している。隣家の若夫婦同様、その距離感はそれぞれだけどティーナを拒絶してはいない。

ティーナが社会との隔絶を感じるのはヴォーレが現れてからだ。ヴァーレの見た目(と臭い)はティーナが「そちら側」である事を強調し改めて自覚させるに充分だ。ティーナはそれまでは「それなりに」この社会に適応していたが、ヴォーレの存在が彼女のなにかを変容させる。

それは今ひとつその意図が掴めないローランドの存在と比較して、明らかにティーナの同族意識を刺激するものであったし、事実それによってティーナは解放され覚醒する。(ように見える)

そういったティーナの覚醒はヴォーレとの邂逅により生まれるが、そこからこの作品はまた別なドライヴの仕方で我々を誘う。

その誘う先のゴールは明示できない。ネタバレ云々ということではなくてわたしにも咀嚼しきれていないからだ。

ティーナは「この世界」にも「もう一つの世界」にも両方に唾を吐いているようでもあるし、またそのどちらに存在しているとも言える。わたしが観ている時に感じたのは〝ティーナはそのどちらに属している訳でもなく、自分自身の立ち位置を獲得したんだな〟という事だ。

しかしそれ以上の事(というかそれだって勝手に思っているだけの事だ)は分からない。ティーナの絶望や諦観や希望はわたしが「あー判る判る。わたしもそうだったよ」などと言えるようなカジュアルさはない。ただ目の前に出されたそのものをそのもののまま受け入れるしかない。正しい世界などない。ただそこに二つの世界があるだけだ

あなたはもうマリアじゃない。【映画】『ターミネーター:ニュー・フェイト』雑感。

サザエさんのお隣が作家のイササカ先生なのか画家のハマ先生なのかの違いは時代の変遷なのか、それとも二つの世界線が存在するという事なのか。などという事はそんなに真剣に考えているわけではない。

という事で観てきました。

ターミネーター:ニュー・フェイト』

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予告編→YouTube

無印版とT2のプロットや展開の焼き直しと言われれば確かにその通りではあるが、しかしわたしは観ていくうちに心をグイグイと掴まれていくのがわかった。おそらくはこの作品が、繰り返されるコナー親子を巡る物語の呪縛を一度解きほぐし、そして新たに組み直すような作りだからではないかと思っている。

細かく見ればストーリー展開に粗があるかもしれないが、しかしわたしはサラ・コナーの存在を一旦無効化するような今回の設定を肯定したい。T2で描かれたコナー親子による〝未来を変えた活躍〟は、それが成功したことによってそのヒロイックな要素が世界に理解されないというある種のパラドックスを孕んでいる。スカイネットが存在しない世界では、サラ・コナーの言動が現実世界の中では狂気としか見られない、そんな哀しさ。

そういった狂気や闇を背負ったサラをある意味救い出すのが今作の設定にはあるように思えて仕方がない。それは年老いたT-800にも言える事だ。

サーガの中で繰り返されるコナー親子とスカイネットの追いかけっこをチャラにした事である種の反発を生んでいるようだが、しかしわたしは今作が過去作(無印やT2)の設定をないがしろにしているようには思えなかった。むしろ過去のあれやこれやがあってこその今、だ。ドヤ顔で「私が…サラ・コナーよ」と言った時のグレースのキョトンとした表情こそこの作品の肝ではなかろうか。それはある意味でコナー親子の過去が正しかったことの証明でもあり、と同時に人類にとっては避けられない運命(dark fate )がはっきりと存在しているという残酷さの現れでもある。

今回のターゲット(であり護られる人)であるダニーが無印サラ・コナーの設定に沿うようになっていながら、そこに一捻り加えてあるのも個人的にはかなりグッときたポイントだ。別にジェンダーの話をするつもりもないが、「あ。そうか、そりゃそうだよな」という爽快さがあった。あの時のサラ・コナーの表情がまた良い。こういった端々に見られるコナー親子の過去を解体し再度意味づけしていく描写が個人的には気に入っている。

とまあ、ゴチャゴチャ言ってますが、つまりは最高でしたよ!!完成度が高いかどうかは知らない。いや多分高くない。でも最高だった。楽しいし、終わった時わたしは拍手したい気持ちだったよ。誰もしないから音ならないように膝叩いてたけど。

