妄想徒然ダイアリー

映画と音楽とアレやコレやを

ボブよ、永遠に。【映画】『ビートルジュースビートルジュース』雑感。

予告編→- YouTube

f:id:mousoudance:20240928210014j:image

90年代のティム・バートンは神がかっていたと思うくらい面白い作品ばかりだった。オリジナリティ溢れる作風と大衆性が成立している映画作家というのもなかなかいない。新作が出来れば、有無も言わさず観に行っていたものだけれど、ここ数年はそんな熱もなくなっていたところ。

結論から言うと、〝ジャストサイズのT・バートン作品〟という感じだった。100分余り飽きさせず、バートンらしいプロダクション・デザインも健在、本領発揮と言いたくなる円熟味もある。手堅い仕上がりに文句を言うところはない、とても楽しい作品だった。

けれどそれ以上のサムシングはないというのもまた事実としてある。上手く言えないけれど刺激のない作品ではあった。乱暴な言い方をすれば〝続編を作る意味は何?〟という印象が強い。

いや別に何かメッセージ性の強い作品を求めている訳でもなくて、ポップコーン片手に純粋にその時間を楽しむエンタメも大好きだ。それはそれで、とても素晴らしい事なのだけれど、今作については、やはり?が頭の中に浮かんでしまう。〝で、何なのよ?〟と。この辺のニュアンスは説明するのが難しい。乗り切れなかった訳でもなく、充分楽しんだのだけれど、何かしっくりこない何かがある。ゴシックガールも30年経てば、ミドルエイジになっていて家族やパートナーに振り回されているという人生の皮肉に少し感じるところはあったかもしれないが、でも…という感じです。

数年前ならティム・バートンもキャンペーンで来日していただろうけど、そんな声も聞こえてこない。それが、この30年という経過と共に変化してきた日本という国を巡る状況の表れのようにも思えてくる。そういう意味でいえば中々にシニカルな作品だったのかもしれない。