妄想徒然ダイアリー

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繭を突き破る、光。『羊文学TOUR2024 soft soul ,prickly eyes 10/2(水)東京ガーデンシアター』雑感

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横浜アリーナ以来の羊文学。すなわちフクダさんのいない羊文学は初めて観る事になる。東京ガーデンシアターは何度か来ているけれど、とても観やすい作りで良いですよね。なんて思っていたら、結構前方の席が当たって、少しビビる。ちょっと申し訳ないくらいだ。

客入れはチルアウトな雰囲気の曲が流れていて(知らない曲ばかりだったが、とでも身体にしっくりくる感じ)、静かに盛り上がってくる。 目の前には揖保乃糸のような幕がゆらゆらと揺れていて、とても美しい。そして、この幕が序盤の演出に大いに関わっていた。スクリーンとして映し出される映像とその向こうに透けてみえる羊文学の姿が、不思議な感覚を産み出す。どの曲だったか、赤い映像のヤツ、マイブラのジャケットみたいでカッコよかったですね。

モエカさんが言うようにそれは〝メンタルを守る幕(膜)〟だったかもしれないし、或いはフクダさんの眼差しのようにも思えた。というのはややセンチメンタル過ぎるけれど。ユナさんのドラム、噂通り素晴らしい。サポートとして安定感とモエカさんとゆりかさんとの間に信頼感もある。フクダさんとはまた違う力強いドラミングには頼もしさもあった。例えが適切かはともかく、グループの危機に「おい、どうした。困ってるのか?」という感じで現れた鞘師メタルような侠気のようなものを感じる。ということで、待ってますフクダさん。

さて、そんな事を考えているうちに始まったLIVEは、とにかく最高でした。新旧バランスよく配置されたセトリと、相変わらずのユルいMCが産み出すまったりとした空間とともに、激しいグルーヴがあって、LIVE特有のアドレナリンが分泌される。

わたしは下手側にいたので、どうしても河西ゆりかさんの動きに目がいってしまう。ビシッと安定感のある構えでベースを弾く姿も勿論カッコいいのだけれど、時折ステップを踏んだりジャンプしたり足を蹴り上げたりして動き回るところもまたとても魅力的であった。どの曲だったかステージに転がりながらベース弾いてるのもメチャカッコよかった。そして、モエカさんもまた時折、激しくギターをかき鳴らしたりステージを動き回ったりして、「ライブハウスの柵に足をかけてブンブン頭を振り回したい」(MCより)という欲求をぶち撒けるようなカタルシスがあった。今回のライブには(「ゆっくりまったりとしたLIVEでいく方針」という割には)そういう激しさや感情の昂りを感じる場面が印象的だった。それがprickly な部分なのかしら。

相変わらずセトリの記憶は溢れ落ちているけれども、「あいまいでいいよ」と「永遠のブルー」の繋ぎ、「OOPARTS」のアウトロ、これだけで白飯5杯はいける。アンコールもない、キッパリと決められたパッケージで終わるのも良い。静かに音楽に身を委ねる瞬間もリズムにのって身体を動かす瞬間も全て愛おしい。そんな2時間だった。

終盤の曲には、思わず身を正すような瞬間があったり、モエカさんとゆりかさんにエネルギーを吸われたりもしたけれど、気がつけばそのエネルギーはこちらに放たれていたような気がする。ラスト、グリーンの光に包まれながら、わたしはドーパミンをドバドバ分泌していた。ほんと、良いLIVEでした。

そして、また、日常へと戻っていく。