最後にメモを。

  • グレース役のマッケンジー・デイヴィス、最高でしたね!一番のお気に入りは走る列車のコンテナの屋根で仁王立ちしているところ。
  • ターミネーター着地、やっぱ良いよね。
  • 大型トラックで追いかけてくる敵という伝統。無表情な運転。
  • エドワード・ファーロング、出てたよ。確かに出てたけど…。
  • 結論:主要キャラクターが片腕を失う映画にハズレなし。

特異点の向こう側。『11/7(木)Singularity7 Bentham/フィロソフィーのダンス』@下北沢Garden 雑感

わたしのハッピーが誰かのハッピーとは限らないし、とするならばより多くの人がハッピーになれる事が正しいあり方なのかと言えば、それもよくわかからない。

だからまあ自分のハッピーを求めるしかないのかしらね。

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という事で観てきました。

『Singularity 7』

下北沢Gardenは久しぶり。一年ほど前にハマり始めた頃、定期公演に何度か通った思い出深いと言えば思い出深いハコでもあり、こういう規模でフィロのスを観られる機会もこれからなかなかないだろうな、と思いつつ会場に向かう。

客入れ曲はプリンス祭り。いやー良いですね、当たり前だけど。LIVEバージョンのパープルレインも素晴らしいし、曲名知らないけどブルージーな曲もグッとくる。シーラEの事も思い出してみたり。

 

Bentham

相変わらずコンテンポラリーな音楽事情に疎くまるっきりの初見。ドラムの鈴木さんがフィロのス(とnuance)好きというだけで信用して良い気がするからこわい。

その鈴木さんが作ったという曲は最初「ブラーじゃねーか!!!」とか思ったりもしたが、それはともかく彼らの楽曲は全体的にバランスの取れた印象。そういうとこじんまりとまとまったようにも思えてしまうけど、例えばラストの〝do you wanna dance?〟(で良いのかな?)に見られるグルーヴ感はなかなかで、いや楽しめました。

 

フィロソフィーのダンス

何というのだろう。ノーナリーヴスとの対バン。あれがある意味シンギュラリティ=特異点であったかのように、この夜の(というか今の)フィロのスは安定感があって、盤石。

もうどの曲をどの順番でやろうが間違いない。積み重ねてきたものへの自信すら伺える堂々としたパッケージ。

いきなり〝すききらいアンチノミー〟〝コモンセンス・バスターズ〟を持ってくるのも良かったけど、やっぱり〝バイタル・テンプテーション〟〝ドグマティック・ドラマティック〟のシームレスな繋ぎ、ヤバかった!!!!痒いところに手が届くセトリ。

アルゴリズムの海〟の導入では僅かな時間だけど静寂の空間があり、4人がステージで動くときのステージが軋む音や腕を動かした時の空気を斬る音が聴こえたような気すら感じたのはGardenというハコが産み出すマジックだったのかもしれない。彼女達の息吹が伝わるようなそんな一瞬でした。

いつも観る度に新しい発見があるのだけれど、今日は〝ヒューリスティック・シティ〟のある一場面を。ハルちゃんとあんぬちゃんが歌うパートで、2人が互いの腕を掴んで踊るところがある。そこでクイっと相手を引き寄せる仕草があってそれがとでも印象的だった。確か前半と後半の計2回あったと思うけど、そのタイミング、身体の角度などなどがわたしの何かを掴んで離さなかった。いや、今度またじっくりみよう。

後半のアゲアゲセトリも隙がない。ハルちゃんや奥津さんが時折入れてくるフェイクも決して無理していたり取ってつけたような違和感がなく、LIVE特有のウネリのようなものを感じる。貫禄、その2文字。

この日はMCグダグダだと彼女達は言っていたけど、むしろその分LIVEに魂がこもっていたし、息を切らしながら話する4人はそれだけで輝いていて。そんな中でも彼女達らしい会話がありました。ベンサムさんの下ネタ話から展開した会話。

ハルちゃん「わたしが楽屋にいてお尻出すときはみんなが太鼓みたいに叩いてくる」おとはす「じゃあ今度フィロのス亭でやってよ、尻太鼓」ハルちゃん「えー!やだー!みんなに見られるの!マリリにやってもらう」奥津さん「(てっきりノってくると思ったら)ちょっと!簡単に差し出さないでよ!(わたしのお尻)」そしてそれを慈悲深い微笑みで眺めるあんぬちゃん。ふふふ。ベスト4ですね。

アンコールでの〝ダンス・ファウンダー〟はもちろん素晴らしいのだけど、個人的に目に焼き付けておきたいのはあんぬちゃんの締めの一瞬。最後のキメポーズをバシッと決めてそこにも兄貴感があったけどそのまま「おっしゃーーー!」的に軽くガッツポーズというか腕をスッと掲げたところ、マジカッコ良かったです!!

という事でツアーも始まりますが、成功間違いなしでわたしはファイナルで特異点の向こう側を目撃するのを楽しみにしています。

アナログな身体こそが最先端テクノロジー。『10/26(土)Reframe2019 @ LINE CUBE SHIBUYA』雑感。

Perfumeの印象として「最新鋭のテクノロジーを活かしたパフォーマンス」というキーワードを思い浮かべる人がほとんどだろうし、それに対してネガティブなスタンスを持つ人も一定数いるだろう。

例えばdocomoの5G技術をアピールする事を目的としたこれ。YouTube

東京、ロンドン、NYという3都市にバラバラに存在している3人が最新の通信技術を駆使してシンクロしたパフォーマンスを行う、というこの企画。もちろんとんでもなく離れた地点をタイムラグなく繋げてシンクロさせているのは最新鋭のデジタル技術だ。しかし、このパフォーマンスを成り立たせているのはPerfumeの3人、その生身の身体が作り出すアナログな動きに他ならない。

印象的な場面がある。一連のパフォーマンスを終え、3人が感想を言い合うMCの時間があった。そこでは5g技術を使わない通信システムだったのでそれぞれ数秒のタイムラグが生じている。そこでいつもの「かしゆかです、あ〜ちゃんです、のっちです」をやろうとしてもズレズレでグダグダになってしまう訳で、最初はそれにキャッキャッしていた3人が「じゃあ、そのタイムラグを計算に入れて合わせてみようよ」と即興でトライして見事に成功させていたのだ。「やっぱりdocomoさんの技術ないと大変じゃねぇ」というあ〜ちゃんだったが、奇しくも3人のアナログな身体が産み出すパフォーマンスの凄さを証明する形となったこの瞬間こそがPerfumePerfumeたらしめているもののような気がする。

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という事で全公演全席種応募して何とか1公演当選して参加する事が出来ました。

Reframe2019

渋谷公会堂がLINE CUBE SHIBUYAとしてリニューアルされたその柿落とし8公演、その7公演目に参戦。去年のReframeを観られてないので実に嬉しい。

席は3階席の真ん中あたり。ステージ全体が見渡せてなかなか良い席なのではないだろうか。

冒頭、過去の記憶がコラージュされた映像(あれ?いまBEE-HIVEとか言ってなかった?)が流れる。まさに3人の20年を総括し再構築/reframeする空間なんだな、ということが判る。

やがてステージに3人の姿が現れるがそれが映像なのかどうなのかが一種判断出来ない。ステージそのものも空間に浮かんでいるようにも見えて現実世界の境界線が歪んだような感覚に落ちる。

着席鑑賞というスタイルはLIVEというよりは観劇に近いかも知れない。最初の〝DISPLAY〟終わりに拍手をして良いものか躊躇する空気が客席中に広がり、結局拍手はしないという無言の共通認識がそこで生まれた。

軽く足先や指先でリズムをとる程度の動きはどうしても制御出来なかった(〝edge〟とか無理でしょ!!)が、基本は静かにその空間を体験する1時間だった。

〝FUSION 〟のカッコよさは本日も現在でスクリーンに映し出される3人のシルエットの動きがとにかく素晴らしい。FPツアーでも感じた一見シンプルなのに高いレベルの技術が駆使されているという印象は変わらない。むしろ強くなった。そしてさっきも言ったように、そのパフォーマンスは3人の生身の身体が産み出すグルーヴやバイブスがあってこそ成り立つもので、だからこそわたし達を感動させる。これは何度観ても飽きない。

シングル曲のジャケットポーズ?を取り続けるシークエンスも良かった。延々とタイトルを言いながらフォーメーションを見せる3人の姿がわたし達に与える不思議なエモーション。なんなんですかね、あの気持ち。

あとAポーズで仁王立ちしているのっちをかしゆかあ〜ちゃんが手持ちカメラで撮ってるのは何の時だったっけ?スキャンしてたんだっけな?ちょっと記憶が曖昧に…。

あ〜ちゃんが言うように「変わらないけど変わり続ける」Perfume、それがテーマのひとつだったのかもしれない。最先端のテクノロジーの裏にある地道で時には泥臭くもあった歴史、その積み重ねが今のPerfumeを産んでいる。というのはややセンチメンタル過ぎるかな?いや、でもホントそうだと思う。

終盤に向かって段々と演出がシンプルに研ぎ澄まされていったのも面白い。〝DreamLand〟の時のオーロラのようなカーテンは、それが布のカーテンなのか映像処理なのか判別できないほどだったが、いずれにせよシンプルな画とダンスと歌という演出になっている。ちょっと記憶が曖昧だけどヴォーカルも処理少なめだったような…。レベル3ドームツアーの神々しいラストを想い出したり。

あともうどの曲だったか記憶をなくしてしったけどミラーボールとレーザー光線も凄かったな。シンプルでありながらも濃密な光の交差する空間。

そしてラストの〝challenger〟の若々しさ。先祖返り的なこの曲。ゴリゴリのEDMではなく原点のテクノポップとでもいうようなこの曲をラストに持ってきた事にも意味があるように思えて仕方がない。まるでこれからデビューするアイドルグループのようなフレッシュさのあるこの曲をベストアルバムの冒頭にそして再構築と銘打った公演のラストに持ってくる事の意味。それはこれからのPerfumeが変わらない何かと変わっていく何かと共に進んでいく宣言とある種の覚悟の現れだと思う。

公演のラストに堰を切ったように巻き起こった万雷の拍手とそれを浴びる3人(特にあ〜ちゃんは手を広げてそれを味わっていた)はその表情こそはっきりとは見えなかったけど、頼もしさすら感じる凛とした立ち姿だった。

公演通りから渋谷の駅まではハロウィンでたくさんの人で溢れていた。その雑踏をそれほど苦に思わなかったのは、この公演を観て気持ちがデトックスされていたからだろうか。それとも、祝祭空間が渋谷の街まで拡張されたのかもしれない。なんて。

 

余談

公演のおまけとして行われたあるテレビ収録。内容については言えないけど、その時間は実にほっこりと微笑ましいもので、Perfumeの歴史があったからこそ生まれたモノ、大袈裟に言えば伝承の一端を垣間見たような気持ちもあった。

踊ってばかりもいられないけど、踊るしかない夜。『10/24(火)choir loft Vol.17 大阪★春夏秋冬/フィロソフィーのダンス/眉村ちあき』雑感。

例えば小学校時代からの友人との関係性と高校になってからの友人との関係性は微妙に違っていて、何となくだけど住み分けている自分もいたりして。その両方がエンカウントしたときの空気って、独特なものありますよね。

という事で観てきました。

『choir loft Vol.17 大阪★春夏秋冬/フィロソフィーのダンス/眉村ちあき

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約一年前、フィロのスちゃんの定期公演に眉村さんが出てきたのを見逃しているわたしにとっては念願の組み合わせ。そこにしゅかしゅんさんも加わってるとなれば参戦しないという選択肢はない。

しかし、ここで解決しなければいけない事がある。ライブハウスにおける「お目当ては?」問題だ。対バン形式の場合は入場時に「お目当ては?」という質問に答えなければならない。複数ある出演者のうち誰をお目当てにして来たのか答えよ!という訳だ。どの出演者が集客をしたか、という指標の為だろうという事はわかるし、ほとんどの場合は「◯◯!」と即答できる。ちなみに一度わたしはこの質問に対して「え?あんぬちゃんですけど?」といって下北ガーデンのお兄ちゃんに「は???」ってされた事あります。

しかし、今回は参りますね。結局なんて言ったかは…藪の中という事で…。

 

眉村ちあき

トップバッターは眉村さんから。

もう着ないと言っていたハズのつぶつぶセットアップで登場。いつもの如く脳汁垂れ流しで早くも記憶がなくなっている。フロアではマユムラーはどちらかというと少数派だったかもしれない。初見の人も多かったと思う。

しかし、気がつけば彼女のエンタメパワーにノックアウトされたであろう事は空気でわかる。眉村さんのステージを観ている途中から、「嗚呼、今日はやっぱりアツイ夜になるぞ」というのは想像出来た。

久しぶりに聴いた〝書き下ろしの主題歌〟は改めてとんでもない曲だね。こんなに前半エッジきいてたっけ?そして「顔色が悪いな。袖につかまりな」なところでグワっと感情を鷲掴みにされる。ええ曲やね。

フリースタイルラップで「切符もPASMOもなくす」とフロウしつつ、「あ。これ即興なので」というフォローを入れた後の〝DEKI★NAI〟はこの前のリキッド以来2度目だったけど、より一層ビートが身体に響いてきましたね。ええ、わたしも、もののけ姫観ておりません。ああ、カッケー。

この日のハイライトは〝奇跡・神の子・天才犬〟のサーフからしゅかしゅんのマイナさん?の誕生日を祝う即興曲、そして〝顔面ファーラウェイ〟の流れでしょう。バシッと決まりました。

サーフは一度ステージに戻ったかと思ったらおかわりサーフがはじまりまして、久しぶりに自分の近くに来たので支えようとしつつもちょっと離れていたりと結構慌てました。

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で名前を間違えながらもしゅかしゅんのマイナさんにハッピーバースデーを贈り、そっからの〝顔面ファーラウェイ〟はキましたね。この曲も聴くたびに印象がどんどん良くなるというか、どんどんと好きになってくる。

ハルちゃんがお気に入りだという〝本気のラブソング〟では「ひとりひとりの目を見ながら歌いたいと思います」の宣言通りにフロアに仁王立ちで歌う。

ラストの〝ナックルセンス〟も最高でしたね。確かこの時だったと思うけど、留めていた髪を振りほどいて踊る姿にはグッと来ました。

フィロソフィーのダンス

そんな眉村さんの〝ナックルセンス〟の余韻も冷めやらぬまま始まったフィロのスちゃんのステージは〝DTF!〟で幕開け。これはガチンコじゃないか!

続く〝ゾンビ〟と〝エポケー・チャンス〟でフロアをあっという間に制圧してしまう。

〝パレーシア〟は久しぶりに観た気がする。ていうか観た事あっただろうか。歌舞伎町で流れるこの曲はシチュエーションばっちりで続く〝ヒューリスティック・シティ〟と合わせてチルアウトさせる時間だった。と思わせながら静かにヒートアップさせるあたりがニクイところ。

この夜はメンバーみんなバッチリ仕上げて来てる様子だったけど、特にあんぬちゃんの気合いが入っているように思えた。可愛さの中に垣間見える体育会系キャプテン感がより一層強まっているというか。髪振り乱して踊る姿がすごく…カッコ良かったです…。

〝ライブ・ライフ〟のコール練習をさせるところはもう貫禄すらあって最後の〝ダンス・ファウンダー〟まで隙のないセトリだったのではないでしょうか。

そうそう。退場する背中、今日のあんぬちゃんはアニキ感ありました。

余談ながらやたらと「オーライ!」を連発するハルちゃん。スクービードゥーに影響されたんだ、と言っていたけどそれに対して「いや、わたし昨日ライブ観に行ってたけど、そんなオーライいってたかな?」と疑問を呈するあんぬちゃんもまた良き哉。

大阪★春夏秋冬

しゅかしゅんさん、初見。

ええ、正直ナーメテーターですよ。え?こんな感じの曲なんだ、と驚きがまずあって、その後自然とフロアの熱量をコントロールする姿に感心し、気がついたら手を掲げて踊ってました。

不勉強で曲名知らないのが申し訳ないけど、最初の曲から結構心掴まされて。ちょっと激しめのエレポップというか、デジロックというか。わたしの頭の中にはジーザス・ジョーンズの名前が浮かんできました。終盤の2曲も盛り上がって、ドリンク交換の為に後方待機していたのが悔やまれる。フロアのど真ん中にいたかった。

クラウドサーフあり、程よいアジテーションありの素晴らしいステージ。いや楽しかった。という事でどなたかセトリを教えて下さい。

 

最後は3組揃ってのご挨拶。眉村さんはいつも通りのノリだったけど少し抑え気味だったような気もして。「赤ちゃんの人ー?」「はーい」のやり取りを見たしゅかしゅんの方が「おっさんがやってる…」と軽くツッコミした時、眉村さんが一瞬悲しそうな顔をしたように見えたのは気のせいだろうか。気のせいだね。

あと他の2組がメンバーでわちゃわちゃしてる時も寂しそうに見えて、少しキュンときた事を告白しておく。そしたらチェキの時に「メンバーが欲しくなったー」と言っていて、その時「わたしたちがいるじゃないですか!」とはもちろん言えず、「あーそーですねー」としか言えなかったことはともかく。

「この3組で対バンしたという事、それを観ていたと後々自慢できるような、そんな伝説の夜にしたい」と言ったのは奥津さんだったっけ?しゅかしゅんのマイナさんだったっけ?でも、ホントそんな夜だった。

MCでハルちゃんが語ったように、この3組が互いに戦友だと感じながら、切磋琢磨していく姿を追っがけていきたいと思った夜でした。

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